踊りませんか。

きれいなもの至上主義

月組公演『グレート・ギャツビー』感想③

 本作は一本もののわりにあっという間に終わってしまう印象なのですが、第一幕で結構話が進むんですよね。第二幕でやってることってよく考えたらゴルフコンペしてマートル轢いてギャツビーが撃たれて完、なので意外と情報量が多くないからすぐ終わるように思っているのかもしれない。集中力ってどうしても前半に偏るので、情報量配分が上手いな~と思います。第二幕はショー的な場面や大ナンバーが中心で楽しく観ていられるし、わりとぼんやりしていても話に置いていかれることがない。集中力切れないに越したことはないですが、日によって体調も違うのでなんか集中できないな~という日にも無理なく楽しめてありがたかったです。

第1場・トムとニックの電話~ジーグフェルド・フォリーズ

 トム、当日いきなり誘ってくるのどうにかした方がいいよ!!せめて前日に……。土曜のマチネだから勤め人の君にもとか言うとるが、当時って休み日曜だけじゃなかったっけ?サタデーナイトフィーバーが花金ではじけちゃった的な話だったと聞いてなんとなくずっとそう思っていたんですが違うのかな、いずれにせよ休みを把握してない感じとか他人に予定があることを想定すらしていなさそうな感じとか、かなりアメリカの貴族感ありますね(偏見)

 ジーグフェルト・フォリーズのショーはまたあみちゃんが大活躍で……歌うまっ!白燕尾でSUPER VOYAGERを思い出し、なんだか胸が熱くなりました。あみちゃんはわたしが実際に舞台姿をちゃんと見たことがある雪組生ラスト世代なので(NW雪で最下級生だった)、なんだか思い入れが強くなってしまいます。というかずっとドイツ語読みで「ジークフェルト・フォリーズ」だと思ってたんですがジーグフェルドなんだな。

 あとハイライトとしてはやっぱり「個人的なモーション」ですね。モーションて単語久しぶりに聞きました。東京公演までヴィッキーが個人的なモーションをしているのに気づいておらず、東京で銀橋にて分かりやすくやってもらって初めて気が付きました。あれはまあ確かに個人的なモーションだ。これから「ウィンクもらった気がするけどそのへんの全員に対してだと思うし……」と言っている人を見かけたら「いやあれは個人的なモーションだった」と言う係をやりたいと思います。

第2場・ヴィッキーの楽屋

 つらっ!!!ヴィッキーの人生が辛すぎて……。スレイグルとの関係も別に本意じゃなかろうに、(別にスレイグルもヴィッキーを愛してるとかそういうことじゃないだろうし)こうやって夢を叶える道は断たれ気持ちのいい金じゃない小銭を稼がされる日々が続くのかと思うともうしんどすぎる……。

 ステージドア・ジョニーと揶揄われたのに対して「俺は違うな」で何をするのかと思ったらジュエリーを出してくるあたり、なんかそうじゃねえんだわ!みたいな感じのすごいトム。なんかこう……ステージドア・ジョニーってプレゼントするものの金額で決まるんか……?結構「金持ち=素晴らしい!」みたいな価値観がちょこちょこ垣間見えるんですがこれが素なのか狙ってやってるのかが気になるところです。結局金だけがあっても階級を移動したことにはならないんじゃないか?とか、資本主義とは……みたいなところに突っ込んでいく話だと思うので、公演を通じて深掘りはできないにせよ問題提起みたいなものがしたいのかどうなのか。

第3場・ギャツビー邸内

 新曲の『入り江がひとつだけ』、本当に美しい曲で大好きです。「束の間の愛」というのが二人の現状にぴったりだし、夢の中にいるような浮遊感のあるピアノの音色が甘くて。あと月城さんとうみちゃんのお声がすごく合うな~と改めて思いました。溶けるようなハーモニーがすごく素敵でした。

 デイジーのネックレスを留めてあげたり上着を着せかけてあげたりとひたすらギャツビーが甲斐甲斐しいところがよかったです。それに対してデイジーが歌い終わりにギャツビーのネクタイをそっと触るのもすごくいい。なんか事後の甘い空気の表現としてすごく上品かつときめきがあって、イケコはときどきこういうすっっごく素敵な演出をつけてくるので油断ができないんだよな~。

第4場・ニックの家の近所(紗前)

 恋のホールインワンて何!?連れてった友人がみんな恋のホールインワンの話するのでたぶん初見の人でも非常に印象に残る場面というかナンバーなんだと思います。わたしも可愛くて好きです。ニックというかおださんのスイングが下手だけど上手。

第5場・アイス・キャッスル

 ミッチェル、冒頭でシガレットガールズに囲まれてるのが羨ましすぎる。酒をセルフでがっつり注ごうとしてみうみんに怒られてて羨ましいし、写真撮ってあげるよ~みたいな感じでほたるちゃんとたぶんゆららちゃん(朝香ゆららさん)にカメラを向けてポーズを取ってもらってるところも羨ましい。

↑がわたしが公演通じて最も心底思ったことかもしれないですね……。

 ミッチェルとギャツビーの会話も、外面と内面のちょうど狭間くらいの話し方でいいな~と思いました。半分くらい独り言なんですよね、ギャツビーの。人がそこにいることは理解しているけど、その人を壁にしてぽつぽつ内心をこぼしているような感じ。

第6場・ウィルソンのスタンド内部

 ウィルソン、意外と出ている場面は少ないんだけどなんとなくずっといるような印象があるのは出るたびにすごく怖いからなんでしょうね。階段で揉めるのやめてほしい…たぶん風共のトラウマです。その後車を乗り換えるくだりはデイジーがめちゃくちゃトムに喧嘩売ってて好きです。もう隠す気全然ない。

第7場・ゴルフ場

 トムがにこにこ踊っててちょっと面白い。脚をぐるんと回す振りのときに「脚伸びた!?」となるのが楽しいです。ナンバー終わってギャツビーとデイジーがお散歩しながら出てくるんですが、ついつい「ゴルフせえ!」と思ってしまいました。一体どういうタイミングなのかはよく分かりませんが(コンペ開始前に時間が戻った感じかな)、ルイヴィルの森で出会った二人が5年後ゴルフ場とはいえまた森の中で愛を語っているのがなんだか感慨深いですね。コンペでギャツビーとトムが戦う間、トムの打球では「…………」て感じの顔してるデイジーがギャツビーの打球では「ジェイ♡ナイスショット♡」みたいな表情なのがすごく露骨で好きでした。

 トムがギャツビーの経歴を暴露するあたりは結構つらくて見ていられないんですが、わたしより先にデイジーが音を上げる。こんなつらそうな状態に追い込んだうえで「無事にな」のくだりがあるので、後ろにいる友人たち(おもにぎりぎり(朝霧真さん)あたり)もちょっとトムに引いてるふうなんですよね。そんで「戻ってくるさ!」の負け惜しみ感よ。そこで追えないあたりがトムの弱いところというか、追えるところがギャツビーの強さというか。目標・欲しいもののためならなりふりかまわず動くことができるのは成り上がった人特有の強さだなと思います。

第8場・ウィルソンのスタンド前

 キャサリンの「姉は!……貞淑な人妻でした。兄さんだけを、愛して……」がすごくいいなと思いました。少女が一つ現実を突きつけられてしまった感じ。グレート・ギャツビーはデイジーが少女時代を終わらせる話みたいだなーと思うときがあるのですが、キャサリンの少女時代もこれで一つ終わってしまったんだなと思う。

 ウィルソンの「カリフォルニアに行くはずだったんだ。二人きりで……」がめちゃくちゃ怖くて、マートルは非常に嫌がってたのが分かっているはずなのに「二人きりで」とか言っちゃうのはどういう神経なんだよ。話聞いてるようで聞いてないというか、歌劇でるうさんが「愛情というより執着」とおっしゃってましたが本当にそうだなと思いました。マートルがどう思っていようがカリフォルニアに行きさえすればなんとかなると思ってたのかこの人!!となる。マートルは誰にも顧みてもらえなくてかわいそうだな……と感じました。フラッパーの哀れさはいい男がいないとか金がないとかそんなところじゃなくて誰にも顧みてもらえないところだと思う。デイジーも別に話を聞いてもらえてるかというとどうかなという感じではありますが、少なくとも身を案じてはもらえているし、ルイヴィルでの様子から察するにギャツビーはわりとデイジーの話を聞くタイプの人だったっぽいし。劇中ではあんまりデイジーと意見が分かれるところがないし基本ずっといちゃついてるので(「絶対できる!!」のくだりは結局デイジーも本気で嫌がっているわけではないし)はっきりとそれが描かれているわけではありませんが、二人の雰囲気とかあの甲斐甲斐しさ、あとトムとの対比という視点から見てもタカラヅカ版のギャツビーはデイジーと対話が成立していそうな感じがある。原作のギャツビーはマジでデイジーの話少しも聞いてないので、ここが一番違うところかもしれないと思いました。

第9場・デイジーの家の前

 この場面、ギャツビーが初めてまともな人に見えて好きです。子どもをダシに説得しようとするのは感想①で触れた通りいかがなものかと思ってますが、罪を丸被りしようとしているということの前になんとなく霞んでしまう。罪を被ってもらうことでデイジーは救われるのか、なんなら地獄を長引かせているだけなんじゃないかとも思いますが、かといってデイジーが罪を認めることに耐えられるかちょっと疑問ではあり……でも最悪ブキャナン家の力でもみ消してもらえるんじゃないですかね?とはいえギャツビーがその線を選ぶわけがなく、自分にできることの最大値として「罪を被る」という行動をとるのはまあ自然かもな……。その行為は独りよがりなものなんじゃないかと思わないでもないですが、結局月城さんの声と表情が非常に優しくてごまかされちゃうんですよね!!シンプルな話世界で一番好きな顔がめちゃくちゃ優しい表情で「ここから先は一人で行けるね」とか言ってるので「なんたる献身!!!!」てなっちゃうわけです。好きという気持ちは本当にいろんなものを鈍らせますね。

 デイジーに「でもあなたが好きよ」と言われた瞬間の「成仏……」って感じがすごい。ギャツビーが求めていた瞬間が訪れたんだなあと思いました。デイジーとずっと暮らすとかそういうことより、彼女の心がずっと自分にあることを確信できる瞬間を彼は求めていたんだなと。ここでだいぶ報われちゃったので、その後銃を向けられたときに死ぬ覚悟があっさり決まってしまったみたいなところがあるんじゃないかなあと思っています。

 そしてニックと再会。ここでもまた「君はあいつらよりよっぽど価値のある人間だ」と言われて報われてしまう。ニックのことは本当に友人として好きだったんだろうなと思うので、そんな人に認めてもらえて嬉しかったんだろうなと思います。結局お金を稼ぐとかセレブと繋がるとかそういうことよりも「認められたい人に認められる」というのが一番嬉しいのかなと。もちろん努力で勝ち取ってきたものがあるという前提あってこその喜びだとは思いますが、ニックのそれで最後のピースがハマったのかな~と思いながら見ていました。

第10場・神の眼

 クライマックスの大ナンバー。神の眼を欺いて愛する人を守ろうとするギャツビー、神は真実を知っている、それを受けて俺が裁くと歌うウィルソン、その神ってどの神のことを想定しているんだろうな~と思ったりしました。多分キリスト教の神なんだろうけど、ギャツビーがキリスト教の神に祈るというのもなんだかな~という感じというか、キリスト教的家族観と家父長制や階級社会は結構密接にくっついているので、お前はそれをひっくり返しにかかっているのではないのかと思わないでもない。信仰とそれはまた別物という場合が多いのだとは思いますが、キリスト教徒の人はそのあたりどうとらえているのか気になるところです。キリスト教といえば原作ではトムが「俺は妻(デイジー)と離婚したいが彼女はカトリックなので離婚できない」とマートルに嘘をついていることに触れており、それについても思い出しました。結局神も何もあったもんじゃないよという結末ではあるのですが……。ウィルソンは自分の行いを神を持ち出して正当化してるけど、それ違う人だから……!神の眼よりギャツビーの愛の方が強かったとも言えますが、それはそれで神何してんの!という感じである。

第11場・突堤

 ギャツビーが撃たれたとき『朝日の昇る前に』が流れるのが「終幕!」って感じで好きです。夢の終わりを思いますが、でもまあ報われてるからな……。わたしはなんとなくこれはハッピーエンドでは?と思っています。デイジーへの愛を完成させて文字通り永遠の恋人になってしまうわけで、あまりに突然の幕切れではありますが、あの生き方で長生きできる感じもないし……どうしても手に入れたかったものを手に入れて死ねるというのはある意味幸せなのでは?と思います。あと倒れながら「デイジー愛してる」って口の中でつぶやくのはさすがに怖い。地縛霊待ったなし感がある。デイジーの歌っていた「瀕死の白鳥は / 最後に鳴くという / 本当に好きな人の名を」を拾っているんだと思いますが、お前がデイジーのことが好きなのは全員知ってる……!!

第12場・ニックの部屋~街路

 最後の最後に「愛ってゴルフボールより打つのが難しいのね」と上手いこと言って去るジョーダンのせいで連れて行った友人の最初の感想が大半これになってしまうんですよ。誰が上手いこと言えと……というか上手いのか?

第13場・墓地

 デイジーがやってきて花を手向けるのはタカラヅカ版ならではだなー!と思いました。ニック以外誰もギャツビーの葬儀を見届けない、というのが原作だとキモっぽい感じでしたが、やっぱりギャツビーとデイジーラブロマンスにしようとするとデイジーにとってずっと特別な人でなくちゃならないんだなと。薄情じゃないからこそデイジーの今後は結構しんどいのではと思いますが……ジェイが空から見守ってくれてると思って頑張ってほしい。多分ほんとに見てるし……。

 じゅんこさん演じるお父さんが本当に泣かせる。ピンポイントの出番で大きく観客の心を動かすのはまさに専科さん!という感じです。素朴で学も教養も金もなさそうだしギャツビーは「こうはなりたくない」と思ったのだろうけど、お父さんのこと自体は切り捨てたかったわけではないんだろうなと自然に思える感じが泣ける。

第14場・突堤

 観ている間は「は~~っ、すご……大作でした……」とただ圧倒されていますが、改めて考えるとこの場面普通に地縛霊っぽいな……。死んだ後もずっとイーストエッグというかデイジーを見つめている。愛を取り戻すという目的は達されたので悪いことするタイプの霊ではないと思いますが、近隣のうわさにはなっていそう。ギャツビーの霊が出るらしいよ、とかって。

第15場・フィナーレ

歌唱指導

 ちなつさんのお衣装が素敵!青をベースにパールがたくさんついてて袖口がヒラッとしていて、ちなつさんのスタイリッシュなダンスにすごく合っててよかったです。曲はそれなんだ!?と思いましたが、歌唱指導の曲選びってわりと不思議なこと多いですよね。

ロケット

 真ん中でめちゃくちゃかわい子ぶってるだいあくん(月乃だい亜さん)がかわいい。が、その直後可愛いのプロですみたいな3人(まのんちゃん、ほたるちゃん、いちのりん)が出てくるので「あっ可愛いのプロ!すごい!」となります。基本的にいちのりんばかり見ているのですが、足上げのあとのポーズでウィンク入れててすごくよかったです。

月城さん+娘役群舞

 娘役さんを引き連れているのに健全な雰囲気しかないところが月城さんらしくてすごく好き。娘役さんが周りにいっぱいいる~!わ~い!みたいな顔してから「じゃあ行きましょー!」みたいに手をポンと握って腕を広げる振りが特に好きでした。でも月城さんがいると全然娘役さんのこと見られないので(目が一対しかないもので……)たまに別々に出てきてくれてもいいんですよ!

