踊りませんか。

きれいなもの至上主義

ヅカヲタの鞄の中身の話

ツイッターで話題になっていたときに乗っかれなかった #ヅカヲタの鞄の中身事情 、今更ですが乗っかりたいと思います。

 

東京公演時

最小携行品

わたしは東京組なので、東京公演のときはかなり身軽です。最小単位は以下。

以上。

まじで冗談ではなくこのセットだけで劇場行ったりします。特に仕事を中抜けして昼公演を観るときとか、どうせ終わったら即会社に戻るので別にいいかなって…。日常生活でも脱現金を進めているので実際スマホ(と連携させているApple Watch)さえあればそんなに困りません。

とはいえ…

ちゃんと鞄を持って行くときもあり、そのときはだいたい以下のようなラインナップになります。

  • 財布というかカードケース
  • チケットホルダー
  • ハンカチ
  • ハンドクリーム
  • リップ
  • Kindle
  • 充電器とケーブル
  • 耳栓
  • 会服
  • お手紙セット

だいたい通勤にも使っているクラッチバッグ(今はステラのファラベラミニ)をそのまま持っていくことが多いので、ここに社員証とか名刺入れとかが入っていたりも。基本的に出には行けないことが多いので会服とお手紙セットは出番が少ないのだけど、念のため。

※以下、商品へのリンクを貼ってますがアフィリエイトとかは付いてないのでご安心ください

チケットホルダー

www.muji.net

ツイッターで見かけて早速買ってみたのですが、あまりに使いやすくて感涙もの。ポケットが6つくらい付いてるので半券・チケット袋・振り込まなきゃならない書類などに分けて収納できるし、最後のページに3つ折りが作れる蛇腹状のホルダーが付いているのが思った以上に便利。超おすすめです。

充電器

これもツイッターで見かけて即購入。これまではアダプターとモバイルバッテリーとケーブルを別々にバッグに入れていたのが、これ1台あればアダプターの役割も果たしてくれる。最高。見た目が素っ気ないので贔屓の千社札を貼ってみたらなんか外で出すのがやや憚られる感じになってしまったのだけは反省しています。

耳栓
[アメイズプラス] SU-ZI スージーイヤーグミ AZ-218

[アメイズプラス] SU-ZI スージーイヤーグミ AZ-218

 

開演前の劇場、周りが普通の人ばかりなら何の問題もないのですが、たまに「うわっその話は劇場の外でしてくれ〜〜」という人と近くになることがあり…それ以来開演前は耳栓をして本に集中することにしています。この耳栓、スージーイヤーグミはグミ状の塊を練って形を自由に変えられるので、「周囲の音は聞こえるが意識を向けなければ意味は取れない」くらいの聞こえに調整できて便利です。これは確か梅田のLOFTで購入。

Kindle
Kindle、電子書籍リーダー、Wi-Fi、4GB、ブラック、広告つき

Kindle、電子書籍リーダー、Wi-Fi、4GB、ブラック、広告つき

 

昔は電子書籍に抵抗があったのですが、今やだいたいの本はこれで読んでる。軽いし電池の持ちもいいしブルーライトも出ていないらしいし、あと思ったより読みやすかったのが高評価点。ページ数が出ないのは残念かな。当たり前ですがAmazonで買えます。

 

遠征時

どっちかというとこっちの話がしたかったんだわたしは。遠征のときの荷物は未だ研究中なのですが、一旦こんな感じで落ち着いています。

バッグ

1泊の場合

www.muji.net

会社に行くときも使っているこちら。まじで肩に感じる負担が減るので超おすすめです。会社の決まりでクソ重いPCを持ち運ばなければならないのですが、「PCってこんな軽かったっけ!?」というくらい軽い。軽く感じてるだけで身体に負荷はかかってるので疲れは同じという説も見かけますが、同じ疲れるなら軽くて疲れる方がマシでは?と思って使い続けています。先日2泊の遠征(PC持参・お茶会含む)に使ったらさすがにパンパンだったので、2泊だったらお茶会なしでPCも持っていく必要がないときに使うのをお勧めします。

