踊りませんか。

きれいなもの至上主義

関西に5泊6日したときの話

先日ちょこっと言及した「贔屓のバウ主演に合わせて4泊5日×2セットの遠征をキメた」ときの話をします。

と言いつつ実際は2泊3日→2日間東京に戻る→5泊6日という流れでした。嘘ついてすみません。正直5泊もしていた自覚がなくて、カウントしてみて軽く震えました。その翌年もバウ公演があったのですが、そのときは4泊5日→2日間東京に戻る→3泊4日というスケジュール。

贔屓の東上主演が決まったので今度は2泊3日→2日間東京に戻る→3泊4日をする予定です。遠征は正直疲れるからあまり好きではないのだけど、トントン拍子で出世していく彼女を見守れるのが何より嬉しいのでオールオッケーです。あと9日間しかないのでバウより全然楽。

 

今回は最初の5泊6日をベースに、どんな感じだったか振り返ってみます。

 

主演発表〜休暇取得

もう2年以上も前のことになるのが信じられないが、贔屓のバウ初主演が発表されたのは2015年春のことだった。わたしは確か普通に仕事をしていて、でもそのニュースを見た瞬間心臓が大きく一回跳ねたその感覚だけはよく覚えている。日程を確認してすぐ、上司のデスクに向かった。

「ちょっといいですか」

「なに?」

「わたし11月休みますわ。結構大胆に

「は?」

「贔屓の初主演が決まったんですよ。関西で11日間しかないから全通ベースで考えてます。仕事は大阪でします」

「そうすか……」

確かこんな感じのやりとりで根回しを済ませ(ユルい会社ですいません)、大型遠征の実施がほぼ確定した。

会社によっても部署によっても、更には時期によっても休みの取りやすさはずいぶん違うので一概には言えないものの、わたしの場合スムーズな休暇取得に効いたのは以下の4点だったと思う。

  1. 上司との関係性
  2. 働き方・職種
  3. 有給・振休の溜まり具合
  4. 「こいつには言っても無駄」というパーセプション

自分ではどうしようもないことも含まれるので本当にラッキーというしかないのだが、一応効いたなと思った順に並べてみた。

以下、「わたしの場合」でしかないものの、一つずつ説明します。

上司との関係性

これはもうマジで運が良かったとしか言いようがない。今の上司とはかなり付き合いが長くて、わたしの趣味や性格についても理解が深いし「観ておかないと一生後悔するから何があろうと休む」と言いやすかった。4月に「11月は休む」宣言をしてから毎月のようにリマインドを繰り返したのに直前になって「えっ休むの?」とかすっとぼけたことを言いだしたのにはびっくりした。有給の承認したのあんたやんけ~~!そして散々リマインドしたのにちゃんと聞いていなかったあっちが悪いので、無視。帰京後馬車馬のように働かされたのでトントンだと思う。

働き方・職種

正確に何と言うんだかは分からないし会社によってもだいぶ違うと思うのだが、わたしはスーパーフレックス的な「月間○時間以上働けば出社・退社時間は自由」みたいな形態で働いている。そして仕事の内容も「期日までに成果物ができていればオッケー」的なものなので、普段から時間と場所と人の縛りがほぼ無い。そのため大胆に休んでもあんまり周囲に気付かれなかった。別に気付かれたとてどうということも無いのだけれど(個人商店的な部署なのでみんな他人の勤怠にほとんど興味がない)、気持ちはラク。改めて書いてみて思ったけどうちの会社オタクには天国だな…

有給・振休の溜まり具合

単にめっちゃ有給・振休が余っていました。

「こいつには言っても無駄」というパーセプション

一番下には置いたものの、もしかしたらこれが一番効いていたかもしれないとも思う。比較的ウェイ系の多い社内で入社当時から実在しないものへの偏執的な愛情フルオープンのスタンスでいるので、職場ではもはや宇宙人か珍獣か、みたいな扱いになっている。宇宙人に何を言っても無駄だ、だって言葉通じないもん。全ての業務を「11月の○日~○日はいないんですよね~、なので膝詰めでの打ち合わせはその前後でお願いします☆」で済ませられたのはこのパーセプションがあることが大きかった、ような気もする。これを獲得するにはデスクに贔屓のスチールなどを飾ることをお勧めします。あとタカラヅカについて何か尋かれたら突然目を輝かせ普段の3倍くらいのスピードで滔々と語り出したりするのも効果的です。