男役群舞

 ジャケット振り回すところがカッコいい!(感想②でも書きましたが)月城さんの小道具扱いは素っ気ない印象があったのですが、今回なんだか色気が出ている気がしました。あと前回(FS)ジャケットを振り回していたときは「そこを持つ!?」みたいなところを持って振り回されていたのが今回ちゃんと襟首を持って振り回されていたので進化を感じました。月城さん以外の方のことは月城さんが捌けられた後しかちゃんと見られていないのですが、まゆぽんがいつもの感じで群舞にいらして嬉しかったです。

デュエットダンス

 これまであまり見たことのなかった深い赤のお衣装が素敵でした。うみちゃんの髪型がすごく似合ってて素敵だし、階段の上から本舞台で踊る月城さんを見守っているところがよかったです。男役と娘役逆のパターンはわりと見る気がするんですけど、こっちのパターンは珍しい気がする。うみちゃんが母のような顔になっていてちょっと面白い。普通にデュエダンだと思って見ていると素敵なお衣装!と思うのですが、ギャツビーとデイジーがもう一回出会って……というシチュエーションだと思うと「またそんな浮かれたキラキラお衣装着て!(しかも今度はデイジーとお揃い)」と思ってしまうので、設定って影響力が大きいんだな。

パレード

 エトワールのいちのりん、本当に歌が上手くてびっくりしました。表情管理もすごくてできる女すぎる。階段降りてきてお辞儀したあとちょっと首をかしげるところがキュート!月城さんの大羽根についてる飾りがどことなくファンネルみたいで、うみちゃんの方にもあれがついてるため、ひし形の部分を飛ばして攻撃してくる敵みたいだな……と思っていました。

 

やっぱり感想まとめると全部で2万字くらいになるということがよく分かりました。この話は以上です!

月組公演『グレート・ギャツビー』感想②

というわけで続きです。

第8場・アイスキャッスル

 あんなに可愛かった中尉さんがすっかり "ワル" になってご登場。コートを肩に羽織ったスリーピースのスーツはテッパンコーデですが、あれコートどうやって止まってるんだろう。物理的にどう考えても落ちる動きをしてたので普通にかけてるだけではないのは確かですが、脱いだあと特に留めてた形跡が見られないのが不思議です。階段を降りてきてカードでイカサマするスレイグルを見つけ、帽子を投げる。投擲がめちゃくちゃ上手くないですか?月城さんに関してはあまり小道具扱いが上手い印象がないのですが(別に下手でもないけど、素っ気ない扱いをする)、帽子投げるのはめちゃくちゃ上手いな!と毎回感心していました。

 カードのイカサマをしようとするスレイグルをハンドパワーで威圧し、ギャツビーはカウンターの上に。カウンターに土足で上がるなんて……なんてワルなんだ……。というのは冗談にしてもさっきの中尉さんがこんなに変わってしまって切ないやら沸くやら。とはいえ内側にあるものは全然変わってなさそうですが(それはそれで怖い)。『アウトロー・ブルース』は下で踊ってる人たちの振りがカッコよくて好きでした。冒頭でビロクシーが腕ぶんぶん振り回す振り(伝われ……)がキレキレですごくカッコよかったし、ゆーゆ(結愛かれんさん)のヴィッキーとは全然違う色香漂うダンスが最高。かわいくてキュートであざといヴィッキーもいいけど、わたしはずっと『赤と黒』のフェルバック元帥夫人を引きずっているので大人っぽいゆーゆが大好きです。あとシガレットガールたちが可愛すぎるじゃないですか。オープニングメンバー感漂う最上級生みうみん、品出しなどの仕事もきっちりやるほたるちゃん、上昇志向が強くてなんか揉め事起こして辞めそうないちのりん(一乃凛さん)……。いちのりんが客の男にちょっかい出そうとして連れの女性にバレてるとこをある日の回で目撃してしまい、それ以来彼女はパトロンを探しにアイスキャッスルでバイトしてるということにわたしの中で決まりました。

 アイスキャッスルにやってきたニックはなんだか立ってるだけで浮いていて居心地悪そうで可愛い。白めのベージュスーツって普通に見たら結構派手な感じだと思うんですが、いい感じに落ち着いている&ニックの「白さ」(悪いことに手を染めていないという意味で)が浮き出るようでいいなと思いました。育ちのよさは残しつつ派手さのない着こなしが上手い。可愛い中尉さんからやさぐれてしまったギャツビーがスタイリッシュなブルーのスーツなので、その対比もいいなと思いました。そのニックに話しかけるギャツビー、二人が直接会話するのを見るのは第2場の突堤以来のはずなのに距離が縮まっているのにあんまり違和感がないんですよね。回想を挟んだ結果ギャツビーの内面が知れたというのもあるんだと思いますが、多分距離の取り方が巧みなんだろうな。ティーカップウイスキーを飲むことに驚いたりマイヤーを「歯医者なのかい?彼!」と言ってみたり、色々とピュアというか純朴というか善良というか、なニックにわれわれ観客だけでなくギャツビーも好感を抱いていそうなところも表情作りが上手いな~と思いました。ニックが「え!?」みたいな反応を見せるたびにちょっと面白そうに笑うんですよね。

 ニックと言えば「彼は警察に知り合いが多いんです」のくだり、本公演では「警視総監か~(笑)」という反応で清濁併せ呑むおおらかさみたいな方が立っている言い方だったのに対し、新人公演のるおりあちゃん(瑠皇りあさん)は「警視総監か……(やや引き)」という感じで純朴さを立たせているのがオリジナリティあっていいなと思いました。本公演に比べるとすっとぼけたところが少なくて、貴族とは行かないまでも中流上層のいいとこのお坊ちゃんという感じが強くてよかったです。

 そしてトムとの邂逅ですよ……突然中の人の話で恐縮ですがちなつさんに塩対応されている月城さんを見ると悲しくなってしまうというのがよく分かりました。役なのは分かってるんですけど……。ギャツビーも露骨に余裕がなくて表情が硬すぎてヤバい。トムはトムで明らかに自分と違う匂いを瞬時に嗅ぎ取っているのか、ニックと接するときの明るさが全然見えない。トムって自分にとっての内と外をめちゃくちゃ区分けしてる人なんだろうなというのがすごくよく分かるくだりだなと思いました。2幕冒頭のヴィッキーとのくだりでも触れますが、自分にとって "外" の人間だと判断した瞬間まとう空気が全然変わってしまう。身内を守ろうとするところなど家父長としての振る舞いは完璧なんだよな~、なんというかトム自身の人格がダメなやつというより社会制度のダメさを反映した嫌さがあるというか……。

第9場・ニックの家の前~ギャツビーの家の中(時は戻らない)

 正直初めてあのどピンクのスーツが視界に入ったとき吹き出してしまいました。浮かれすぎだろ。気合の一着があのピンクだと思うとかわいそうやらいとおしいやら……5年間想い続けた恋人と再会するにあたってあのピンクを選んでしまうあたり気合の空回りがすごいとか、やっぱり本来のセンスはあんまり洗練されてないんだな……とか色々なことが瞬時によぎりました。突堤で着てた白スーツに今すぐ着替えてきてくれ。花道から銀橋に踏み出す前に手にした花束に視線を落として「……よし……」みたいな顔するところも可愛いんだか気持ち悪いんだか……心がふたつある~(ちいかわ)。

 ギャツビーの隣だということを知った状態でニックのところに訪ねてきたデイジーがギャツビーと "偶然" 会ってしまう可能性について考えていたかどうかは分かりませんが、銀橋の向こう側からやってくるピンク色の人を見た瞬間から夢の中にいるような表情になっていたのでなんかお似合いだよ……と思いました。ギャツビーがヤバいのは確かだけど、デイジーもデイジーで大概である。そしてこんな状態で誘われてオッケーするニックのおおらかさよ。わたしだったら固辞します。もしかしてデイジーの身が危ないかもと思って着いてきてくれたのかな?

 ギャツビー邸に入り、デイジーに諸々のストーカー的行為がバレますが問題ありませんでした。「ジェイ、あなた……」までちょっと不安げな顔してたけど続く言葉が「わたしが見えるところに家を建てたのね…♡」だったので、よかったね。その後「シャツさ!」が来るわけですが、毎回ちょっと笑ってしまいました。なんか満を持してシャツを投げ出すから……。当時下着扱いだったシャツにすごく金をかける=豊かさを示す、みたいな感じなんだと思うんですが結構唐突に投げ始めるのでびっくりします。夢の中モードに入ってしまっているデイジーはともかく、ニックもわりと乗っかってくれるので本当に優しいやつだ。

 その後銀橋に出てきての「できる。絶対できる!」のくだりは仕事でしんど~となったときに自分に言い聞かせるのに非常に便利でした。すごく力強く「絶対できる!!」の日もあれば思考より先に「できる」が口から出てしまったような言い方の日もあり、ギャツビーという人は一見無理そうな壁に対しても自分にこう言い聞かせてここまでやってきたんだなと思えて好きな台詞です。まあ絶対そっちに行っちゃだめなのにそんなん言われてもな……という感じではありますが、デイジーは案の定結構あっさり陥落していました。現実と夢の狭間でぐらぐらしていた様子はありましたが、「過去を取り戻すことができるかどうか」の話はするが結婚したことを「取り返しのつかないこと」と表現しているあたり気持ちは完全にギャツビーにある。

 どうでもいいけど「バンガローみたいだろう」が韻を踏んでおり、ダメ押しで「いいよ、邪魔だろう」と来るので観劇中結構面白くなっちゃってました。集中したいのに耳と頭が勝手にラップを……

第10場・トムとマートルの電話

 苛立ちをマートルがストレートに表現するのに対しトムが細かくイラついているのがいいな~と思いました。電話越しの声に対して視線がイライラと空中を行ったり来たりしたり眉を顰めてみたりため息をついてみたりと忙しい。「どうせあんたにとってはあたしなんか人間のクズよね!」と言うけど、多分人間として認識してるかどうか自体微妙だと思うな……。女体としか思ってないんじゃないでしょうかね。

第11場・ギャツビー邸の前庭

 ここが庭だって千穐楽間近になって初めて気が付いたんですよね……。なんかダンスホールとかかと思ってました。この場面のハイライトといえばブエノスアイレス出身だという理由でなぜか歌を要求され、「いいんですか(笑)」と嬉しそうに応じるラウルですね。2008年バージョンではちゃんとした歌手をアルゼンチンから呼んでいたらしいんですが、なんで今回はラウルに頼むんだよ。いやラウル歌上手かったしソロ・メモーリアスもめちゃくちゃいい曲でしたが(「この恋を思い出の岸辺に / 流し去ることなどできはしない / 僕たちには」とかの歌詞がとても詩的でよかったです。ロマンスを歌わせたらイケコはパワーを発揮する……)運転手に頼むことか?このくだりのおかげでなんかラウル=何かにつけて歌いたがる人、みたいなイメージがついてしまい、ちょっと面白くなってしまいました。

 そんなラウルの歌をバックに踊るタンゴを通じてデイジーがどんどん少女時代の表情に戻っていくのがすごくよかったです。大人になってからのデイジーはどこか感情を封じ込めたような表情をずっとしていたのに、踊りながら目に生気が戻ってきてルイヴィルにいたころの「世界はわたしの思うがまま!」みたいな感じが垣間見えるのが巧みでした。その後トムにバレて「やべっ!」って感じで現実にいったん引き戻されてしまうわけですが……。トムがデイジーを詰問するくだり、一瞬なんですけどめちゃくちゃリアルで怖いんですよね。わたしの父はわりと典型的な家父長おじさんなのですが、詰め方がそっくりで反射的に怯えていました。お前の生殺与奪は俺が握っているんだということを分からせようとしてくる感じの詰め方というか……。普段は("内" の人間に対しては)わりと優しい方なところも似てる。

 その後マイヤーさんに「処置なしだ」と言われて無職になってしまうギャツビーですが、なんかそれでも「勝った!」みたいな顔してるところが怖い。「僕は生まれ変われるだろうか / 君も生まれ変われるだろうか」って勝手に他人を巻き込んで生まれ変わらそうとするんじゃないよ。この(タカラヅカ版の)デイジーはその気がありそうだからいいものの、原作ではそれで辛い感じになっちゃったし。そんな怖い『朝日の昇る前に』リプライズですが、それでもやっぱりいい曲なんだよな~!楽曲としての力が強い。力が強いからこそ怖い。わたしがマイヤーさんだったらギャツビーの始めようとするビジネスは邪魔しにかかると思うので(だってどうせ合法でも縄張りを食い合うようなビジネス始める気でしょ?)、うまくいくはずがないと思うのですが……でもギャツビーからしてみたらデイジーと再会できたのだから後はなんとかする、なんとかしてみせる、できる、絶対できる!!!って感じなんでしょうね。この不屈の精神はちょっとだけ見習いたいところです。あとマイヤーさんも「元気でな」で許してくれるので(指とか詰めなくて大丈夫そ?)意外と妨害もしてこないのかもしれない。平和~

キリがいいのでいったんここで区切ります。第2幕に続く!