2泊〜の場合

リモワのサルサエアーが軽くて丈夫で好きです。色は贔屓が雪組にいたときに買ったのでライムグリーン。組替えを想定していなかったけど黄緑なのでまあいっかな!!画像は80Lですが、遠征で使うのは33Lです。ぎりぎり機内にも持ち込めます(あんまりやりませんが)。

手元用

www.stellamccartney.com

ステラのファラベラは斜めがけもできるのがありがたいし、合皮なのであまり気も使わなくて済むので楽。使い始めたのが結構最近なのでまだ雨に遭遇していないんですが、きっと雨にも強いんじゃないかな、合皮だし。これとリュックの組み合わせで会社にも行ってます。

中身

化粧品

普通の旅行だったらメイクは最小限にするのですが、遠征、特にお茶会があったり客席降りがあったりする場合には手を抜きたくないのでメイクものをゴソッと持っていくことになります。嵩張るのでなんとかしたいんですが、こればかりは如何とも…。基礎化粧品はスリムにしようとしているものの、それでも大量。某お方のお茶会で頂いたバニティバッグに全部入れてます。

www.muji.net

メイクは基本的に石鹸落ちのものを使っている&わりとメイクが落ちやすい肌質らしく、乳液を多めに馴染ませて水で落とすとだいたいきれいさっぱり落ちるので遠征時は小さいサイズのこちらを使っています。朝も乳液馴染ませてから水洗顔するといい感じに潤いが残るので愛用中。さっぱり系の乳液ならなんでもいい気がします。

  • 美容液

www.cosmedecorte.com

www.takami-labo.com

この2つはどんなときでも持っていくお守り的なコスメ。実際肌もこれさえあれば安定する気がする。朝はモイリポ、夜はタカミ。気合いが入るとき(お茶会時とか)は両方使います。モイリポは会社にいる元化粧品会社の美魔女がガチで勧めていたので安心感がすごい。スキンピールは肌の地力が上がる感じがするし小さくて持ち運びが楽なので助かります。

  • 保湿

www.chifure.co.jp

サンホワイトP?1[化粧油] 50g 2本パック

サンホワイトP?1[化粧油] 50g 2本パック

 
肌水 400ml ボトルタイプ

肌水 400ml ボトルタイプ

 

このへんは全部持っていくわけではなく、季節などに合わせてどれを持っていくか決めます。上記美容液の上にちふれのオールインワンやミノンのシートマスクを重ねて、更に乾燥する時期ならサンホワイトを重ねて就寝。逆にべたつくなと思ったら小さめのスプレーボトルに詰め替えた肌水を重ねたりも。身体にもサンホワイトを塗ってます。夏はまた検討の余地ありですが、いずれにせよ保湿が命です。

  • ベースメイク(全体)
シンピュルテ パーフェクトUVクリーム N

シンピュルテ パーフェクトUVクリーム N

 

janeiredale.jp

janeiredale.jp


以上3点をブラシでグワッと混ぜて塗る。比率は5:5:1くらいです。カバー力を高めたいとき(お茶会ry)はBBクリームの量を増やします。とはいえ基本ちょこっとしか使わないので、紫外線対策にシンピュルテのUVクリームも追加しています。前述の通り洗顔だけで落ちるし、夕方もややテカるもののティッシュオフで綺麗に戻る&つるんとした状態が続くのでジェーン愛してる。阪急うめだのコスキチで買いました。

  • ベースメイク(スポット)

janeiredale.jp

これコンシーラーなのかな?ハイライトなのかな?中間みたいな感じで使っています。筆ペン型なので手が汚れないし、カバー力もそこそこあるし、コンパクトに持ち運べてよいです。

シンピュルテ クリアプレスト レフィル 10g

シンピュルテ クリアプレスト レフィル 10g

 

 貰い物。フワッとマットな肌になるので愛用しています(肌は断然セミマット派です)。でも使い終わったらジェーンに乗り換えるごめん。以前はエバーソフトで乗せていたのですが、最近はもっと買いやすいロージーローザの分厚いパフを使っています。鈍感なので、違いはそんなに感じてない。

  • ハイライト&シェーディング
セザンヌ ノーズシャドウ ハイライト

セザンヌ ノーズシャドウ ハイライト

 