 

遠征準備:スケジューリング

というわけでわりとスムーズに休暇取得準備ができて、続いて遠征の段取りに入った。期間中2日間だけどうしても東京にいなければならない日があったので、そこを軸に「できるだけ多く観る」をテーマにスケジュールを組んだところ前述の「2泊3日→2日間東京に戻る→5泊6日」になった。たまたま祝日と被ったりもしていて、結果的に4日分の振休でカバーできた。

この年は「東京にいなければならない日」が決まっていたのでそこを軸にスケジュールを決めたが、その縛りがないときは「休演日+その前後どちらか1日は東京に戻る=出社する」方針で組んでいる。これには色々な理由がある。

  • 初日が木曜だったとして、木金休み月曜休み火水は出社木金休みだと、5日間休んでいるのは変わらないのに月曜~金曜休みよりも仕事のスケジュール合わせがしやすい。「その週まるごといないんです」ではなく「その週は火・水イケます」と言ったほうがなぜか調整がスムーズに進むことが多い。
  • バウだと水曜は休演日で関西にいる意味があまりないので普通に家に帰りたいし出社もしておきたい。
  • 土曜~翌週日曜の8泊9日はまじで無理。体力的にも荷物的にも。

ざっと挙げると以上のような感じだ。わたしとしてはかなり鉄板のスケジューリングなので、これからも何かにつけてこのフォーマットは活用すると思う。

 

遠征内容:あごあしまくら(ご飯と交通機関とホテル)

あご

一人での遠征だったし仕事も結局持って行ったので、現地で普通に電源が取れるカフェに行ったりお好み焼きを焼いてみたりたこ焼きを食べたりした。食の開拓は苦手分野なので、一人でも入りやすいおいしいお店ご存知の方いらしたら教えて欲しいです。ものすごく。

あし

前回の記事にも書きましたがANA派です。陸マイラーをやっています(陸マイラー生活についてもいずれ書くかも)。乗り遅れると焦るから気をつけよう。

fufeta.hatenablog.com

いちおう新幹線もEX-ICを持っていて、東京 - 新大阪だと1回でも乗れば年会費のモトが取れるのでおすすめ。

まくら

いつもはYahoo!トラベルで取ったり旅作で航空券と合わせ技で取ったりしている。平日からの連泊だと初日はよくても土日にかかる2泊目以降がびっくりするほど高くなったりするので1泊ごとにホテルを変えたりしたこともあった。最近は疲れるからやらなくなりましたが…。

ホテルに関しては好みと懐具合によるところがめちゃくちゃ大きいので、「自分が何を許せて何を許せないのか」を把握しておくと楽だなと思った。わたしは水回りのきれいさ優先。あと意識の高いヅカヲタなのでなるべく阪急阪神ホテルズ系列を利用するようにしています。

エリアも色んなところを利用したが、わたしは梅田~淀屋橋あたりが好きなのでよくそのあたりを利用する。正直ムラに家が欲しい。

あ、そうそう、ホテルにコインランドリーがあると3泊超えたくらいからは非常に重宝するので、長期行く予定のときはおすすめです。ホテルはキャンセル料も直前にならないとかからないので、たとえ予定が立たなかったとしてもなるべく早いうちから押さえておくことをおすすめしたい。たまに結構いいホテルが比較的リーズナブルに泊まれる「○日前予約限定!」みたいなプランが出ていたりするし。

 

チケットに関しては「どうにかする」という気持ちで臨むのが一番です。

 

遠征実施

準備さえできてしまえばあとは行くだけである。別にこれといった事件はなかったが、6日間ひとりで関西弁に触れ続けた結果東京に帰った直後標準語のイントネーションが若干不明になったりエスカレーターで左右どちらに乗ったらいいのかわからなくなったりした。そして観劇しているとき以外はほとんど仕事をしていたので観光的なことは全く以ってしませんでした。

贔屓は最高の最高でした。5泊6日の甲斐がありました。ただし死ぬほど疲れたのでもうやめよう…と思っていたのに、冒頭にも書いたとおりその翌年にも大型の遠征を組んでしまうのだった。バウホールの魅力恐るべし…。