月組公演『グレート・ギャツビー』感想①

 気づいたら公演が終わっており完全に時期を逸した感がありますが、グレート・ギャツビーの感想をまとめておこうと思います。

名作の再演がやってきた

 と言ってもこれまでも月城さん(月城かなとさん)は『THE LAST PARTY』に始まり『ダル・レークの恋』『川霧の橋』などさまざまな名作に挑んで来られているのでものすごい驚きというわけではなかったのですが、とはいえ大劇場公演で1本もの、しかもイケコ演出でグレート・ギャツビー!となるとこちらの肩もぶん回ってしまいます。現代的リアリティのあるお芝居で名作の再解釈をさせたら今の月組は天下一品だぜ!という気持ち。

 ファンも多いという本作、わたしは原作小説をだいぶ前に読んだことあるだけだったので公演前に予習しようか迷ったのですが、結局特に予習をせぬまま臨みました。結果的に良かった気がする。公演が始まってから瀬奈さんのバージョンを拝見しましたが歌詞は同じでメロディが違う楽曲が結構あり、前バージョンを親ギャツビーにしてしまっていたら初日違和感を覚えたかもしれない。数年前から原作や初演のあるものに関してはマイ初日が開いてから見たり読んだりすることにしているのですが、今回もそれで正解だったと感じています。

 あとこれは完全に余談ですが、ギャツビーの発表が通常のタイミングよりだいぶ早く「これなんかあるんじゃないの……」と怯えていたところ、単純に宙組ハイローをFLY WITH MEと同時に発表するためには順番的にその前の公演であるギャツビーを発表しておかねばならなかったというただそれだけだったっぽくて笑いました。その後ありちゃん(暁千星さん)の組替えが発表されて死んでしまうわけですが……。

グレート・ギャツビーとわたし

 突然の自分語りで恐縮ですが、わたしが初めてグレート・ギャツビー(小説)を読んだのは高校生の頃でした。当時ゆる〜いハルキストを気取っており、春樹が本作を好きだと公言していたため手に取ったのだと記憶しています。今となってはなぜ村上春樹が好きだったのかすら思い出せないのですが……。今は村上春樹版の訳書が出ていますが当時はまだ出版されておらず、読んだのは確か新潮文庫野崎孝氏の訳だった……気もしますがそれも覚えていない。唯一覚えているのは読後「胸糞悪っ」と感じたことだけです。今より数段ピュアで潔癖で夢見がちだった17歳の少女にとって人間の持つ酷薄な身勝手さとそれを容赦なく描くシニカルな視線はなんだか受け入れ難かったのでしょう。大人になってしまった今改めて原作を読むと登場人物がみんな不完全なところがむしろこの作品の魅力であろうと思うのですが、同じ作品に人生の異なるタイミングで触れることの面白さはそういうところにあるのかなと思ったりします。その「人生の異なるタイミングで複数回触れる作品」がまさかグレート・ギャツビーになろうとは全く思っていなかったのですが(自分にとって大事な作品になりそうな予感とか高校生時点では全くなかったので)、その巡り合わせも含めてわたし自身にとっても大事な作品になってしまった。人生の中で複数回読んだ小説ってよく考えたらギャツビー以外では『細雪谷崎潤一郎)』と『きもの(幸田文)』くらいでは……?

 そんなわけで原作の魅力は「登場人物がめっちゃリアルに自分勝手」なところだとわたしは思っています。ギャツビーのことをあっさり切り捨てる(まあ彼女は彼女で必死だったんでしょうが……)デイジーをはじめ、家父長制&階級社会を煮詰めたようなトム、欲求に正直すぎるマートル、どうしようもない嘘つきのジョーダン……。主人公のギャツビーもわたしからすると結局デイジーのことをトロフィーとして見ているだけという印象なのであんまり好感を持つことができず唯一まともなのはニックだけなのですが、でもまあ人間ってこうよね!!結局人間なんてどこまで行っても完璧ではあり得ないし、まあちょっと本作の登場人物はさすがに身勝手が過ぎんかとは思いますが、でもきっとみんな一皮剥いたらこんな感じなのであろう。フィッツジェラルド自身色々問題のある人だったらしいし、シニカルかつ繊細なのに野心があるタイプだったんだろうな〜生きるの大変だっただろうな〜と『THE LAST PARTY』のスコットに思いを馳せたりしました。そりゃ酒浸りになって身体も壊す……。

タカラヅカグレート・ギャツビー

 一言で言うとグレート・ギャツビーではないがこれはこれで面白い」です。つまりいつものイケコです。人物造形を結構大胆に変えているので、特にデイジーなんかはほぼ別人だし話から受ける読後感が全然違う。でもそこまで変更してなお面白いものにしちゃうあたりがさすがの剛腕である。マス向けのエンターテインメントを作らせたら本当に右に出るものはいないなと思いました。大きな劇場で、様々な背景や価値観を持ったたくさんの人を一度に楽しませるための演出がすごくうまい。ギャツビーがそういうことに向いた題材だとは全然思いませんが(確か小池先生ご本人もそんなようなことを言っていた)、それでもこんなに「エンターテインメント」になってしまうんだなあと感心しました。一本もの特有の中弛みがなくてあっという間に2幕終わるんですよね。毎回「あれ?もう終わった」と思っていて、本当に3時間あるのか?と時計を確認したこともあります。(なんなら5分押しくらいでした)

 ギャツビーは原作よりも献身的な愛の人に、デイジーは原作よりギャツビーのことを特別に思っておりより被害者性が強くなっている印象でした。トムも原作よりギャツビーと同じ土俵に降りてきている感があり、その結果ラブロマンス色がとても強くなっています。原作はどちらかといえば「階級移動に挑む(その結果としてデイジーを手に入れる)」というのが主要な動機になっていると思うのですが、タカラヅカ版は「デイジーとの愛を成就させるために(元々志向していた)階級移動に挑む」という印象。作品としての深みは減ったけどその分わかりやすく、かつ受け入れやすくなったと思います。タカラヅカ、特に大劇場公演に求める読後感は「は〜楽しかった!すごかった!」がメインであろうと思うので(だからフィナーレと大階段でのパレードが必須)、それを考えるとまあ正解なのかな……でも原作が好きという人を連れて行く時は事前に「原作とは別物」という注意喚起をしてから公演に臨んでいました。みんな「これはこれで面白い」と言ってくれたのでよかったです。

場面別感想

 相変わらず長文がマジで長文になってしまう傾向がありここまででだいぶ長いのですが、ここから更に長くなります。ご容赦ください。

第1場・ギャツビー邸

 冒頭からじゅんこさん(英真なおきさん)とニックおだ(風間柚乃さん)の絡みなのでいきなり芝居のレベルがトップギア。運転手さんの喋り方やテンションが日によって違って面白かったです。ギャツビーのパーティはとにかくまゆぽん(輝月ゆうまさん)演じるマイヤーさんがかっこよくてかっこよくて……警察が踏み込んでくる時の余裕の構え、ほんもののイケおじだぁ〜!と湧きました。発砲された瞬間「うるせえなあ」みたいな顔して人差し指を耳に突っ込むのがほんと罪。いつかタカラヅカゴッドファーザーでドン・コルレオーネを演じていただきたい。

 パーティで騒ぐ人たちがギャツビーの経歴についてあれこれ言うくだりで歌い継ぎの最後を担うのがあみちゃん(彩海せらさん)。月組大劇場デビューでいきなり「いや歌うまっ」というのを見せつけられました。しかもたったワンフレーズで。表情(口の開き方)と動きがのぞみさん(望海風斗さん)そっくり。フレーズも振りもちょっとのぞみさんがやってそうな感じなのもあると思いますが、ちょっと激似すぎてびっくりしました。こうやってDNAが受け継がれていくのか。

 あみちゃんの「さあ?知らないね」から始まる「どうでもいいさギャツビーの過去なんて / 今夜が楽しけりゃそれでいい / それがGatsby's party」というフレーズがとても好きで、ギャツビーのパーティに来ているゲストたちの軽薄さや、好景気に沸くアメリカの刹那的な狂乱がすごく伝わってくるなと思います。ここにいるゲストたちは誰もギャツビーに興味がないし、仮にギャツビーを知っていたとしても人間としてのギャツビーではなく彼の持っている金や彼を取り巻くゴシップを見ているのだろうなと。そのあと出てくるギャツビー(月城さん)が完全に閉じた表情をしているのも併せて、関係性が瞬間的に分かるのがすごくいい。

 銃声、「わたしがギャツビーです」、拍手 という一連の流れは最初「えっ拍手するの!?」と思ったのですが(芝居の流れ的にはない方が……)、これがタカラヅカらしさだなと思い直して身を委ねました。タカラヅカの拍手、伝統芸能みがあって割と好きです。歌舞伎で言う大向う、ここまでセットでタカラヅカなのだ……。そんなタカラヅカ的な登場をしたギャツビーは前述の通り完全に心の扉を閉じ切ったザ・外ヅラをしており、何かあるんだろうな感が満載でした。胡散臭い!(褒めています)

第2場・ギャツビー邸庭続きの突堤

 この場面がも〜〜本当に好きで好きで。Twitterでも一生この場面の話をしていたわけですが、もうとにかく月城さんのお芝居上手が大爆発している。それを受けるおださんもお芝居が上手いので、グッと引き込ませるような独特の緊張感があってすごくいい場面だと思います。かの名曲『朝日の昇る前に』もここで初出ですしね。

 『朝日の昇る前に』をちゃんと腰据えて聴いたのはこれが初めてでした(一度New Wave雪では聴いていた)。まず歌詞が美しい。「もうすぐ朝の日が昇る / 地平をバラ色に染め上げて」の情景描写があまりに美しくて最初のフレーズで心を掴まれてしまいました。メロディは壮大で、ギャツビーの描く夢の大きさ果てしなさを感じさせます。背景の空が徐々に明るくなっていき、向こう岸の緑の光が魅力的かつどこか不吉に明滅するところも素敵でした。こちらに背中を向けてワンフレーズ歌うのも最高。セリの上でこちらに背を向けて歌っている月城さんが貫禄に溢れていて、オペラを下げて聞き入るのが好きでした。振り返った瞬間にオペラを上げて「今日も顔がかわいい!」と確認するわけですが……(確認したらまた下ろす)。

 歌い終えてまた向こう岸を眺め始めるとニック登場。声をかけられて「おはようございます」と一言、そのあとの沈黙で垣間見える警戒心と探るような視線がたまらん……じっとニックを見据えているその顔がやたらと整っているのも威圧感に結びついており、月城さんの顔面が芝居にめちゃくちゃいい影響を及ぼしている……!と感動しました。黙っているとちょっと怖いタイプの美貌。ニックが「隣に引っ越してきました〜」と自己紹介している間にちょっとめんどくさそうな顔で視線をニックから外すところはギャツビーにとって入江越しにブキャナン邸を見つめるこの時間が非常に重要で大事な時間だったのだと感じさせることができて巧みだな〜と。そのあとパッと外ヅラを作って嘘の経歴を披露するところはなんだか芝居がかっていて、その上で「隣人のあなたにだけは"真実" を知っていただきたいと思いましてね」とあえて強調するように言うことで嘘っぽさを強めている。相手をうまくおだてつつ "ギャツビー劇場" に巻き込んでいくような人心掌握術を使う人なんだな〜という輪郭が浮かびます。細かい台詞回しが本当に緻密かつ効果的。そのあとの「自慢話を披露するつもりじゃあなかったんですよ」はすごく胡散臭い!笑 が、ギャツビーのこんがらがった自意識と承認欲求が窺えてすごく好きな台詞です。勲章見せるところは最初見たとき「いや持ち歩いとんのかい」(フランツのネックレス@エリザか?)と思いましたが、原作改めて読んだら持ち歩いてました。イケコのせいじゃなかった。

 ギャツビーの作り込まれた怪しさを受けるニックの鷹揚と言うべきかスッとぼけていると言うべきか、ちょっと大らかすぎるところもすごく好きです。ギャツビーに引きずられず "普通の人" の立ち位置をしっかり守った上で「向こう岸のイーストエッグに誰かいるのですか」とか「恋人ですか」とかナイスなパスをしてくれる。ギャツビーは「バレましたか」とか言うけどそりゃそんな顔して向こう岸見てたら誰でも分かるわ(顔見えてないけど分かるぞ)。勝手に「永遠の恋人」とか言うところはこのすぐあとに爆発する気持ち悪さの片鱗が見えてますが、それを完全にスルーして「あなたのような全てを手に入れられた人に想われるなんて、幸せな人ですねえ!」とか言ってくれるニックは本当にいいやつ。ギャツビーも「そうでしょうか」に嬉しさが出ちゃっている。とはいえこの「そうでしょうか」に若干不安げで自嘲的な響きが混じっているのもすごくいいなと思っています。

 「ぼくも向こう岸に知り合いがいます」のくだりを聞いているギャツビーはカフスをいじくったりして露骨に興味なさそうなのですが(ニックじゃなかったら興味のなさがバレて嫌われてるぞ)、トムの名前が出た瞬間に動きを止め、恐る恐る妻の名を問う。デイジーの名前が出るとともに目にライトを入れてキラッと光らせるのが巧い。月城さんは目が本当に饒舌。デイジーの話が出た途端に心の扉が突然フルオープンになり「わたしの車で送らせましょうか」と食いついてくるあたりからだいぶ正気ではない感じですが、ニックは大らかなので「謎のギャツビーさんとお話しできて光栄です♪」とか言って流してくれる。間違いなく大物の器。

 そのあとのナンバー、『デイジー』に震え上がりました。怖すぎる。歌い出しからうっ……とりしてるうえに照明がピンクでしかも月城さんがよくお芝居でやるあの夢を見るような瞳が全開なので、すべての相乗効果により完全にこの世にないものが見えちゃってる人。月城ギャツビーの何がこんなに怖くて気持ち悪いかってたぶんあの瞳で、デイジーへの愛が純粋かつデカすぎて怖いんですよね。人間って普通そんなに誰か特定の人に捧げられないのよ……というタイプの怖さ。この人まともに見えるけどもしかしてないものを見ちゃってる……?という。観劇中エリザのルキーニを時折思い出したのですが、表出する方向が違うだけで中身は似ているのではないかと思いました。その怖さが全部このナンバーに詰め込まれているため、わたしの中で恐怖のテーマみたいなポジションになってしまった。劇中流れるたびにヒェッとなってました。また曲調も夢のようだから余計に怖い。

第3場・デイジーの邸の居室

 ニックが今度はブキャナン邸に。瀕死の白鳥を踊ることを夢見るデイジーとそれを「無理よ」とばっさり切り捨てるジョーダン、ゴルフを教えてあげるというジョーダンに「そんなの何が面白いの」と言うデイジー、やられてやり返してという間柄なのは分かるけど自分がそういうコミュニケーション取るタイプじゃないのでちょっとヒヤヒヤしてしまうな……。「あたしたち親友なの」と言うけどたぶんものすごく気が合うとかそういうことじゃなさそう。原作ではルイヴィルからの付き合いという設定だったけど、確かに幼少期のコミュニティが同じでなんとなくずっと付かず離れず関係が続いている(でも本質的に気が合うわけではない)友だち、と言われるとそんな感じの距離感なのかもしれない。それにしてもうみちゃん(海乃美月さん)とみちる(彩みちるさん)の並びは最高だな。綺麗と可愛いが揃っている。

 そしてトム帰宅。トムのことは全然好きになれないけどちなつさん(鳳月杏さん)がかっこよくて色々と判定がブレる。『アメリカの貴族』はもう歌詞が排外主義血統主義人種差別満載で最悪なんだけど曲が楽しくて好きになってしまうので悔しい。また「今に黒人の大統領が現れるかもしれないんだぜ」のくだりがオバマ→トランプを経て至る現状で聞くとなんかこう……お前らみたいなのがいるから……!みたいな気持ちになりますね。いや実際のところはトランプ政権を生んだのは "アメリカの貴族" たちではなさそうですけど。でも歌詞にある「全て俺たちの祖先が築いた / 後から来た移民や奴隷に明け渡しはしない」っていうのが全ての基礎だと思うので、結局のところ原因はそれだろと。楽しい曲のわりに現代に至る問題がめちゃくちゃ表れてて色々考えさせられるんですが、果たしてそこまで意図して作られてるのかはちょっと分かんないです。初演1991年当時にこの曲があったかは分からないのですが、2008年月組当時もまだオバマ政権誕生前だったし……1年後だったら「今に黒人の大統領が〜」の台詞に更に文脈が乗っかって面白かっただろうな。トムの読んでた警告書からゆうに90年近くかかりましたけどね、黒人の大統領の誕生。(そして女性の大統領はまだ現れていない)

 そして給与労働者としてはニックに収入を聞くくだりはちょっと失礼すぎんかと思うわけですが、デイジーが「週に!?」とか言い出して失礼を上塗りするという。ニック怒っていいよ!でもたぶん全然馬鹿にするつもりでの問いかけじゃないのが分かるから怒る気にもならないんだろうな。トムにとって人間の価値というのは "生まれ" であって金じゃないし、デイジーにとっても金は遣うだけあって当然なのでそれで人を評価しようというつもりは全くないんでしょう。ただ純粋に数字が小さかったからびっくりしちゃっただけ。当時の80ドルって現在の価値にして100万円ちょいくらいらしいので、高給取りではあるんですけどねニックも!