ハイライトが真っ白で鼻筋通し力(?)が強いので好きです。でもちょっとラメが大きいかな…シェーディングはわたしの肌では全く発色していない気がするんだけど、それくらいがちょうどいいと自分に言い聞かせています。ハイライトとシェーディングが1つのパレットに入っててかさばらないのも遠征向き。

  • チーク

 

チークはもうずっとこれ。(画像青いけども)適度に大人っぽく、適度に血色感が出るわたしにとっての神チークです。紙ケースのまま使ってますが、持ち運びにもかさばらなくて便利。

  • アイシャドウ

最近はもっぱらこれのJizoh Street Reds / 08。オレンジと赤のバランスでいろんなバリエーション作れるのが楽しい。上まぶたはオレンジ中心に、下まぶたは赤みを強めに入れるのがマイブーム。パッケージも薄くて遠征向き。でも締め色こんなに必要かな???発色がとてもよいので締め色は永遠に使い終わらないと思います。

  • アイライナー(ペンシル)

www.logona.jp

濃い方の色は上まぶたに、薄い方の色は下まぶたに。ぐるっと囲んでも強くなりすぎず良い感じの色。1本で2色使えるところが遠征向きだし、ペンシルアイライナーなのに洗顔で落ちるのが何より最高なところ。わたしの目尻はどんなウォータープルーフも100%滲ませるので、もはやアイライナーは滲むのを前提としています。これも滲むけど、ティッシュとかで拭えばそんなに汚くならないので及第点。それより洗顔で落ちることが優先だ!

  • アイライナー(リキッド)
フローフシ モテライナー リキッド ブラウンブラック 0.55ml

フローフシ モテライナー リキッド ブラウンブラック 0.55ml

 

 洗顔で落ちる!あと滲み方が汚くない!でもまあ無くてもペンシルさえあれば顔は成立するので、お茶会でもなければお留守番のことが多いです。Better to have的なやつ。

  • マスカラ
オペラ マイラッシュアドバンスト 5g

オペラ マイラッシュアドバンスト 5g

 

思ってたよりもカール・ボリュームともに不足がないので最近愛用しています。3本目かな?洗顔でry

  • アイブロウ
セザンヌ ブラシ付アイブロウ繰り出し 03 ナチュラルブラウン 0.23g

セザンヌ ブラシ付アイブロウ繰り出し 03 ナチュラルブラウン 0.23g

 

スクリューブラシが付いていればぶっちゃけなんでもよかったのでドラッグストアでかなりテキトーに選んだのですが、今のところ特に文句はないです。リピートするかも。

  • リップ

www.takami-labo.com

 タカミリップは適度に粘性が高くて乾かないし荒れないし喉もイガイガしないのでとても好きなリップ美容液。その上に最近は資生堂のヴィジョナリージェルリップスティックの203か220を重ねることが多いです。203は肉色っぽさもあるローズピンク、220は朱赤寄りの赤。

 

…とここまでフルメイクを書いてきましたが、お茶会も客席降りも特にないときには日焼け止めに粉をはたいて眉だけ描いて赤リップを塗り、サングラスをかけてごまかすことも多々あります。翌朝帰るだけとかのときは特にそんな感じ。

さんざんメイクについて長文書いといてアレですが、正直言って髪さえ整ってればメイクは二の次だとも思っています。小さいストレートアイロンは必携。

といってもショートボブがちょっと伸びてきた程度の長さなので、ウェーブ作ってヘアオイル馴染ませて終わりです。ヘアオイルは無印のホホバを使ったりノベルティでもらったMiMCのヘアオイルの小ちゃいやつを使ったりしていますが、davinesのオーセンティックオイルも気になっています。でもあれパッケージ大きいのであんまり遠征には向かなさそうなんだよなあ。

シャンプーも基本的に持ち込みます。愛用しているのはOfHairのグレープフルーツ。髪が短いのもあってシャンプーだけで問題ない感じだったので、最近はもっぱらこれだけです。トラベルサイズがあるのが嬉しすぎる。