飛行機に乗り遅れた話

今日はムラでお茶会だ。

わたしは東京に住んでいるので、ムラでの公演を観たりイベントに参加したりするには遠征をすることになる。

独身でスケジュールも比較的自由になる(というかスマホとPCさえあればだいたいどこでも仕事ができる)職業という身分をフルに活用して、どの公演でも初日・お茶会・千穐楽の3回を目安に遠征をしている。泊数はまちまちだが、贔屓がバウ主演をしたときは躊躇なく4泊5日×2セットをキメた。仕事はリモートワークとかを活用してなんとかした。インターネット環境の発達には感謝しかない。

そのときの話はまたおいおい書くとして、その移動に使っているのはだいたいの場合飛行機だ。

新幹線の方が安いんじゃないかと思われがちだが、飛行機は意外と安い。特にかなり早い時間の便を75日前とかに取ると羽田-伊丹間で1万円を余裕で切る。あとANAJALに比べて陸でもマイルが貯めやすいので、わたしは専らANAを使っている。

 

そして今回、その飛行機に乗り遅れた。

 

経緯

 …と書いたものの、別に大した経緯は無い。

たまたま仕事がめちゃくちゃに忙しい時期と遠征が被ってしまい(繁忙期というものがない仕事なのでいつ忙しくなるかが予測できないのだ)、前日深夜まで会社で打ち合わせに勤しんでいた結果寝るのが遅くなって寝坊したというただそれだけだ。その打ち合わせは休日出勤のもと開催されていたので恨みしか残らない。土曜朝の便は危ないと思って日曜朝入りにしたわたしの配慮がパァである。

地獄のような打ち合わせを終え、家に辿り着いたときから薄々嫌な予感はしていた。飛行機は7時に離陸するから遅くとも6時少し前には家を出なければならない。そして今は1時半。更にわたしは滅法朝に弱いと来ている。「いっそ寝ない方が」とも思ったが、お茶会中に眠くなるのだけは避けたかった(※今思えばお茶会というだけで変なテンションになって眠くなることなどありえないのだが)。結果、少しの不安を残しつつ、わたしは寝ることを選んだ。これがいけなかった。

目が覚めたのは6時半。時計を見て最初に出た言葉は「うわまじか」である。人間本当にヤバいと思うと面白いことの一つも言えなくなるのだ。というかそんな面白いことがどうとかを考えている場合ではない。チケット出しは10時半に始まる。なんとかそれまでに、つまりあと4時間で宝塚大劇場に辿り着かなければならない。

 

選択

タカラヅカに向かうに当たって、飛行機に乗り遅れた(乗り遅れることが確定した)場合の対処にはいくつか選択肢がある。

 

  1. 乗る予定の飛行機が出発前であれば電話して予約を変更してもらう(※変更可能な航空券のみ)
  2. 別の飛行機を取り直す
  3. 新幹線を使う 
  4. 全てを諦める

 

今回わたしは割引料金で航空券を取っていたため、1の選択肢は取れない。あと4とかまじ有り得ない、だってわたしのための座席はもう用意されているのだ。残された2と3について、どちらを取るかの選択だった。

 

  • 新幹線なら1.3万円くらい、飛行機だと2.5万円くらい
  • 新幹線は2.5時間くらいかかる、飛行機なら1時間程度で着く
  • 羽田空港までは家から50分くらい、東京駅までは20分くらい
  • 伊丹空港から劇場まで、新大阪から劇場まではいずれもおよそ30分強

 

ざっと以上のような条件だが、わたしは慌てていたし急いでもいたので即座に乗換案内で検索をした。

https://itunes.apple.com/jp/app/乗換案内/id299490481?mt=8

 

慌てていたのでいつもならあまりしない自宅の最寄り駅⇒宝塚というばっくりした検索指定。それが良かったらしい、最近の乗換案内はすごくて飛行機を使った方が早いのか新幹線でも間に合うのかを出してくれる。そのうえ航空券の空席照会ページへのリンクも付いている。検索結果を見たら、新幹線だとかなりリスクが高いとのことだった。一方飛行機なら8:30の便に乗れば間に合う。これしかない!