 そしてパメラ。原作では存在だけ言及されて登場はしないパメラ(2歳)ですが、あえて赤ん坊にして登場させたのはデイジーを現実に引き戻すための重石となるものが必要だったからかなと。原作はデイジー自体がずっとフワフワと移り気でそのとき目の前にいるものに縋るのでその役割は不要だったのでしょうが、本作だとずいぶん自分の意志とギャツビーへの愛がはっきりしているのでそれを捨てて現実に戻る理由付けが必要だったんだろうと思います。それを子ども=母性に負わせるのは個人的に結構キツいので若干勘弁してほしいところはあるのですが……。母は子のために自らのすべてを犠牲にせよという価値観とかなり近いところにある気がしてちょっと。しかもデイジーが自分からパメラのことを考えて判断するのではなくて、ギャツビーやトムに「パメラがいるんだ」と言われてようやく動くところがな……せめて自らの選択であって欲しかった……。母性を人質に取られて行動を強いられる様子は見ていてつらいです。母が子どものためになんでもしてあげたいと思う気持ちは否定しませんが、それは他人に強いられていいものではないはずだ。あとトムはパメラがいるんだとか言う資格ないです、子どもを抱く様子が明らかに育児参加者のそれではないし。別にデイジーもめっちゃ育児してたわけではないと思いますがトムに明らかに "親" としての行いが不足しているのは分かる。「貸して」と言うデイジーが明らかにめちゃくちゃイラついてて、ずっとトムに対して喧嘩腰なのもあってもう夫婦関係破綻してるんだなというのがなんだかリアル。そんなところに少女時代の美しく儚い夢だったギャツビーの名前が出たらそりゃ冷静じゃいられないですよね。

第4場・街路〜ウィルソンのガソリンスタンド

 マートル登場。フラッパーのナンバーめちゃくちゃ好きなんですよね、フラッパーガールを「可哀想で不幸な戦後の娘たち」と表現するところも、「長い髪とスカートばっさり切り捨て / モラルも捨てたの」という歌詞も当事者から出てきたものというよりは外からどう見られているかだと思うんですが、それを当のフラッパーたちが歌うことで皮肉っぽく、それの何が悪いの?と笑い飛ばすような力強さが出ていると感じます。

 じゅりちゃん(天紫珠李さん)のマートルはすごくスタイルも良く可愛いので、本当に「うっかり夫を間違えてしまった」感がすごい。原作では身の程知らずという感じで描かれていましたが、じゅりちゃんのマートルはタイミング次第ではそこそこの上昇婚が狙えただろうし、それがゆえの飢餓感や貪欲さがあるのかなと思いました。

 灰の谷にやってきたトムとニックに対してきゃあきゃあ言うフラッパーたちが可愛い。姉と同じように金持ちの "王子様" を捕まえようとするキャサリンが子どもっぽくていいです。「ふたりはたがいに、ふこうなけっこんのぎせいしゃなの〜!」がいかにもどこかのドラマや小説で聞き齧ったテンプレをそのまま現実に当てはめているようで、身近に起こった事件に浮き足立っている様子。りり(白河りりさん)がまたお衣装のせいかなんか肩幅狭い幼児体型に見えて妹感すごいんですよね。こないだあんなにアダルティにコブラ歌ってたのに……。

 ドクター・エクルバーグの看板に「神の目にも見えるなあ」と漏らすニックに「わたしもそう思うんですよ」と食いつくウィルソンがそこはかとなく不気味。腺病質で鬱屈した感じが終盤の悲劇を予感させて怖いです。顔面だけ見たらカッコいいのに全然それを感じさせない。るうさん(光月るうさん)本当にうまいよなあ、と毎回言ってる気がしますが本当にうまいので仕方がない。

第5場・ニックの部屋とジョーダンの部屋〜デイジーの家の前庭

 「うんめいのかみに、かんしゃします!!」事件。出逢ったときデイジーに言われた「運命だったのよ!」がその後のギャツビーの行動と人生を決めてしまったのだと思うとめちゃくちゃ罪深いのですが、デイジーも大概本気だったしこのデイジーは誰彼構わずそういうこと言ってそうではないので許します(原作のデイジーは人の気を惹くのが病的に上手い人なので誰彼構わずそういうの言ってそう)。まさかギャツビーが「二人は運命で結ばれている」というのを真実にするために入江の向かい側に家建てたりニックに頼んで偶然を演出してもらったりするとは思ってなかっただろうし……。

 ルイヴィル時代のデイジーがいかにも「今まで思い通りにならなかったことなんてひとつもありません!」て顔をしていてすごくいい。気まぐれというよりはわがままそうな印象ですが、そこに悪意はなさそうなんですよね。自分のしたいことは全て叶えられて当然だし、その裏で誰かが割を食ってるかもしれないなんて思いもしない感じ。ジュディはわりとその割を食う役回りが多かったんではないかな〜と察します。だから姉の秘密を掴んだときは嬉しかったんじゃないかなと。カメオのブローチ、ちょうだい!で済むあたりはまだ子どもって感じで微笑ましい。

 花を配るエディとキャッキャしてるルイヴィルの若い娘たちがひたすら可愛いです。すぐ中尉さんが出てきてしまうのであんまりちゃんと見られてませんが、上手端でみうみん(美海そらさん)とほたるちゃん(静音ほたるさん)とまのんちゃん(花妃舞音さん)が3人でなんかやってるのが可愛くて可愛くて。そして出てくる中尉さんはめちゃくちゃ下級生と並んで出てくるのでなんとなく面白いです。素でガチガチの子たちにくっついて芝居でガチガチを作ってる人がおる。胸張りすぎておもろい姿勢になってたりして兵隊さんたちも可愛いです。花を付けてもらうくだりで日によっては並んでる女の子たちを押し退けてギャツビーのところに駆け寄るデイジーが見られるときもあり、それがすごく好きでした。「運命なのよ!」とか言ってるけどさっきめちゃくちゃ押し退けてきてた〜!ドヤ顔が可愛い〜!運命の神に感謝〜!

第6場・ルイヴィルの森

 柳の森ってどんな感じなんだろうと思って画像検索してみたのですがどうにも日本の神社しか出てこない。でもきっとディズニー映画に出てきそうな、いかにも王女さまが囚われていそうな森なんでしょう。ちなみに今のルイヴィルはこんな感じだそうで↓

f:id:natsu05:20221023060905j:image

大都会。https://matadornetwork.com/read/12-facts-louisville-will-surprise/

 わたしがデイジーの親だったら、森番と乳母扱いされたら泣きます。何不自由なく育ててきてこれか〜い。実際デイジーはほぼお姫さまに違いないので、あと足りないピースは「王子さま」だけなんでしょう。お姫さまは王子さまがいないと完成しないところがつらい。王子さまには王さまからの迎え=血筋が必須なのもそれはそれでつらいですが……。それだけはいくら努力してもギャツビーには絶対に手に入れられないものなので、デイジーとの圧倒的な違いを見せつけられるようで悲しくなります。でも曲や二人の様子はキラキラしてて美しいんだよな〜。ここの二人が美しくて幸せそうであればあるほど後の別れが辛く悲しく、そして再会後デイジーがギャツビーの熱量に流されていくことへの説得力も生まれてくるのでそれでいいんですが、わたしの心は千々に乱れている……。デイジーの夢で王子さまが求婚するくだりを聞いているギャツビーの表情がなんとなく照れているような何かを言いたげな感じで、「あっこの人求婚するつもりだ〜」というのが分かって可愛い反面大丈夫かな……と不安にもなりました。夢の中にいる状態で結婚してもロクなことがない!そもそもデイジー(自活できない)のこと養えないでしょ!!と現実世界の労働者としては思ってしまうわけで……。

第7場・デイジーの家の前庭〜ニックの部屋とジョーダンの部屋

 とか思ってたらやっぱりご両親にNGを出されてしまうわけです。まず出征先にデイジーを連れて行けるわけもなし、全ての条件が「無理」と言っているのですがそんなことで恋を諦められたらこの世に悲恋なんか存在しないわな。さちかさん(白雪さち花さん)演じるエリザベス・フェイ夫人がすごく良くて、ギャツビーを詰るでもなくあくまで上品に、それでも有無を言わさず娘との縁を切るように突きつける厳しさが素敵でした。ただ厳しいだけじゃなく背景に色々ありそうなんですよね。そもそも条件的に折り合うわけもないし、何より「わたくしだって娘の初恋を穢すようなことはしたくありません」の声の調子からしてもしかしたら彼女自身も若い頃叶わぬ恋をしたことがあったのかもしれない。当事者だからこそ娘に言う「金持ちの娘は貧乏な男と結婚してはいけないの」が真に迫って聞こえるし、本当に無理なんだなと思える。

 デイジーの大ナンバー『女の子はバカな方がいい』は思い通りにならない世界への当てつけみたいな歌い方がよかったです。うみちゃんが聡明な印象のひとなので、より「その方が幸せなわけないのは分かってんだよでもそうしろって言うんでしょ!?あーあーそうしてやるよそうしろって言ったのそっちだからね!?もう知らん!」感が強い。そういう気分になっちゃうときって……あるよね〜〜。それで人生丸ごともう知らん!てなっちゃうあたりデイジーの勢いもすごいですが、それくらいギャツビーとの別れが彼女の人格形成に与えた影響は大きかったということなんでしょう。「女の子が人の世を知ってしまうと不幸になると言うのね」あたりを聞きながら「いやあんた何も分かってないから……ほんとに……」と思っていたのですが、それは大人になってしまった今だからこそ思えるのかもしれない。何も分かってない子どもが何かが分かった気分になったけど思い通りにならなくて癇癪起こして世界に当てつけをしてる歌、と言うと身も蓋もない感じですが、そういう歌だからこそグッと来るみたいなところがあるのですごくよかったです。あとまあ世界のことを分かってしまうというのは良いことばかりではないので(現状追認からは何も生まれない……)、そういう意味でもすごく大事な曲だと思いました。

 あとどうでもいいけどブローチの話は後にしな!ジュディ!!(エディが「今それ言う!?!?」みたいな顔してるのすごく好き)

 

さすがに長くなりすぎたので分割します!

月組公演『今夜、ロマンス劇場で / FULL SWING!』感想②ショー篇

というわけでショー篇です。

FULL SWING!

ジャズ・オマージュというだけあってジャズづくし!観にこられたOGの方々が口を揃えて「三木章雄って感じ」と言われるのがなんかちょっと面白い。名曲がばんばん使われてるのでどこまで円盤に入ることやら……円盤のためにショー作ってんじゃねえんだよ著作権交渉なんか知るかみたいな姿勢がいっそ清々しい……か?(反語)入らなくても思い出で生きていけるくらい観劇するしかないとある程度腹は括っているものの、円盤にできるだけ入ってほしいところです。円盤の発表が遅いのは著作権交渉頑張ってるからだと信じてるよ。

総評

大人っぽく洒脱なショー、月城さん*1の持ち味に合っていてすごくよかったと思います。初日の感想見返したら真っ先に銀橋歌い継ぎについて触れてて笑った(Dream Chaserに歌い継ぎがなかったことをずっとうにうに言っていたので……)。わりとありがちな抽象的概念をダンスだけで表現しました!みたいな場面を結構手前に持ってきてありちゃん*2はじめとした若手男役にガンガン踊ってもらう場面に仕立てたところがいいな〜と思いました。ああいう場面お衣装が謎ハチマキだったりして視覚的にあんまり好みじゃないこともあり気持ちが緩んじゃいがちなんですが、今回はありちゃんすごいな〜と思ってるうちに終わるしタイミングが早いのでダレない。

あと三木先生は生徒さんの何が得意で何が苦手なのかをすごくよく分かってるなとNew Wave雪の頃に思ったのですが、それが今回も健在でした。月城さんに "役" の色が濃い場面が多いところなんかまさにそう。ちなつさん*3やありちゃん、おださん*4なんかも適材適所!って感じでした。トップさんになると得意なことで勝負させてもらえるようになるんだなあと思ったけど、今回はみんなわりとその傾向が強いのかも。そのあたりはさすが座付きの先生だと思います。娘役さんの場面があったらもっとよかったな〜!月城さんとうみちゃん*5がずっと一緒に出てくれるのはめちゃくちゃ嬉しいんですが。

場面別感想

第1景 The Beginning

月城さんがギラギラのトレンチコートでセリ上がってきたとき、「ワ〜ットップさんだ!!」と思いました。Shoot the Moonってすごくお洒落な言い回しですよね。「月を射るくらい無謀なこと」がちょっとカッコいいことみたいなニュアンスも加わって……って、なんとなく英語のオシャレなとこが全面に出た表現だなと思います。

プロローグはとにかく初日の手拍子が混乱していたという印象が強い。一生揃わんなと思ってたけど千穐楽など通い詰めてる人が多い回ではちゃんと揃ってたので、意外となんとかなるもんなんだなと感心しました。途中からおださんが銀橋渡りながら裏拍で手拍子入れてくれたのもなんかほんと舞台度胸すごすぎ~!と思った。さすがおださん、タカラジェンヌ何周目なんだろう。そう、銀橋渡り、これが見たかったんだよ。銀橋での歌い継ぎがないとショーを見た感じがしないなというのを強く感じました。スターさんが次々出てきて歌ってくれると無条件でテンション爆上がりですよね。

Begin the Beguineはわたしの大好きな「歌う月城さんの周りをみんなが踊って盛り上げてくれる」という構図が見られるのですごく嬉しかったです。これが見たかったんだよ(二回目)。歌っているときの在り方というかたたずまいというかにどこか望海さん*6の気配を感じるときがあり、月城さんの中で「歌の上手い人」の参照元に望海さんがいるんだなあと思ったりしました。別に歌い方とかが似てるわけでもないと思うんですけど、ほのかに伝わるものがあるのは不思議な感じ。

そしてわたしはトップコンビ厨なのでFrenesiがめちゃくちゃ大好きです。客席のことなんか見なくていいからとにかくいちゃついてくれ。幸せそうで本当によかったし、最後月城さんがうみちゃんをバックハグしながら客席に向けてウィンクしてくるのは「どういう気持ちで見れば?」と思いました。最後まであのウィンクはどんな気持ちで観たらいいのかよく分かんなかったけど、とにかくおめでとうよかったね!!という思いでいっぱいです。

第2景 No Rain, No Rainbow

この場面こんなタイトルだったのか……。冒頭からありちゃんがフルスロットルで踊る。途中から背景がライザップに見えてきてしまい、まあありちゃんになれるんだったら通いますよね……とか思っていた。ありちゃんのダンスの魅力はこれまで語りつくされてきていると思うのですが、回転するときの美しさがわたしは特に好きです。今回ぐるぐるぐるぐる回ってくれるので嬉しい。

せりあがってきたじゅりちゃん*7がわりとあっさり捌けていって戻ってこなかったのはびっくりしましたが、檀上でポーズを決めたときの腰の高さに毎度驚いていました。脚なっっっが!