オブ・コスメティックス ソープオブヘア・1-G ミニサイズ (グレープフルーツの香り) 60ml

オブ・コスメティックス ソープオブヘア・1-G ミニサイズ (グレープフルーツの香り) 60ml

 
服など

お茶会のときは上から下まで(靴も)それ用のを持ち込みます。お茶会がないときは機動性を重視しつつ、いかにちゃんとした感じを出すかを重視。

骨格ナチュラルでワイドパンツ穿いとけばまあだいたいまとまるため、ユニクロUのワイドデニムパンツを愛用しています。

www.uniqlo.com

キュッと締まったハイウエストとワイドすぎない幅、(もう品切れしちゃってますが)濃いめのインディゴとそれなりにきちんと感がありつつ、デニムなのでどんなトップスとも相性が良く着回し力が高いのが◎。問題は夏ですね…まだこいつと夏を迎えていないため、あんまり暑いようだったら代替手段を考えます。

靴も冬場はずっとサイドゴアブーツを履いていたのですが、夏はどうしようかなと。爪先が尖ってて太ヒールでヒール高7cmくらいある靴が好きなのでそういうので履きやすいやつを頑張って探したいと思います。世のトレンドはフラットシューズなのは知っているんですが、スポーツサンダルで劇場入りづらい気がして。

トップスはいちばんテキトーで、そのへんにあったシャツとかニットとかを着ています。手洗いしてすぐ乾くので遠征にはリネンシャツを愛用。その代わりというかなんというか、ピアスは泊数ぶん持って行ったり現地で買ったりして毎日変えます。ガツッとでかいのやタッセルがついたのが好きです。

雑貨

モノはなんでもいいんですけど、電源タップだけは絶対に持っていきます。阪急ホテル系列は枕元に充電ケーブルがあるのを知っているので1泊なら持っていかないこともありますが、他のホテルに泊まるときはどこに電源があるか分からないので。ベッドの上でスマホを見ながらゴロゴロするのが何よりのリラックスタイムなので欠かせません。 

 

Apple iPad?Pro (11インチ, Wi-Fi, 256GB) - スペースグレイ

Apple iPad?Pro (11インチ, Wi-Fi, 256GB) - スペースグレイ

 

 レポ絵が描きたいときに!暇つぶし道具としては最強だと思います。当たり前だけど。

 

 ネイルはセルフ派です。お茶会寸前に剥げたりすると嫌なので、いちおう持っていくことにしています。THREEの83 PEACEFUL WARRIORの色がとても好きなんですが、持ちがイマイチかつ剥げると目立ちまくる…。そして最近爪が折れたり割れたりでぼろぼろなので、ここのところはベースコートだけで休ませてます。。

 

ディアナチュラ ビタミンC 120粒 (60日分)

ディアナチュラ ビタミンC 120粒 (60日分)

 

 ビタミンCは2時間おきに1粒飲んでいます。よく忘れるけど。リプライセルとかを飲んでいた時期もあったんですが、iHerbで買いづらくなってからは頻度で補う感じに。美白は外に塗るよりビタミンCたくさん飲んだ方が効くということがよく分かりました。

 

【デュランス】 DURANCE ピローミスト ラベンダーフラワー 50ml [並行輸入品]

【デュランス】 DURANCE ピローミスト ラベンダーフラワー 50ml [並行輸入品]

 

 全ツなどで初めて行く土地・初めて泊まるホテルはちょっと緊張感があるので、一応好きな香りのピローミストも持って行きます。DURANCEのものはサイズが小さいので遠征におすすめ。とはいえ、知っているホテルなら持って行きません。

 

長めの遠征のときはいつも使っている香水も瓶で持って行きます。ミラーハリスのTENDERはスコット・F・フィッツジェラルドの長篇『夜はやさし』をモチーフにつくられた香りで、THE LAST PARTY上演時に買ってから毎日使っています。

 

めぐりズム 蒸気でホットアイマスク 無香料 14枚入

めぐりズム 蒸気でホットアイマスク 無香料 14枚入

 

 言わずと知れた蒸気でホットアイマスクも使います。遠征前から疲労感があるときはこれ↓も併用したり。

めぐりズム 蒸気でGood-Night 5枚入

めぐりズム 蒸気でGood-Night 5枚入

 