即座にわたしは飛行機を予約した。2.5万円くらいが消えていったが、もう睡眠時間を買ったと思うしかなかった。大丈夫、わたしの睡眠にはそのくらいの価値はある。

このとき6時50分頃。8時に羽田に入るには間もなく家を出る必要があったが、荷造りもしていないしなにより今日はお茶会なので風呂に入っていないとかあり得ない。前夜疲労に負けて風呂に入らず気絶してしまったので、身繕いの時間も取りたかった。もういい、羽田にはタクシーで行く(所要時間30分程度)。これでだいたい40分は稼げた。

11時公演を観てソワレは観ずにお茶会だから、着替えやメイクはホテルでできる。とりあえずシャワーを浴びてそのへんの遠征グッズを掻き集め、わたしは家を飛び出した。

 

結果

公演には普通に間に合った。贔屓は今日もあまりに可愛かった。日頃飲んでいるサプリは全部家に置いて来たが、別に1日飲まなかったところで死ぬわけではないので不問とする。それ以外は愛用のリップを忘れて来たくらいで、これもむしろ新しい色を試したかったタイミングだったので買う口実ができてよかった。前週も使った遠征バッグを片付けていなかったのが功を奏して「忘れたら死ぬ」みたいなものはだいたい忘れずに済んだ。それで言うと今の世の中、忘れたら死ぬなんてものはほとんどないのかもしれないけど。

 

学び

  1. 割引航空券で飛行機に乗り遅れたときはとにかく一回乗換案内
  2. 「開場時間に間に合うならば金に糸目はつけない」という腹の括り方が重要
  3. 「金に糸目はつけない」という判断を下すためにも、日頃の節制は大事
  4. ときにはズボラも身を助ける
  5. とにかくなんとかするという気概と金

あとやっぱりマツエクは超便利。まつげがあるだけでだいぶ顔にメイク感が出るので、もうマツエク無しでは生きられないしまつげの育毛に励みたいと思います。

 

現場からは以上です。お茶会に行ってきます。

 

〈2/19追記〉

贔屓のお茶会は素晴らしかった。素晴らしく美しく素晴らしく可愛く素晴らしく真面目で、少しずつ我々の前で自然体を見せられるようになってきている、そんな彼女が神々しくて同じ空間の空気を吸えたことが奇跡だと思った。

そんなお茶会気分を引きずったまま伊丹空港で保安検査場を通過しようとしたら、なんとエラーが発生。よく分からないままカウンターに回され、「あの…保安検査場で止まってしまって……」と恐る恐る申し出ると係の人は端末で情報を確認しながら言った。

「あ、行きの飛行機乗られてませんか?」

「(ヒェッ…)アッ…そうなんですすみません…」

「行きに乗られてないとご本人確認が必要なんです(手早い処理)、こちらで通ってください」

「ア……すみませんでした………」

というわけで、空席を作ってしまったということに極端に弱いヅカヲタのメンタルにはかなりキツいやりとりを経ないと帰りの飛行機に乗れないのである。(キャンセル待ちで埋まっていたとしても、なんか気持ち的にキツい)あと出発時間が迫っているとマジで焦るので、旅作で航空券を取った人は寝坊にはほんと気を付けましょう!!!(泣)

美容垢巡りをしていた話

東宝公演の初日が近い。

 

贔屓がわたしの住む東京で公演を行う1ヶ月間、わたしは日頃ぐうすか眠っている美意識を叩き起こし美容に邁進する日々を送る。

それは偏に贔屓の視界に自分の姿が入る可能性がいつもより大幅にアップするからだ。

まずはお茶会、そして入り待ち・出待ち。

客席降りでもあろうものなら死に物狂いで通路席を確保するし、なんならそのへんの道ですれ違う可能性さえある。

贔屓と同じ街に暮らすというのはこんなにも心躍り、かつ気の抜けないものなのかと毎回嬉しいやら疲れるやら、そしてムラに住んでいる人に尊敬の念を送りながら約1ヶ月を走り抜けるのだ。

贔屓の視界に納得行かない容姿で入りたくない、あの美しい瞳にクオリティの低い自分を映したくないーー

完全に自己満足なのは分かりきっているしこれを他の人に強要する気は全くないが、初日が近づくにつれてその気持ちは高まり、なけなしの美容意識を奮い立たせる結果となるのだった。

 

美と健康を意識したとき、最も重要なのはモチベーションのコントロールだとわたしは考えている。

美も健康も、実現までの道のりは面倒くさいことばっかりだ。

スチーマーの水を汲むのが面倒くさい、マスカラと目元と頬っぺたに別のクレンジングを使うのが面倒くさい、ストレッチも筋トレもぜ〜んぶ面倒くさい。

その面倒くささを乗り越えるには「きれいになりたい」というモチベーションが絶対に必要で、日頃はその役割を「贔屓の視界に最高の自分で映りたい」という気持ちが果たしているのだけれども、わたしは堕落した人間なので時折それだけではどうにもこうにも上がらないときがある。

「まあ明日2階席だしな……出待ちもしないしそうそう道で出くわすこともないだろ」

だいたいこういうときに限ってひょんなことから1階席通路側に座ることになったりするのだ。

き、昨日色々サボったし朝もだいぶ省エネしたからコンディション良くないのに!贔屓が!そこに!!うわあこっち見ないで、今あなたの美しい網膜に映ることができるクオリティのビジュアルしてないの!

