踊りませんか。

きれいなもの至上主義

初めての入り待ち

タカラヅカにハマる前は永らく二次元界隈に住み着いていたので、贔屓が生きているということそのものに慣れていなかった。

贔屓から自分に対してなんらかのリアクションがあるかもしれない、そんな自意識過剰気味の懸念がしばらくはとても怖くて、お茶会前には大騒ぎのち黙り込むという情緒不安定さだったし、ましてや入り待ち出待ちなんてとんでもなかった。

 

入り待ちに参加しようと思ったのは、贔屓の発言きっかけだ。

「いつも待っていてくれて嬉しい、ありがとう」

そんなようなことを言う彼女を見て、ああこの人は多くの人に入り出に参加してほしいんだなと感じた。

わたしの贔屓は真面目で人見知りで、ファンサービスのために心にもないことを言うのが苦手なひとだから、きっとこの言葉も100%ではないかもしれないが彼女の本心なのだろう。

贔屓が喜ぶなら仕方がない、相手が生きているというのは常にお互い傷付けあう危険性があるということだけれども、そのかわり自分の行動で相手を喜ばすことだってできるのだ。

ファンになってからおよそ3年、ようやくわたしは贔屓の実在に慣れつつあった。

 

入り待ちに向けて

入待ちをすると決めてから、わたしはまず自分のメンテナンスに取り掛かった。

接触は一瞬だけれども、そのわずかな間でも贔屓の視界にノイズとして残りたくない。

あわよくば「わたしのファンってきれいな人多いんだよね」と思ってほしい。

タカラヅカなどという美の園に自ら入った美の結晶みたいな人だから、きれいにしていって少なくとも不愉快にはさせないだろう、そんな気持ちだった。

やったことの内容は具体的には以下の通りだ。

 

  • まつげエクステ
  • 本気めの筋トレ
  • ヘアサロンでのカット・カラー・パーマ
  • ピアスの新調
  • ネイル塗り直し

 

並べてみると大したことないな。でも自分比では結構頑張った方だった。

やったことの多くが顔周辺に集中しているが、これには理由がある。

 

入り待ち時、首には会服を巻いている

当たり前のことだが、とても重要なこの事実。

首に会服を巻いているということは上半身はほとんど贔屓から見えない、しかも贔屓が来るときはしゃがんでいるため、下半身もほぼ全く見えない。

つまり、顔およびその周囲+お手紙を渡す手元だけきちんとしていればOKなのだ!

洋服を含めて全身ちゃんとしようとすると手間もお金もかかりまくるけれども、入り待ちに限って言えば顔周りだけなんとかすればいい。なんて効率的なんだ……

 

というわけで一番大事なのは髪の手入れ、そしてその次にスキンケア+メイクだという結論に達したわけです。

なぜ髪が肌より大事かというと、顔のフレームを作るのが髪型だからである(これについてはもっと詳しく書いてある記事がありそうなので、検索してください)。

あと髪質は清潔感に直結する気がする。

アクセサリーはほんとにほぼ見えないので、わたしはピアスで華やかさをプラスすることにした。

髪が短いので大きいピアスは見栄えするというのも理由の一つだ。

ちなみに筋トレもしたが、入り出待ちでは立ったり座ったりするのでそういう意味ではすごくよかった。別に体型にはそこまで影響しなかったけど。

 

お手紙を書く

さて、自分自身の準備ができたら次はお手紙だ。

これは女子ドルと兼ヲタの友人と話していたことなのだが、まず前提として彼女たちは日々夥しい量のお手紙を受け取っている。

お稽古や舞台やお仕事で忙しい中でその全てを熟読するのは物理的に無理、でも一つ一つを読み飛ばすことに小さな罪悪感を覚えたりすることもあるだろう…というちょっと重めの忖度を発揮し、われわれが辿り着いたのは「なるべくサラッと読めてポジティブな内容がベスト」というまあごくごく普通の結論だった。でも、これが真理だと思う。

わたしは趣味で漫画を描くので、わりと悩んだ結果「今回の舞台のここが好き」というイラストを描くことにした。

これなら文字よりもすぐ伝わって、こちらもネタ切れに困らない。彼女の好きなところなんて無限にある。

※「これが伝えたい!」みたいなことがある人はそれを素直に書くのが一番だと思います。わたしの場合はご本人にお伝えできるような真っ当な感想があまり手持ちになかったので(言語化するとすべて「可愛い」になってしまう)結局イラストという手段を採用するに至りました。

 

いざ、入り待ちへ

諸々の準備が整ったのであとは当日入り待ちに向かうだけ。

脳内シミュレーションも万全にしているはずなのに勝手にテンポを巻いてくる心臓を叱咤しながら、わたしは集合場所に向かった。

で、そのあとはもうごく普通に緊張する暇もなく列に並び会服を身につけ指示通りに立ったりしゃがんだり走ったりして、やってきた贔屓にお手紙を渡し(人数が多いし内気な人なのもあって特になにかがあるわけでもなくすごく普通に回収された)、おしゃべりが得意ではない彼女が少しはにかみながら一言二言挨拶するのをニヤニヤしながら聞き「行ってらっしゃ〜い」と手を振って普通に解散しました。

あまりに流れ作業、だけどそれで精神的にはとっても助かった。

あれ以上の接触はわたしには無理だなあと思ったし、逆にあれなら毎日でもイケちゃう!って気分。

 

結局仕事の都合とか自分の寝起きの悪さとかとの兼ね合いもあってその公演中入り待ちをしたのは5回に満たないくらいだった。

でも、彼女が「嬉しい」と言ってくれることに少しでも参加できたのは自分の中で大きな出来事だったし、「やったことがない」ことが減ったのにもなんだか嬉しくなる。

なにぶん贔屓に似て内気な性格なもので同じ会にお友だちがおらず、それで少し日和ってしまうところもあるのだけれど、次の公演では試しに出待ちにもチャレンジしたいなと思ったりしている。

出待ちはだいたい夜だから、目元は気持ち明るめに大きめのラメを使おうかな。

 

またひとつ、贔屓のお陰で人生が楽しくなった。