 あと某元雪組トップさんに倣って、現地できき湯1本買ってまるごと使ったりすることもあります。

 湯船でダラダラ汗かきながらコンビニで買った雑誌(その場で読みきって捨てる)を読んだりしていると「あ~遠征最高~~」という気持ちになります。

 

www.muji.net

変なところで潔癖のケがあり、スリッパが使い捨てのものじゃないと使えないので、初めてのホテルには念のため持参します。

あとこれはあったら便利だなと思ったもの。

www.butterflytwists.jp

畳めるバレエシューズ。ブーツや高めのヒールを履いていったとき、夜ちょこっとコンビニに出かけたいけど靴を履くのが億劫!というようなことがちょいちょいあるのでこういうコンパクトなシューズがあると便利だなと。というか↑のスリッパをこれで代替すればいいのか。

あとは眼鏡やらナイトコンタクト(オルソケラトロジー)やらコンタクトのケア用品やらです。

パッキング

服のパッキングには基本的に風呂敷を利用。あとのものは家に大量にあるポーチや袋類(だいたいがなんらかのグッズ)に小分けしたりしています。着た服を入れるために洗濯ネットも1枚持参します。結局家帰ったら取り出して仕分けるんですけどね。

オペラについて

最後に、ヅカヲタにとっては生命線と言ってもよいオペラについて。わたしは今3種類を劇場のサイズによって使い分けています。

バウホール
Nikon 双眼鏡 遊 4X10D CF ダハプリズム式 4倍10口径 シャンパンゴールド 4X10DCF (日本製)

Nikon 双眼鏡 遊 4X10D CF ダハプリズム式 4倍10口径 シャンパンゴールド 4X10DCF (日本製)

 

最近バウではほとんどオペラは使いませんが、一応持っていくのは4倍のこちら。ものすごく薄くてコンパクトなのに、意外なまでに見やすいです。

青年館・DC

 青年館やDCでは6倍。目にあたるパッキンみたいなのが折り返せて眼鏡のときも使いやすいのがよいところです。明るさもあるので、暗い舞台でもキレイに見えます。大劇場でも前方席ならこれで充分。

大劇場
Canon 双眼鏡 10×30 IS ? BINO10X30IS2

Canon 双眼鏡 10×30 IS ? BINO10X30IS2

 

 バードウォッチングか?(実際バードウォッチングの会の人が愛用していると聞いたことがあります)……タカラジェンヌが放つ光の粉の粒子までよく見えます。具体的にはお衣装のスパンコールの具合が分かります。当たり前ですが揺れないのでオペラ酔いしないのがメリット。B席で使うと「常にSS席!!」って感じですが、S席前方の場合はあんまり使う機会がありません。これたぶんドームとかでやる人向けなんですよね、タカラヅカのドーム公演が行われる日を夢見ていきたいと思います。横アリ公演が実現されたから夢ではないのかもしれない。

 

以上、えらい長さになりましたが、わたしはものすごく楽しかったです。この話は以上です。

2018年の話

 早いものでもうタカラヅカスペシャルの季節。ついこの間BADDYを観たと思っていたんだけど、月日が経つのは本当に速い。ヅカヲタになってから更に加速したようにも思う。なんたって本公演2回やったらもうそれで1年だ。あまりに短い1年だったけれど、何事も振り返りが大事だというしこの機にタカラヅカを中心とした文化活動を振り返ってみようと思います。

 

1月

 この記事を書こうと思い立ってまずは1月に何をしていたか思い出そうとしたのだけれども、1ミリも思い出せなかった。よく不祥事の弁明で「全く記憶になく…」と言っているのは強ち嘘でもないのかも…と思うくらい当時の記憶がない。まじでこれっぽっちも自分では思い出せなくて、スケジューラーを見たらなんか仕事はしていたらしい。

宝塚

 雪組東京宝塚劇場公演『ひかりふる路 / SUPER VOYAGER!』に何度か行きました。そうかあれ1月だったのか…望海風斗さんは友人のご贔屓で、ちょうど雪組にいらした頃にわたしが宝塚にハマったこともありなんだかすごく感慨深かった。作品はわれわれオタクが望海風斗さんに期待しているものをすべて見せていただいた感じで、お披露目公演であんなにボロボロにされるトップさん最高だよなと思いました。至高の存在の祭典の哀れな滑稽さとその後の憔悴ぶりが性癖に突き刺さる。ジョルジュ抱いてくれ〜(マクシムを)