そんなこんなを避けるためのモチベーションコントロール

それに最適な手段としてわたしが選んだのは、TwitterInstagramの美容垢巡りだった。

 

美容垢、美を価値基準の第一に置くひとたちがときに喜びを、ときに嘆きを、そしてときに決意を表明するためのアカウント。

脇目もふらず美容に命をかける彼女たちの努力と根性は賞賛に値すると思う。

日々サラダチキンと炭酸水とデトックススープだけでお腹を満たし、明日のふくらはぎを数ミリ細くするために何百回もの脚パカに挑むその姿はアスリートか修験者かといった佇まいだ。

もちろんユルいひともたくさんいるが、いずれにせよかわいくなりたい・きれいになりたいという気持ちであれこれ努力している様子はそれだけでかわいいし、見事にこちらのモチベーションも喚起される。

はあわたしも頑張らなきゃな……眠いとか疲れたとか言ってる場合じゃない、そう思わせてくれる美容垢巡りが一時期やめられず、延々あっちこっちに飛んではその努力を眺めていた。

 

でも、それは長くは続かなかった。

なぜかというと、美容垢巡りを通して得られるものが「美に対するモチベーション」から「モヤッとした反発感」に変わってしまったからだ。

美容垢の多くに共通する価値観に、わたしはどうしてもなじむことができなかった。

  • 女に生まれたからにはかわいくなければならない
  • かわいい・きれいを追求しないこと=女を捨てている
  • 女の悩みはかわいいが大半解決してくれる

……みたいなやつだ。

そりゃあ、わたしだってかわいくてきれいなものは大好きだ。

かわいいは正義、きれいは力。

それは全然否定しないし、世の中にはそういう人が多いことだって分かっている。

自分のこととして意志をもって「かわいい」を追求することだって全く以って素晴らしいことだというのは前述したとおり。

もっと自分のことを好きになるために、理想の形に向かって努力するというのはとっても素敵なことだ。

 

しかし、それを他人にも要求するとなると話は違ってくる。

特に、その理由が「女だから」と言われるともう納得できない、それどころか拒否感・反発感まで覚えてしまうのだ。

なぜかわいい・きれいを女性の義務として課そうとするのだろう。

 

女性だからみんなかわいい・きれいであるべきというのは、どうにも女性を「外見だけの生き物」として見ているような気がして納得がいかない。

かわいいやきれいがコアバリューの女性が存在する一方で、それ以外のものに価値を置いた女性だっていてもいいと思うし、実際そういう女性もたくさん存在する。

かわいいは正義できれいは力だけど、「勉強ができる」だって「運動神経が良い」だってまったく並列の価値だ。

そこを無視して「かわいくなきゃ女としての価値がない」みたいなことを、他ならぬ女性自身が言うのがなんだか悲しいなあと思うのである。

あと、別に男がかわいくてきれいだっていいと思うし、わたしは超弩級の面食いなので男女問わずかわいくてきれいな人が増えたら天国だ。

 

かわいいもきれいも、女性だけのものじゃない。

人類に等しく与えられた権利だ。

 

あと最後の「女性の悩みの大半はかわいいが解決してくれる」というのは「んなわけあるか女の悩みナメんじゃねえぞ」と思わず口が悪くなってしまうレベルの話だと思う。

何かにつけて男とか女とか、性別で区切る風習をそろそろどうにかした方がいいんじゃないか。

少なくとも能力的な部分において、わたしには男性と女性の間に大きな差があるとは思えない。

あるのは生物的・物理的な差と、社会通念として出来上がった「男らしさ」「女らしさ」の壁だけだと思う。

 

……と、なんか美容の話からだいぶ逸れてしまった感じがするが、美容垢を巡っているうちにこういった鬱憤が積もっていき、そのうち巡ることそのものをやめてしまった。

今はモチベーションを保つために、日々贔屓の写真を見て初日までの日数をカウントダウンしている。

いよいよ初日の幕が開ける。入りには何を着ていこうかな。