第3景 Just a Gigolo

ちなつさんが芝居と同一人物で出てきた。デュッデュワ♡隊(じゅりちゃん、ゆうきちゃん*8、羽音みかちゃん)がめちゃくちゃかわいいです。役名はビューティーズ。あのワァオ♡ってやつわたしにもやってくれないかな。

ミラーボールをキックするとディスコが蘇るところはなんとなくRPG感ありましたが(伝わるかな……ぽちっとな的な)、紫色の謎コートを脱いだちなつさんがま~~とにかくカッコいい。シンプルなお衣装なのにそれが大正解すぎる。スタイルがいいだけじゃなくて着こなしが上手いんだろうな。途中一人でゆっくり一回転するだけのところがあるのですが、そことかもう失神するかと思った。ありちゃんのダンスはエネルギッシュさが魅力だとしたらちなつさんのダンスはポージングの美だと思っているので、ああいうゆっくりした振りがものすごく映えるなと思いました。ただしここは油断するとシンガーとして出てる白雪さち花さんにすべての視線を持って行かれるので注意が必要。同じくシンガーで出てる静音ほたるちゃんが小さいのにエネルギッシュでかわいい~~捌け際2階席に向けて指でハート描いて投げキスしてくれるの最高。そういうのグイグイできる下級生娘役さんにめちゃくちゃ弱いので、一発でフォーリンラブしてしまいました。オタクすぐ恋に落ちる。

第4景 Le Cafe~ジャンゴに捧ぐ~

月城さんが軍服でせりあがってきますが、軍服なのに全くいかがわしくなくてすごい。なんなら儚ささえ感じる。軍服のコートがデニム地っぽくておしゃれでした。白い蝶がジャンゴの希死念慮的なものを表す幻影として登場するんですが、ワイヤーガン見えしてて若干面白いんだよな……動きとか作りとかはちゃんとしてるんですけど……ワイヤー……。

幕が上がってカフェの場面。ジャンゴのものと思しきギターを抱えて悲しげにしているマ・シェリー(うみちゃん)。悲しげなうみちゃんは美しい……。戦争は終わってるのになかなか帰ってこなかったんでしょうか。ジャンゴ帰ってきてよかったね!そしてまたさちかさんのご登場。前の場面とほぼ同じ役じゃん!ここの歌めちゃくちゃ好きです。ジャンゴの夢はロンドンパリニュウ↑ヨック↑↑

そしてまた白い蝶。ワイヤー……。

第5景 ザ・ヴォイス!

ちょんぱでおださんてそんなのテンション上がらないわけがない。日によって冒頭のタメがすごいときとかあって楽しかったです。ありちゃんの「You!You!You!」で毎日3人ずつ殺られているのだと思うとなんだか嬉しくなっちゃいますね(サイコパスか?)。曲はファンシー・ガイで聞き覚えのあるのが多いんですが(笑)三木先生シナトラメドレーお好きですよね。My Wayの月城さんはまたわたしの大好きな貫禄がすごめの月城さんでした。ほとんど踊らない中詰って新鮮。

It's all right with meは贔屓がいないとこんなに心穏やかに楽しめるのだということがとてもよく分かりました。いるとどうしてもなかなか全体見られないし何かしら高まっているので、こういう場面は嬉しいです。ただただ穏やかに楽しい。

第6景 ミッドナイトイン巴里

三木先生イチオシ、ミッドナイトイン巴里。宝石を生で胸ポケットに突っ込んで持ち歩くとか撃たれた人が実は死んでない治安の良さとか面白いとこは色々ありますが、わたしはモーリス(月城さん)が地団駄踏むまでの一連が可愛くて好きです。ジャンヌに寄ってこられてすぐ本気になっちゃってなんならちょっと将来のことまで考えたりしちゃってない?みたいな顔をするのにあっさりアデューされ、マックス(ちなつさん)にもちょっと笑われちゃって悔しくて地団駄踏むのが可愛すぎる。ジャケット脱いで振り回す振りで、公演始まった当初はまあまあ「そんなとこ掴む!?」みたいなとこを掴んで振り回してたんですが(日によっては袖とか掴んでた)東宝の途中あたりから完全にコツをつかんだのかちゃんと襟首掴めるようになってて成長~~!って思いました。変なとこ掴んじゃってぐちゃぐちゃになってるのも可愛かったけど!

第7景 センテニアル・ムーン

このメドレーすごく好きでした。メンバーも路線だけじゃなく幅広いし、曲も素敵。円盤頑張ってくれよな!!Jazz, it's Jazz! でセットが開いたらありちゃんが「これから回転します」ってポーズで待ち構えてるの最高だったな。ロケットは最初お衣装にびっくりしたけど(猫……)しっぽをぶんぶん回すのはギミックとして面白かったです。あれなんかのオマージュなんかな、パッとタケモトピアノを思い出したんですが(猫とピアノ)タケモトピアノオールザットジャズのオマージュだし、でもあれオマージュなのは全身タイツの方だよな……とか色々考えたけど答えは分からない。猫ちゃん可愛かったです!

第8景 グランドフィナーレ

曲もいいし真ん中でうねうねしてる月城さんもなんかいい。可愛いとかカッコいいとかで表現しづらいんですがなんかいい!そしてそこに猛スピードでわらわら集まってくる娘役さんたち。娘役さんたちが集まってきてる様子を見たすぎてオペラが上げられなくて困りました。そこで贔屓がうねうねしてるんですけど……。

大階段を下りてくる男役さんたちの振りも可愛くてすごく好きでした。TT兄弟みたいなポーズしてる!かわいい!と毎回思っていた。ちなつさんの周りをぐるっと回る月城さんとかそれに喜んでぐるんぐるん回るありちゃんとか、みんなが飛び跳ねてる中後ろ向いて足踏みしてる月城さんとかめちゃくちゃ好きでした。ラテンて聞いて「どんな……」と警戒していたのですが、オシャレな大人のラテンでした。ギラつくというより力が抜けている。こういうラテンもいいな~!と思いました。ミキティラテンショー作ってほしいな。

娘役さんが下りてくるのを待ってる間の胸に手を当ててるポーズも好きだし、スカートを∞の形に振り回しながら下りてくる娘役さん3人も最高だし(うみちゃんのスカート捌きが上手くてすごい!きれいに年次順にスカート捌きが上手くて研鑽の積み重ねを感じました)何百回でも見られるな~と思いました。曲、入ってくれよ……!

パレードはリボンくるくるするのが可愛かったです。うみちゃんのくるくるがヘッタクソで可愛すぎた。なんでもよくできるのになぜこれだけ!好き!!

人別感想

月城かなとさん

やっぱりショーになると「ワ~ットップさんだ!!」と思う場面が多いですね~!謎の貫禄と落ち着き(本人的には「全然そんなことない」なんだろうけど)はご健在でした。上でも述べましたがトップさんになると得意なことで勝負させてもらえるんだなと改めて感じました。ショーだけど役名があることが多かったし、それによって多様な色を見せてもらえて楽しかったです。ショースターのタイプではないからこういうアプローチの方が見たいものを見せてもらえる感じがしました。ところどころ「あっ、ちぎさん*9の動きだ!」とか「壮さん*10の気配!」とか感じるところがあって、これまで見てきたトップさんや先輩方から色々なことを吸収してここまでやってきたんだなと思い泣きました。大羽根はもうとにかくおめでとうございますの一言です。これから楽しい公演がたくさんできますように…!

海乃美月さん

月城さんとほぼほぼ一緒に出てきてくれて嬉しかったです。うみちゃんセンターの場面も見たかったけどそれは今後に期待!ほんと歌もダンスも達者でいらっしゃる……。My Wayの本舞台で踊っているダンスとミッドナイトイン巴里が好きでした。いやLe Cafeのマ・シェリーも好きだったしFrenesiも可愛かった、結果的に全部好き!デュエダンのスカート捌きが的確でかっこよすぎた、大階段の真ん中で腕を斜めに一直線に伸ばす振り(伝われ……)が最高でした。

鳳月杏さん

上でも述べましたが、ポージングが全て美しい。動画の全フレームどこで止めてもカッコいいポーズをしている。力みがなくて洒脱な感じなので今回のショーとすごく合っていたと思います。ジゴロカッコよかったし、「助けてママ!」のところは可愛かった。ちなつさんのしょぼん顔なんか可愛いですよね、なんかこんな顔してる→(´-ω-`)

暁千星さん

ぐるぐるぐるぐる回ってくれてありがてえ~~。わたしはありちゃんのことを百獣の王だと思っているので、ショーだと(かっこよすぎて)怖くてあんまり直視できない。舞台から客席に視線を送るとき「お前を見ている」って顔をしてるのが怖すぎる。そんなん喰らったら恋に落ちてしまう。しかも毎公演どんどんカッコよくなっていくじゃないですか。いなくなっちゃうって嘘でしょ……無理……。

風間柚乃さん

どんどん芸風が濃くなっていく。「顔が濃い」を持ちネタにしてるフシがあるけど芸風の方が濃いよ!エトワールとかクセつよすぎて大好きだよ。エトワールっていうかおだショーでした。プロローグにてありちゃんがお衣装トラブルかなんかでジャケット着て出て来られなかったとき、とっさにシンメポジの自分も脱いで出てきたのとか機転が利きすぎていた。さすが代役に次ぐ代役で鍛えられただけある……(贔屓の代役だったので一生足を向けて寝られません)

彩みちるさん

月組にみちるがいるの贅沢すぎる!It's Only a Paper Moonの銀橋渡り可愛すぎたしたまにゆうみちゃん*11と同じ動きをするのでグッと来てしまった。相変わらず鬘とアクセサリーのセンスがとってもよくて素敵。スチールの黒髪最高です!黒髪のみちる最高!大好き!

 

というわけでショーの感想でした。

*1:月城かなとさん

*2:暁千星さん

*3:鳳月杏さん

*4:風間柚乃さん

*5:海乃美月さん

*6:望海風斗さん

*7:天紫珠李さん

*8:蘭世惠翔さん

*9:早霧せいなさん

*10:壮一帆さん

*11:咲妃みゆさん

月組公演『今夜、ロマンス劇場で / FULL SWING!』感想①芝居篇

かなりしばらくぶりですが長文を書こうと思います。長文を書く能力は書かないとどんどん衰えていくので……。とはいえTwitterで随時垂れ流していた感想のまとめ版という感じなので、新しいことはほぼ言わないと思います。

※ジェンヌさんは愛称で呼びがちですが一応初出時は脚注*1で芸名を添えます。

贔屓がトップスターになった件

もうかなり今更なタイミングですが(発表はおよそ1年前、就任もなんと半年以上前(!))贔屓がトップスターになりました。ずっと(わたしが)お慕いしていたうみちゃん*2と組めて正直ハッピーしかない。トップさんになったことはさておき、相手役さんという存在について今まではその重要性を認識しきれていなかったのだなと感じたのがいちばんの驚きだったように思います。相手役さんというのは『トップの重荷を共に背負ってくれる人』なのだなと実感しました。うみちゃんはスターさんとして既に自立されており名実ともに組を引っ張る一人であることも要因のひとつであるのかもしれませんが、贔屓が一人で重荷を背負っているのではないという安心感がなんだか半端なかったです。贔屓からの信頼も厚いようなので(むしろ積極的に甘えにいっている印象すら受ける)末永くご一緒できるといいなと願っている……。贔屓が自分のお披露目、ではなく二人のお披露目、というスタンスでいてくれるのも安心材料になったような気がします。

プレお披露目『川霧の橋 / Dream Chaser』は

  • 名作の初再演
  • たまきさん*3、さくらちゃん*4の退団公演の再演
  • トップさんとしての初舞台

ということでわたしもだいぶ肩の力が入っていた。こっちについても順番は逆転しますがいずれ感想をまとめたいと思います。博多に23泊したのですが、自分の向き不向き(とにかく外泊に体力を削られる)がよく分かったのがいちばんの収穫でしたね……贔屓と月組さんはとにかくよかったです……。

というわけで満を持してのお披露目公演、発表されたときは「あ〜綾瀬はるかが可愛い洋服着るやつね」という認識&ちぎさん*5お披露目の時と同じ演出家陣だな、という程度の感想だったのですが(よぎるファンシーガイのメイベリン)、先行画像が可愛かったのとポスターが非常によかった。お花畑とお姫さまと星空とで夢みたいにきらきらしているのに青みがかった色調補正のせいかどこか切なくて懐かしい感じで、期待がすごく高まりました。あとわたしとしてはヅカヲタ人生初のお正月公演だったので(前年末から年明けにかけての公演は2020〜2021年で経験済み)楽しみ半分「元旦から遠征きつっ」半分といった気持ち。実際正月休みの全てが遠征に消えたので結構大変でした。仕事も忙しかったしな……。

で、公演の幕が開いてみて、お芝居もショーもすごく楽しくて泣けてジーンとしてとっっってもいい公演でした。というわけで、この感想を長文で残しておかねばと思った次第です。公演も終盤だしバンバンネタバレしてるのでご注意ください。

今夜、ロマンス劇場で

総評

いやまじめちゃくちゃいい話では?ロマンチックファンタジーそのもの。映画もムラと東京の間で視聴したのですが、いいところを上手く残しつつ舞台という形にアジャストする手腕がさすが小柳先生。よりメリハリが効いてテンポ良く観られる作品に仕上がっていたと思います。舞台芝居の特性か、キャラクターも総じて明るく純粋さが際立つ人物造形になっていた印象。美雪以外の映画の登場人物たちもこっちの世界にやってくることでよりファンタジックにコミカルになっていたし、嫌な人がひとりもいないところもいいファンタジー感。

構成

前述したテンポの良さが際立っていて、毎回気付けばクライマックスでした。繰り返し観ていると体力消耗もあってどんなにいい作品でも一箇所くらい集中力切れがちな場面って出てくると思うんですが、今作はほぼほぼそれがない。緩急が上手。楽しくてアップテンポなナンバーがうまい具合に挟まることでショー的な気分で集中を切らさず観続けることができるのと、なにより俊藤の存在がデカい気がしますね……。俊藤が出てくると問答無用で笑ってしまうし場面の進行があっという間。さすが大スター!(勉強になります!!)もう少し細かいレベルでもすごく間がよくて、悪魔祓いのナンバーからの爆発→「牧野健司、クビー!」「俊藤さーん!!!」ピーポーピーポー……(暗転)の流れのテンポが良すぎて毎度暗転するたびに笑ってしまう。嵐のような怒涛の展開。笑っちゃうところもさることながら、クライマックスで健司と美雪の場面に入る前に本多さんの過去を思わせる場面を挟むことでモードチェンジするところなどももはや匠の技だなと思いました。またるうさん(光月るうさん)が相変わらずめちゃくちゃ上手いから効果抜群。

ストーリー・演出

ストーリーはシンプルながら感動的で、健司の選択は(わたしは初見時映画を未見だったので特に)ポジティブな驚きがありました。演出で何より好きなのは二人の間にある愛を他の "普通" と言われるカップルと並べて描いたところで(シナリオハンティングとか、その後のふたりのとことか)、アセクシュアルの肯定だよな〜と思いました。二人の間に「(性的な意味で)触れたい」という欲求があったのかどうかは誰にも分からないけど、触れ合わない二人の間にある愛も形は異なるかもしれないが他となんら遜色のないものであるというメッセージが伝わるいい演出と素敵なラストだったと思います。

セット・お衣装

60年代が舞台なだけあってレトロで可愛かった!特にお衣装、美雪さんのだけじゃなく塔子さんも可愛かった。わたしは塔子さんが着ていたストライプのワンピースが帽子とか靴とかとのコーデ含めて全部好きです。セットもカラフルなレトロポップで、モノクロの世界との対比を付けるためにあえて現実世界はちょっと過剰なくらいカラフルにしてるんだと思うんですが作品全体が楽しげになるという点ですごく効果的だったと思います。GRAPHの対談で「健司の記憶ではあんなふうにカラフルで可愛い感じだった」みたいな言及があったのもよかったな。作品自体が "健司の記憶" だと考えるとものすごく愛おしい話じゃないですか?舞台も人も健司にはああいうふうに見えてたんだな……と思うとめちゃくちゃ素敵。すごく優しい世界だなと思って見ていた話が急に「お前にとって世界はこんなに優しかったのか!!」になるというか。撮影所とかも、実際の姿とはかけ離れていたとしても健司にとってはあんなに愉快な職場だったんだなと思うと……もうね……。嫌な奴が一人もいない点も健司の人のよさに収束していくので、結果として健司がすごくいい奴だったことが伝わる見方だなと思います。

場面別感想

ここからは場面別に感想を述べます。既に結構長いんですけど場面別の感想に続いて人物別にも感想を述べますのでお覚悟を……。

第1場 現代・病院

わたしの推し下級生は美海そらちゃんと静音ほたるちゃん、あと最近白河りりちゃんも癖になってきているのですが、いきなりそらちゃん出てきたと思ったらりりちゃんも出てくるので嬉しい&可愛い。が、あの病院は正直検温だの血圧測定だの忘れすぎだと思います。人が死ぬど!

第2場 プロローグ

華やかな舞踏会。映像がフェードアウトして舞台に移り変わる演出、センターから見たらすごく素敵だろうな〜!と思いました。サイドからだとちょっと像がズレちゃうけどまあそれは仕方ない。映像のうみちゃんがまあめちゃくちゃ美しくて既に姫としての説得力しかない。モノクロの世界に迷い込んだフルカラーの健司がはしゃいでいる様子も可愛かったです。たぬきちと手を振りあっているのが特に好き。ちょうどいい異物感とちょうどいい親しみ。

余談ですが「決められた振り付けに沿って動いている人物たちの中でひとり自由に動く」という演出でエリザベートの冒頭を思い出しますが、あのときよりずいぶん自由に動いている感が増したなあとたまに思ってはしみじみしています。

第3場 京映スタジオ・1964年

おださん*6がいきなり上手い。人別感想でも触れるつもりですがお衣装の着こなしなのか補正が上手いのか、大柄ではないのにちゃんと男性の身体つきに見えるんですよね。京映のナンバーが楽しすぎてめちゃくちゃ愉快な職場だなと思うのですが、前項で触れた "健司の記憶" ではこうだったのだと思うとそこにノスタルジーも加わってもはや泣ける。下手花道で台詞が全然覚えられない芝居をしているがっちさん*7がすごく好きです。毎回見ちゃう。制作陣がカテゴリーごと(裏方たち、俳優陣、助監督たち……)に次々前に出てきてポーズを決めるのも楽しいし、前場に引き続き自由に動いている健司が助監督の並びに自然な流れで参加しているのが仲間感あっていい。トップさんなのにあのメンツにわりと馴染んでいる(でも主演だということは分かる)ところがさすがの芝居巧者。そして真ん中に出てくるみちる*8!!ようこそ月組へ!という気持ちとともに、月組でみちるが見られるなんてなんという贅沢……という気持ちに。相変わらず鬘とアクセサリー合わせのセンスがいい……!あとすごく細かいツボですが衣装デザイナーの名前が林英恵なのちょっと笑いました、森英恵じゃん

そして満を持して登場するハンサム・ガイ、俊藤龍之介。登場と共に拍手が起きるのはそれが二番手さんだからというだけではなく、客席が普通に喜んじゃってるからでは。拍手をさせる説得力が登場の時点である。そして小柳先生本当にちなつさん*9の脚の長さ好きですよね。「僕のスター性がま〜ったく生かされてないよ」、大喜びする小柳先生が見えるかのようだ。そして連発される名言の数々、去り際の「俊藤さんお帰りでぇす!×3」「あばよ」のテンポ感……。ここだけでもう全員俊藤の虜。あとわれらが白雪さち花さん演じる萩京子も全然台詞ないのに既に強烈。目が離せなさすぎる。原作映画に萩京子いないと知ったときは大草原不可避でしたね。絶対いた方がおもしろいよ……分かるよ……(舞台だからこそ成立する役回りだなとは思います)。

伸太郎が去り際にタライをかぶってみたりしてひと芝居しているところも芝居の月組って感じですごく好きです。健司が銀橋に出てきちゃうのであんまりちゃんと見られてないんですが芝居が細かい!伸太郎は塔子さんを評して「笑顔がラムネみたいにシュワッと弾けてる」というところも好きで、意外と情緒がある奴だなと思えます。

第4場 ロマンス劇場

本多さんご登場。るうさん、もはや存在感がほとんど柄本明本人なんだよな。事務室?に飾ってあるポスターのタイトルが『自我』なのが気になります。自我……?

そして美雪姫と三獣士たち。お姫さまが終始好戦的で三獣士がかわいい担当というバランスが好き。大蛇丸さまも実はビビりらしいし(歌劇誌より)、ほのぼのトンチキ作品だったことを感じます。美雪がお転婆の域におさまっているかどうかは微妙なとこですがわたしは好きです。あれを「とびっきり魅力的!」と言う健司は当時としてはめちゃくちゃフラットだなと思います。大蛇丸さまのネチネチぬるぬるが比喩じゃなくて物理っぽいとこが気になる。蛇の化身かなんかなのかな……

第5場 ロマンス劇場・劇場前

朝陽つばさ劇場。気付いたら毎回自由にアドリブしてて毎度笑わされています。朝陽くんについては人別のところでまた触れます。その直前の「あれはヒトです!指差さないでください」がすごく好き(困っている贔屓が好きという困った性癖があり……)。指差さないでくださいって言うわりにご自分もよく人のこと指差しますけどね笑。映画からずっと好きだった人が出てきちゃったというなんらかのコンテンツを愛する人間にとっては夢みたいなシチュエーションですが、実際そうなったら驚くじゃ済まないよなあ。びっくりしつつ美雪が好き放題動くのでとりあえずそれに対応せねば(でもこの状況は受け止められていない)という心情がよく伝わってきて、月城さんのお芝居のそういうところが好きだなあと思います。心情表現が緻密。

第6場 健司の部屋

作中最も好きなツッコミは「一応室内なんですけどね」です。寝落ちする美雪の表情がキラキラしていてかわいいし、触らないように慎重に布団をかけてあげる健司が優しい。触れたら消えるというのを知らなくても不用意に触らないようにする健司、人として真っ当である。作中通して健司が自分から他人にあまり触らない(気軽に触るのは伸太郎相手のときくらい)のがここの説得力に効いてきている気がします。

第7場 京映スタジオ

怒涛すぎて笑ってるうちに終わってしまう場面。本当にここのテンポが大好き。ミュージカルになって一日で撮影に入れる俊藤すごいな。「よしっ、じゃあ本番だ☆」とか「いえいっ☆」とか終始機嫌が良さそうなところが俊藤のいちばん好きなところです。勉強になります!

おはねちゃん*10の休演に伴いりりちゃんが淡路千景役の代役に入ってますが、歌い方がソウルフルで好き。歌唱力があるから面白いんだよな……。そういえば今回結構みんなに役名がちゃんと付いてますが、やっぱりじいやに「脚本家の怠慢じゃな」と言わせた以上みんなに役名を付けてあげなきゃってことなんですかね。

第8場 街角

朝陽つばさ劇場再び。日によって言い方が違って面白い。一人でBGMもない中場を持たせるってなかなか大変だと思うんですけど、さすが芸達者だなあ。

そして健司と美雪の恋がぐっとリアルになる大事な場面。健司の人柄もすごくよく伝わるし、この人フニャフニャしてるだけじゃないんだなあと思えます。美雪に腹を立てるのってあれくらいされたらまあ仕方ないとも思うんですが、八つ当たりしていることに自分で気付いたうえで「ごめんなさい」と謝って、そのうえ「あなたはそのくらいがちょうどいいです」って肯定できるの並大抵のことではない。健司の人柄が見えると恋に説得力が生まれるなあと思います。

第9場 映画内の城の一室

大蛇丸さまの「ず〜〜っと待っておったが」がどんどん長くなっていく。ここの表情が日増しに豊かになっていってて、ありちゃん*11またお芝居が2段階くらい上手くなったなと感じました。衛兵(澪あゆとくん、一輝翔流くん)もだいぶ下級生というか片方研1(!)なのにいい味出してる。

第10場 京映スタジオの片隅

助監督がまたいい奴らなんだよなあ、仕事は押し付けてくるけど気のいい人たちだと健司が認識していたと思うとほっこりする。学年的には結構月城さんより下の若手が多いのに、その中に馴染みつつも主演らしさは失わない月城さんもすごいしかなり学年が上のトップさんにめちゃくちゃ絡んでくる七城くん*12すげーなと毎回思っていました。毎回絡み方が違うのもまたすごい。助監督のナンバーはまさに「次のこの世界を担う」人たちのものなのでにこにこしちゃう。荒削りながら勢いがある感じが設定と合っていてよかったです。

からんちゃん先輩*13とみちるのアドリブも可愛くて大好き、お父さんと娘がああいう会話ができる関係性なのってあの時代だと珍しいよな〜と思うので、勝手に塔子さん幼少期の育児は社長が担当していた説を唱えています。マジで1000%妄想ですが……。

第11場 シナリオハンティング

もの集めのナンバーが幸せすぎてくらくらする。あなたと見る世界の美しさを数える歌だと思っています。たとえ触れられなくてもこんな遊びをしてずっと笑い合えるならそれはとても尊い関係だし間違いなく愛じゃない?と思います。ここのうみちゃんのお衣装が本当にかわいい。

第12場 健司の部屋の前

塔子さんの「東京、楽しんでくださいね」が効いている。塔子さんが間違いなくいい人であればあるほど美雪の「触れられない」という制約が重くなっていくので、ラストのカタルシスが爆上がりします。美雪のナンバーは悲しくて切ないんだけど、銀橋でスポットライトに照らされるうみちゃんがあまりに美しいんだよな〜

第13場 健司の部屋

美雪のシリアスなナンバー直後にこれを持ってくるバランス感覚が絶妙。大蛇丸さまご一行のアドリブもタンゴも面白すぎて大好き。ぱるくん*14なんであんなバカの顔するの上手いんだろう。バカの天才……

第14場 京映スタジオ

先にも述べましたが塔子さんのお衣装が可愛すぎる!!そして連獅子。慣れるまで連獅子のインパクトでなんも頭に入ってこなかった。伸太郎がめちゃくちゃいい芝居してるんですけどね……。伸太郎、恋(までは行ってなかったかもだが)も仕事も健司に取られた形になってるのに健司に辛くあたったりしないところが本当にいい奴だ。

俊藤の檄は謎の大スターのパーソナリティが少し垣間見えて、また俊藤のことが好きになってしまう。俊藤が言う「男が簡単に下を向くな」、あんまりマッチョ感がないのはおそらく「男たるもの」というところにそんなに重きが置かれていないからだろうか。今回は健司が男性だから「男が」って言ったけど、相手が女性だったら「女が」って言いそうな印象。

ていうか連獅子……なんで連獅子……(好き)

塔子さんと伸太郎のくだりはすごく地に足のついた部分でそこもよかったなと。嫌な言い方したら恋の傷を癒すために手近な男で手を打ったってことになるのかもしれないけどそういうことから始まる関係だって全然あっていいし、夢を諦めない理由だって憧れの女の子がこっちを向いてくれそうだからくらいでもいい。そういうとこも含めて優しい話だな〜と思います。

第15場A ロマンス劇場・劇場前

前述の通り、本多さんのエピソードをここに挟んでくるところが上手い。これでぐっとモードチェンジできて、クライマックスにすんなり入り込めます。

劇場前で並んでいる人たちの端っこにいる一輝翔流くん、なんか目に入るんだよなあ……これがスター性か。将来が楽しみですね。

第15場B ロマンス劇場・場内

健司の「見つけましたよ」が最後の「見つけてくれてありがとう」とオーバーラップする。こういう細かい仕掛けいいなあ。「カラフルな思い出を作ろう」のところで銀橋を照らすライトが5色に光るのが素敵(たぶん7色にしたかったんだと思うけどライト5つしかないので5色になったのか…笑)。ディアナさまの存在感がなんだかちょっと面白い。

第16場A 回想

もう初回見たときここでだーだー泣きました。内容でもだけど、月城さんのナレーションが優しくて……。二人で過ごした時間の愛おしさ、かけがえのなさがすごく伝わってきて、健司と美雪はこの選択を正解にできたんだなあと思えて泣ける。触れずに、でも一緒にいるという選択はその後の方が難しくてだからこそ二人のその後が尊い。あとあやおと*15に眼鏡かけさせるのはずるくない?

第16場B 現代・病院

「いつもの遊びをしよう」がもうとんでもなく好き。いつもふたりでこの遊びをしてこのおよそ60年を生きてきたのだと思うと……。老人と美女の構図って大蛇丸さまが切り捨てたように醜悪さ(というか変な感じの "男のロマン")を感じることもあってちょっとウエッとなったりするんですが、このふたりはむしろ正反対に人と人としての尊重と労わりと柔らかい愛情が感じられてすごく素敵だと思いました。

第17場 エピローグ

モノクロ映画にカラフルな色がついて、という流れがまさにColor Me True(英題)で素敵。もうスーパーウルトラハッピーエンドで嬉しかったです。

人物別感想

ここまでで充分長いんですが、ここからはキャラクター別の感想です。一部敬称略。

牧野健司(月城)

全体を俯瞰したうえで最適なあり方をとるのが上手いのは相変わらず。こういう受けの役回りって地味になりがちだと思うんですがちゃんと主演ですごい。芝居の上手さを「どうだ上手いだろ!」にならずに示せるところが本当に上手い人だなとつくづく思います。わたしは月城さんの演じる優しい弱めのキャラクターが大好きで、それは柔らかいところを前に出したときに芯の強さが見えてくるからなんですが、今回も多分に漏れずそのパターンですごく好きでした。ご本人が「役との共通点全然ない」って何度も言ってるのもおもしろくて好(ハオ)。意志強そうだもんね

美雪(海乃)

映画のお姫さまという異世界の人物感と、健司と恋に落ちることの説得力≒人間味を両立していてすごい。見た目の美しさだけではなく所作や佇まい、雰囲気の高貴さで「あーお姫さまなんだあ〜」と自然に思える感じ。動いて喋ると好戦的ですぐ手が出る一方色づいた世界にはしゃぐ無邪気さが可愛い。うみちゃんのスッと伸びた背筋が好きです。学年が上で経験の多いトップ娘役さんってどうしても大人っぽいお役を当てられがちだと思うんですが、こういう可愛い役だってドンと来いだぜ、となぜかわたしが誇らしい気持ちになりました。可愛さ瑞々しさだって技術なのだ。

俊藤龍之介(鳳月)

俊藤嫌いな人この世にいる?とめちゃくちゃ主語が大きくなりましたが、そのくらいの大スター、俊藤。好きということ以外あまり言うことはないのですが、情報量をあえて絞ったちなつさんのバランス感覚に敬服します。ずっとご機嫌でかわいい。俊藤が鬼になったところも見てみたいしレッツゴーハンサムガイもなんかあらすじだけでも教えてほしいですね。

大蛇丸(暁)

スチール見たときトート閣下かと思った。公演が進むにつれてどんどん人間味(人間なのかわかんないけど……)が増して、可愛くなってってる気がします。健司に知られてて喜ぶし重要な情報を教えてくれるしふたりの恋路を邪魔するわけでもないし、普通にいい人だ。雨霧狭霧と一緒にその後もちょくちょく押し入れからやってきてお茶して帰ってほしいですね。

成瀬塔子(彩)

も〜とにかくかわいい、お衣装そのものも可愛いし着こなしも素敵。ちゃんと撮影所で働いていて有能そうなとこもいいです。前述のとおり塔子さんが素敵な人であればあるほど話のカタルシスが大きくなるけどヒロインを食ってしまうほどではないバランスがよかったです。

山中伸太郎(風間)

100期……100期!?って毎回思ってますが、月城さんと並んでちゃんと兄貴分に見えるのがすごいです。お衣装のダサセーターが可愛い、おださんがセーター着てるとこ見たくない人いないでしょ。短躯の男性特有の色気みたいなものが出せるのはアレ一体なんなんだろうなと常々思っています。

三獣士(蓮・英・柊木)

芸達者が3人揃って可愛い担当してるのが可愛すぎる。『お転婆姫と三獣氏』がわりとトンチキ作だったんだろうなというのが3人の佇まいで分かるところがいい。このちゃん*16休演から復帰できて本当によかったです。代役でたぬきちが朝陽くんになったとき、うーちゃん*17がちょっとお芝居変えてバランス取ってて面白かったな。あと「クルックー」だけでわりといろんなことを伝えてくる柊木絢斗くんさすがでした。

雨霧狭霧(天紫・礼華)

結構長めのアドリブを毎公演やるの大変だっただろうなー!いつかセクシーコマンドーをやり始めそうなノリでしたが、映画の世界観がよくよく分かってよかったです。バカな子ほど可愛いを地で行く。

京映の人々

偉い人たち(千海・夢奈・佳城)

社長、あんまり台詞は多くないのにすごく情報量が多いので目が離せません。「観客の笑顔がわが社の力」がギリギリ嘘じゃなさそうな、それでいて商業主義にも乗っかってそうな佇まい。一方で塔子さんのことを大事にしているお父さんの顔も強くて、俊藤に振り回されてる感もあり……。さすがからんちゃん先輩。清水くんはシュッとしててカッコいいし監督はクセつよで、こんな職場なら確かに愉快だろうなと思いました。

助監督(一星・大楠・瑠皇・真弘・七城・和真)

まさに若い力って感じで見ていて親みたいな気持ちになってしまう。次のこの世界を担うのは君たちだよ……元気にいっぱい食べてすくすく育ってほしいです。新生児扱いしてすいません。歌劇の楽屋日記で和真あさ乃くんが各助監督の作品についてレポートしてくれてるので面白かったです。るおりあ*18の作品『ムカデと女』に戦慄しました。む、ムカデ……

セブンカラーズ(結愛・桃歌・蘭世・菜々野・白河・羽音・咲彩)

アイドル的なグループなんだと思うんですがダンスがかなりキレていて好き。動きがキビキビしているしみんな背中の筋肉がすごい……。俊藤が取材受けてる後ろでわちゃわちゃしてるのが可愛いです。たまに助監督といちゃついてたりするのでおおらかな時代だったんですね(?)

街の人たち

本多正(光月)

本多さんにも健司と同じ経験があったと知ったときの涙腺の緩み方がやばかった。「後悔はないさ、でもときどき……無性に寂しいんだ」に感情の襞がこれでもかと詰め込まれていて込み上げるものがあります。るうさんが達者すぎて舞台が締まりまくる現象は相変わらずです。どうしたらこんなに上手くなるのだ

警察官(朝陽)

朝陽くん、『雨に唄えば』でやすのちゃん*19の代役に入ったときはけっこうな上級生さん二人に振り回されていた感じだったのに(でも当時の学年としてはめちゃくちゃに頑張ってた、そもそも代役ですしね)その経験を経て舞台度胸やらなんやらが飛躍的に伸びていてすごい。たぬきちの代役も準備は短期間だっただろうに自分の役作りで臨んでいて本当にお芝居が達者な子だなと思いました。

駄々っ子(涼宮)

役名はこんなじゃないんですが、シナリオハンティングの場面で買って買ってと駄々を捏ねるあの子。可愛いんだよな〜子供にしてはでかいけど……。涼宮蘭奈くん、川霧の橋で船頭のお役をやってたとき二日酔い芝居でシワチュウ*20みたいな顔してたのが印象的でした。かわいい

 

というわけでこの時点で1万字を超えてしまったのでショーの感想は別記事にします!長くなりすぎた!

*1:これ

*2:海乃美月さん

*3:珠城りょうさん

*4:美園さくらさん

*5:早霧せいなさん

*6:風間柚乃さん

*7:空城ゆうさん

*8:彩みちるさん

*9:鳳月杏さん

*10:きよら羽龍さん

*11:暁千星さん

*12:七城雅さん

*13:千海華蘭さん

*14:礼華はるさん

*15:彩音星凪さん

*16:蓮つかささん

*17:英かおとさん

*18:瑠皇りあさん

*19:佳城葵さん

*20:シワシワのピカチュウ

ヅカヲタが選ぶ「好きな劇場」5選

 ヅカヲタをやっていると全国ありとあらゆる劇場に通うことになる。というわけで今回は全国各地の劇場、というか全ツに詳しいオタクの友人(Mちゃん)監修のもと、好きな劇場を5つ選んでみました。 Mちゃんは贔屓が全ツの主演を3回していて、バリキャリをしながら全都市通ったこともある猛者(通称全ツソムリエ)です。

はじめに

 まずはMちゃんの名言。

「全てのホールに思い入れがあるんすよ…」

 そりゃあそうだよねという話なのだが、それを言っていると話が始まらないのであえて5つ選びました。みんな違ってみんないい、それぞれのホールにそれぞれの思い出が紐付いている。そんな前提で読んでください。まずは殿堂入りから。

殿堂入り:宝塚大劇場 / 東京宝塚劇場

宝塚大劇場

kageki.hankyu.co.jp

  • 席数:2,550席
  • 阪急電鉄 / JR 宝塚駅から徒歩5分くらい
  • 言わずと知れたヅカヲタの聖地・ムラ

東京宝塚劇場

kageki.hankyu.co.jp

 これはもう好きとか嫌いとかそんな次元ではないため、別枠とします。喜びも哀しみもすべてこの場所と共にある。

 Mちゃんコメント宝塚大劇場売店の唐揚げが妙においしくて好きなので東宝でも売ってほしい。昔はビールもグラスで出してくれたのに最近はプラカップになってしまって悲しい……。東宝売店は実は2階ロビーよりも3階(2階席)の方が充実してる。肉まんおいしい。ただしビールについては、3階(2階席)は缶ビール。生ビールを飲みたいなら2階ロビーに行くしかない
 大劇場の唐揚げってなんか妙にジューシィでおいしいんですよね。人生で食べた唐揚げの中でも結構おいしい部類に入るんですがあれはいったいなんなのだ…。あとお気づきかもしれませんがMちゃんはお酒が大好きなので、売店の酒事情にとても詳しいです。

第5位:オリンパスホール八王子(東京)

https://olympus.hall-info.jp/

  • 席数:1,877席(立ち見含めた最大収容人数は2,021席)
  • JR八王子駅南口直結
  • 3階構成になっており、ウィング席もあるシューボックス型のホール。クラシックのコンサートもやるだけあって音響はわりといい印象。新しいので館内がきれい。
  • 駅ビルの4階にある

 第5位はオリンパスホール八王子です。館内がきれいだし駅直通なのでアクセスもいい(八王子自体が都心からは結構かかりますが…)雨に濡れずにホールまで入れるのは高ポイント。難点は駅ビルの4階にあるので終演後ホールを出るのに結構な時間を要するところ。あとウィング席が当たると端の方がちょっと見切れた気がします。

第4位:仙台銀行ホール イズミティ21(宮城)

http://www.bunka.city.sendai.jp/izumity21/

 館内はわりとクラシックなホールですが、1階席だけなので客席降り(全ツだとだいたいある)が楽しい。見切れもほぼないと思われる。あと仙台駅から電車に乗る必要はありますが最寄駅からはすぐなのが良い。電車は時間が読めるので。そもそも仙台って東京から行きやすいんですよね。難点は客入れの手際がものすごく悪く「えっこれほんとに入れる?大丈夫?」と思わされるところ。

 Mちゃんコメント「イズミティは客入れは最悪だけど売店ずんだ餅売っててそれがいい。全ツに来た!って感じがする。ロビーに座れるスペースが多いのもいい。客席内飲食禁止だから座れると助かる」

閑話①:宝塚バウホールおよび梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ

宝塚バウホール

kageki.hankyu.co.jp

梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ

www.umegei.com

 バウホールおよびドラマシティは思い入れが強すぎるし、扱いもちょっと他の劇場とは違うので別枠。いずれも若手の登竜門。路線男役さんのファンにとってバウとDCは単なる劇場ではなく、「ここまで来た」というメルクマール的な存在です。どちらの劇場も初主演が発表になった日のこと、初日のワクワク、貼り出されたポスターを眺める興奮、全部覚えてる。ここに通い詰めることができる喜びと、通いすぎてちょっともう飽きたなという気持ちとが常にせめぎ合う(言うて主演じゃなくても出てれば劇場には来てるので…)。ドラマシティは幕間でも客席の電波状況が悪いのがちょっと気になってます。

 Mちゃんコメント「DCってサイズが小さいから、『待ちに待った初主演』みたいなときって拍手が圧力釜みたいになるよね」

第3位:相模女子大学グリーンホール(神奈川)

https://hall-net.or.jp/01greenhall/

  • 席数:1,790席
  • 小田急相模大野駅徒歩4分
  • 2階構成。駅からも伊勢丹の中を突っ切って行けるので雨が降っていても濡れずに行ける。

 東京組としては全ツでよく行く印象のあるホール。わたしの全ツ観劇デビューもここでした。館内はそこそこきれい、というくらいではありますが、駅から近い&ウィング席がないので見切れが発生しないのが魅力です。飛びぬけた何かはないけど、手堅くスコアが高い劇場という印象。難点はこれといって思いつかないけど、強いて言えば相模大野が微妙に都心から遠いことかな…。お住まいの場所にもよりますが、うちからはKAATと同じくらいかかります。

 Mちゃんコメント「相模大野は2階席のサイドがせり出してるからかなり舞台と近くていいんだよね。その席が来るとラッキー!って感じ」

第2位:オーバード・ホール富山市芸術文化ホール / 富山)

http://www.aubade.or.jp/

  • 席数:2,196席
  • 富山駅北口の目の前
  • 1・2階がワンフロアになっている4層5階構成のホール。3階以上にはバルコニー席もあり。

 オーバード・ホール館内がきれい。座席の感じもよかったです。基本的に設備が新しいところが好きなんですよね…。富山駅の目の前なので、アクセスもとてもいいです。強いて難点を挙げるとすればホテルが多いエリアから少し離れてることでしょうか。ホテルから行く場合は時間に余裕を持って行った方がよさそうです。全然流しのタクシーがいなくて焦った記憶がある。

 Mちゃんコメント「とにかく全ツだとアクセスがいいってすごく大事。あとそもそも富山は食べ物が美味しいし、北陸に行くなら富山がいい。富山推し

閑話②:関東の外箱、どれ派?

 Twitterでアンケートを取ってみた結果です(ご協力くださった方ありがとうございました!)。これ、取った当日に宙組さんのACT公演が発表になったのでその影響も多少ある気がしないでもないのですが…。でも確かにACTはいい劇場だと思います。アクセスも舞台の見えもいい。あとトイレの回転もわりといい印象。

 Mちゃんコメント「ACT、舞台の音が響きすぎるのが気になる。あとACTの売店って売ってるものが中途半端じゃない?謎の信玄餅のアイスみたいなの売ってたよね」

 それは分かる食べ物のバリエーションが少ないのが残念。コラボドリンクとかは力入れてていいなと思うのでおにぎりとか米ものも増やしてほしいなという気持ち。信玄餅のアイスクレープみたいなやつは他に食べるものなくて食べてみただけなんですけどわりと美味しかったです。ACTであえて売る意味はよくわからない。

 あと意外とオーブも強い。KAATを抜くとは思いませんでした。アクセスの差か?Mちゃんはこないだオーブに通ったばかりなので感想を聞いてみました。

 Mちゃんコメントバーカウンターで売ってるサンドイッチが美味しくて幕間に食べてたんだけど、2種類しかなくて飽きてしまった…。でもビールがハートランドなのはいい。(劇場に行く道のりがややこしいと言われていたけど)アクセスは思ったより気にならなかった!あと前方席端っこだとちょっと見づらいかな。首がつらい」
とのことです。海外ミュージカルしか上演しないのでもしかしたら贔屓在団中に通うチャンスは少なめかもしれませんが、ヒカリエが好きなので一回くらいは通ってみたい気もします。

 オーブに抜かれて残念ながら支持が一番少なかったKAATですが、劇場の中も外も雰囲気がよくてわたしは好きです。ただアクセスがな……自宅から1時間半くらいかかるんですが、もはやちょっとした遠征みたいなもんです。

 Mちゃんコメント「KAATは東上の会場だったからめっちゃ思い入れがある。KAATの千穐楽のことは忘れられない
 それな~。結局贔屓が主演で立った舞台って特別になっちゃうんですよね。

 というわけで2位の青年館はわたしにとってはムラ・東宝に次ぐ聖地。贔屓の初東上はDCより青年館が先だったのです。公演自体はいい思い出だったけど、トイレ動線がやべえという記憶も非常に強く残っています。いやまじで……青年館は10分前に予ベルが鳴るんですけど、その時点でかなりの人がまだ並んでいて「えっもう始まっちゃうの!?」とざわつくというのを毎日やっていました。予ベル5分前でもいいのでは…?ちなみに入場動線も結構キツい感じでした。あと2階席で観てないので自分の目で確認したわけではないんですが、2階最前だと手すりがカブるらしい。人によっては入り出がないのが残念かも?劇場内はきれいだしアクセスも結構いいし(駅からはやや歩くが)敷地面積的に頑張ってる方だとは思いつつ、色々と無理のある設計の劇場という印象です。

第1位:博多座(福岡)

https://www.hakataza.co.jp/

  • 席数:1,454席
  • 中洲川端駅すぐ
  • 3階席まである。歌舞伎の上演を前提に作られているので花道が作れたり天乗りの設備があったりするらしい。 印象としては歌舞伎座新橋演舞場なんかに近い雰囲気。

 栄えある1位は博多座です!アクセスよし、雰囲気よし、客席よし、売店よし。特に売店のにぎやかさは結構印象的でした。雪組公演『星影の人 / ファンシー・ガイ!』で初めて行ったんですが、ロビーのにぎやかな雰囲気に浮かれてなんかいらんもん色々買った記憶がある。上の方の席からも見やすいし福岡は食べ物もおいしいし空港近いので日帰りもできるしで、Mちゃんも激推しです。

 Mちゃんコメント博多座トイレの捌き方もすごいんだよ!もしかしたら大劇場を超えるかも
それは知らんかった、今度行ったときは注意して見てみようと思います。

番外篇:Mちゃんのお勧め劇場

 わたしは行ったことがなくて惜しくも選外になってしまったのですが、Mちゃんがお勧めしていた劇場を挙げておきます。

  • 東海市芸術劇場:キャパは小さいけど雰囲気がいい
  • サントミューゼ(上田市文化交流センター):ホールがきれいだしアクセスがいい。目の前に大きなショッピングモールみたいなのがあって、時間もつぶしやすくてよかった
  • 北上市文化交流センター さくらホール:売店がよかった。玉こんにゃくとか売ってる。あと2階席も仕切りはあるもののめっちゃ近くていい

 今度初めて御園座に行くし池袋の東京建物Brillia Hallもそのうち行く機会があると思うので、どちらもどんな劇場か楽しみです。

 この話は以上です。

ヅカヲタの遠征時の身の回り・Updated

 fufeta.hatenablog.com

 1つ前の記事*1 でバッグの中身についての記事を書いたのですが、遠征時の持ち物はあれからも取捨選択を重ねており、結果として2泊3日くらいならリュック一個と小さめのハンドバッグだけで行けるようになったので記録しておきたいと思います。相変わらずめちゃくちゃ長いのでお暇なときにどうぞ。

 ポイントは以下の2点。

  • 服は減らす
  • 化粧品も減らす

 以上。

 どうやって減らすのかについて以下に記していきますが、まずは鞄について。

メインのリュック

 前回も書きましたが無印のリュックを使っています。

www.muji.net

 結構長く使っているんですが、やっぱりそこそこ乱暴に扱っても大丈夫な素材と価格というのがガサツな人間にはありがたく…。穴とかが開かない限り使い続ける気がします。欲を言えばもうちょっと容量が大きいとありがたいけど。

ハンドバッグ

 前回はステラ・マッカートニーのファラベラミニを載せたと思うんですが、いかんせんファラベラはチェーンが重い!!思わずフォント芸をしてしまうくらい重い。カウボーイのように振り回すことで護身用にもなる的なやつか……!?*2 と思わないではいられない。遠征時にはあんまり向かないなーという感じもあるのですが、なにせ見た目は可愛いし小さいわりに意外と色んなものが入るので重い重いと思いながらも使っています…

www.stellamccartney.com

 ただリュックにPCが入っていた日には肩が死んでしまうため、ちょっと前に使っていたSAVE MY BAGのPETIT MISSを復活させようかなーとも思っています。

savemybag.jp

 これも軽いし汚れは気にしなくていいし(ウレタンでできているので水拭きしとけば大丈夫)結構中身も入るし可愛いしで良いバッグなんですが、重いもの(防振双眼鏡とか)を入れすぎたせいかハンドルの根元の糸がある日ブチンと音を立てて切れまして…*3 一応まだつながってはいるんですが、ハンドルの中に入れてある芯みたいなものが浮いちゃっているので修理の必要がありそうだなと思って放ってました。直せばまだ全然使えるのでできる限り早く修理に出そうと思います。

 余談ですがわたしはどうもバッグの趣味が贔屓と似ているらしく、今まで欲しいなー買っちゃおうかなーと思ったものを贔屓が入り出で使っているところを目撃し「ちょっとさすがにお揃いはね…」と諦めることが多いです。

 たとえばこれとか(正確にはもっと前のモデルだし色違い)

www.balenciaga.com

 あとこれも(上と同じく色違い)

www.celine.com

 実はファラベラも被ってるんだけどこれはメインで使われていたのが結構前のことだしサイズ違いなので時効とする。

中身

 さて、ようやく本題です(これが欲しいとかあれが良かったみたいな話は楽しくてついつい長くなる…)。「服を減らす」「化粧品を減らす」と書きましたが、これら2点はつねに自分の満足とのせめぎ合い。あちらを立てればこちらが立たずという中でちょっとずつ「ここまでなら行けるかも!?」を試して得た落としどころを今から記すのですが、許容値というのはかなり人による部分が大きいと思うのであくまで「わたしの場合はこうだったよ」とか「意外とここまで減らしても大丈夫かもよ」という視点の提示だと思ってください。荷物を減らすテク的なものもなくはないですが、別に大したことはないです。エクスキューズが長いですね。今度こそ本当に本題です。

 「遠征先で服を洗う」という概念を手に入れたのが最大の荷物減量ポイント。なんとなく洗濯機じゃないと洗濯はできないと思い込んでいた家事能力低層なのですが*4、肌着くらいだったら全然洗面所で洗濯ってできるんですね。下着と靴下と肌着を洗うんですが、特にウール100%の肌着はよっぽど汗だくにならない限り2~3日くらい連続着用しても悪臭が発生しないし洗ってもすぐ乾くので感動的でした。

www.muji.net

 わたしはこのシリーズを愛用しています。夏場はちょっと暑いかな?という気もしますが冷房効いてる劇場内ではむしろありがたい。夜ホテルで手洗いして干しておくと翌朝にはちゃんと乾いているので、何泊でもこれ1枚で行けちゃうと思います。冬場だったら洗わずに干しておくだけでも1泊2日くらいであれば大丈夫そう。結構そのへん神経質なタイプだったんですが、一回勇気を出してやってみたら全然大丈夫でした。ただおろしたてはちょっとちくちくするかもしれないので、着る前に洗っとくといいかもしれません。何度か着てるとなじむ&慣れます。

 洗剤はこのトラベルウォッシュを持って行ってます。

 もう少し小さいサイズだったら完璧なんですが、下着2~3枚持ってくよりは嵩張りません。ちょっとしか使わないので小さい容器に詰め替えて持って行けばいいんですが、それはちょっとめんどくさくて…。Dr.Beckmannのいいところは成分がちゃんと生分解されるところ。環境負荷にも気を遣っているわたしめっちゃイケてる……という気分になれるので愛用しています。

 上に着る服は前とあんまり変わってません。夏場も別に屋外に長時間いるわけじゃなかったのでワイドデニムパンツとテキトーなトップスで大丈夫でした。Tシャツもちゃんと水を切れば薄いやつなら翌朝には乾きます。

 お茶会の際は荷物の量は度外視ですが、最近はPLEATS PLEASEのワンピースとかセットアップとかがしわになりづらいし動きやすそうだしかわいくて欲しいです。

store.isseymiyake.com

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www.isseymiyake.com

 このへんが好き。高いけどな!!

基礎化粧品

 基礎化粧品でエポックメイキングだったのは「化粧水と美容液と乳液はシートマスクで済むじゃん」という気付きでした。えっ今更!?と言われそうなんですが、なんだか今まであんまりシートマスク使ってこなかったんですよね……家では使うこともあるのにね……。

 とはいえまずはタカミスキンピール。これはなんか使い始めてから肌をほめられることが増えたしお守り的に毎日使わないと怖いので持って行きます。小さいし持って行きやすい。

www.takami-labo.com

 よく勘違いされるんですが、別にピーリング剤ではないので肌が薄くなるとかはなかったです。原理はよく理解できていないけど代謝を整えてターンオーバーを正常化するみたいな感じらしい。

 この後に使うシートマスクは特に決めていないので色々試して遊んでいます。安心感があるのはこのあたり。

ミノンアミノモイスト うるうる美白ミルクパック 20mlx4枚
 
ももぷり 潤い濃密ミルクジュレマスク フェイスマスク 4枚

ももぷり 潤い濃密ミルクジュレマスク フェイスマスク 4枚

 

 こっちはわりとさっぱりしているので朝使います。

 蓋はイハダバームを使っています。サイズが小さくて保湿力が高そうだったので買いました。使ってみたら保湿力も高いし商品名どおりべたつかなくて大満足。「まだお風呂入んないけどメイクだけ落としたい」といったときに洗顔後軽く保湿しておくためにも使います。

クレンジング&洗顔用には相変わらず無印の乳液を使っています。

www.muji.net

 洗顔にも使うしマッサージ料としても使ったりして結構すぐなくなるんですが、そこそこの規模の都市ならだいたいすぐ買えるので助かる。ファミマでの取り扱いどうしてなくなってしまったんだ……。

 乳液でメイクが落ちるのか問題はありますが、なんとなく落ちている気がするしなにより落ちきってなくてもまあ微量なら大丈夫であろうというものしか使っていないので大丈夫だと思っています。肌の調子も悪くなっていないし。

メイクもの

 ベースメイクを薄くした&アイメイクを簡素化したというのが荷物減ポイントです。最近のトレンドでベースとアイメイクは薄くてもオッケー!作りこまない方がおしゃれ!みたいな感じになってきているので便乗して、リップだけ濃い色にしています。顔立ち的にもそっちの方が日常生活的にはバランスが取れていた。お茶会のときは目元をキラキラさせたりします。

日焼け止め

 どんなに荷物を簡素化しても日焼け止めだけは絶対に持っていく。絶対にだ。日焼けしやすいので1年365日塗ります。とはいえ紫外線吸収剤で肌がかゆくなりがちなのと(ちょっとくらいなら大丈夫ですが)洗顔で落ちるのを重視しているので、今はタカミのUVプロテクト。 

www.takami-labo.com

 オーガニック系に比べるとテカりづらいが落ちはあんまりよくない(乳液だけだとちょっと微妙)とはいえ洗顔すれば落ちるので許容範囲内です。ほんとは「絶対に焼けない&日焼け止めの入ったラ・クレーム」といううわさのクレームUV様も使ってみたいんですが、また来夏かな……空港⇔ホテル⇔劇場の行き来でしか外に出ないし外にいるときはUVカットの眼鏡かサングラスをかけてる&夏場は常に日傘も差しているのでSPF50もいらなかったりするんですよね。でもラ・クレームのスキンケア効果があると言われるとめちゃくちゃ惹かれます。

www.cledepeau-beaute.com

フェイスパウダー

 日焼け止めからいきなりフェイスパウダーです。ジェーンアイルデールのピュアプレストベースはファンデーションとか書いてますがカバー力も使用感もフェイスパウダーな感じ。とにかくケースが薄くて最高!!ベースメイクはこれでおしまいです。簡単!

mri-beautyshop.com

眉毛

 ぶっちゃけ描ければなんでもよい。最近髪を暗めにしたのでブラウングレーくらいの色みで濃い目に描くのが好きです。あと最近の流行りは毛を一本一本立たせる感じだとなんかで読んだので眉マスカラはWHOMEEのマルチマスカラのクリアブラックを使っています(画像死んでるけど)。クリアベースに黒い繊維が入っていて毛がはっきりする感じ。美容ライターの長田杏奈さんが使っていて知りました。

whomee.jp

アイシャドウとチーク(必要あれば)

 RMKのマルチクレヨンは目元にもチークにもリップにも使えるし小さいので遠征向き。色は02モカピーチを使っています。普段はシェーディングだけしてチークは入れないんですがモカピーチだとシェーディング的に使える。目元に入れてもかわいいオレンジ寄りのブラウンです。目元とチークの色を統一するとめちゃくちゃ手軽におしゃれな感じになるのでありがてえありがてえ。ただ荷物量がシビアなときはお留守番です。

onlineshop.rmkrmk.com

アイライナー

 前も同じのを載せましたが、アイライナーはもっぱらこれです。洗顔で落ちるので!!(重要)濃さにさえ気をつければ眉も描けます。これ一本持って行けば眉とアイラインが引けるので顔の半分は完成する。

www.logona-friends.jp

リップ

 ナチュラルな色だと印象がすっぴんになってしまうので濃い色を持って行きます。最近はSUQQUを愛用。色は15宵滲です。もうちょっと赤みのある色どっかにないかなーとは思っているものの、唇荒れやすい中でこれは直塗りしても乾燥しないし荒れないのでめちゃめちゃ助かる。

onlineshop.suqqu.com

 顔は以上です。髪は最近結構短いうえにふわっとさせようという気持ちを捨ててタイトに作るようにしたので加美乃素さんの貸切でもらったちっちゃいヘアオイルの試供品で済む。あとはサングラスかければだいたい大丈夫!

 …と、最近はこんな感じで遠征をしています。は~楽しかった。明日は初日なので、遠征行ってきます!!この話は以上です。

*1:3ヶ月くらい前かと思ったら2月だった、光陰矢のごとしとはまさにこのこと

*2:出典・ジミー・チュウの星型のスタッズがついているバッグを「こうやって振り回せば不審者も倒せる」と言った某元雪組トップスターさん

*3:これの後に買ったもっと大きいサイズの同シリーズバッグはちょっと気をつけているおかげで全然壊れてないので、耐久性どうのというよりはわたしのガサツさが原因です

*4:今思うとそんなわけない