 

2月

 1月と同じくらい何も思い出せないのですが、確か多少忙しかった気が…。

宝塚

 月組宝塚大劇場公演『カンパニー / BADDY』に通っていました。別に贔屓が退団するわけでもないのに毎週末ムラに通った(※東京在住)。そこにチケットがあったから……。とにかくBADDYが最高すぎてひたすら二次創作をしていました。まだ描ききれていないというかネタを放出しきらないまま次の公演に入ってしまったのだけど、楽しかったな。いずれ完成させたいと思います。

 

3月

 よくブログを書いた月。長文を書きたくなる周期みたいなのがあるらしい。あとこのへんから読んだ本とか見た映画を記録するようになっていたので、振り返りやすくなりました。行った美術館を記録しなかったのが悔やまれる。

宝塚

 2月に引き続き『カンパニー / BADDY』わかばちゃんや宇月さんのご挨拶に号泣したムラ楽……。あと確か花組東京宝塚劇場公演『ポーの一族も3月に観たはず。美の暴力としか言いようがなかったです。シーラ(仙名さん)の湿度が高い色香が大好きだった。

その他の文化活動

映画

 もうかれこれ20年くらい前から、毎年ドラえもんの春映画を友人たちと観に行っている。基本メンバーは4人なのだけれど、今年は一人が出産直後だったのと、もう一人も家庭の事情でスケジュールが合わず、2人でドラえもん のび太の宝島を観た。キャラクターデザインからどことなく感じるガンダムΖΖ…。そういえばいつのまにかすっかり水田ドラの声にも慣れたし、わたしたちも4人のうち2人は子育てをしているし、なんならわたし以外は全員結婚しているし、しみじみと月日を感じる。

読書

統一感のないラインナップ…。『細川三代』は『星逢一夜』に登場する嫌味な熊本藩主・細川慶勝さまを拗らせた過程で読み始め、読み切るのに3年くらいかかった本。ハードカバーで厚みが5cmくらいある。『ドリアン・グレイの肖像』は前年の夏に壮一帆さん目当てで『WILDe BEAUTY』を観た際に読んでみようと思って買ったものの積ん読していたものを消化。

 

4月

 基本的に月組東宝公演中は公演の記憶しかないですね。

宝塚

 月組東京宝塚劇場公演『カンパニー / BADDY』に通い詰める。最終的に怒りのロケットが始まるだけで泣く体質に。雪組全国ツアー公演『誠の群像 / SUPER VOYAGER!』も仙台まで観に行った。誠の群像は良い方のダーイシだったけど、般若面の目が光るのはどうかと思います!!

その他の文化活動

映画

 前作を観てないくせにパシフィック・リム:アップライジングを観ました。前作観てなくても楽しめた。あとで前作をNetflixで観たら本作では結構早い段階で退場した人が前作ではメインキャラだったりして驚いたな。社長がかっこよかったです、変わり身の早さもすごかったけど。

 

5月

 贔屓が東京からいなくなってしまって抜け殻。ゴールデンウィークは劇場に詰めていたら終わった。つくづくタカラヅカと仕事以外何もしない生活を送っているなと痛感する。

宝塚

 宙組東京宝塚劇場天は赤い河のほとり / シトラスの風〜Sunrise』。おキキさまがあんなにカッコいいなんて聞いてないんですけど…。おかげでそんなつもりなかったのにチケット増やしてしまった。場面が切り替わるときは毎回あのチャイナで銀橋渡ってほしい。

その他の文化活動

映画

 『君の名前で僕を呼んでひたすら美しく愛おしく切ない。ぜったいレディースデーに観てはいけなかった、ホームシアターで一人で観たい映画。29歳問題は友人に誘ってもらって観た台湾の映画。キャリア積んで私生活もそれなりにやってきて人生をきちんと積み上げていたつもりが、足元に何もなかったことにふと気がつく怖さってあるよなと。迷いが生じがちな年齢として共感性が高い作品。主人公の彼氏がまじでクソ。

 あとの3つはなぜ観たのか覚えていないけど、Amazonプライムで視聴。時代もの好きだし軽い気持ちで見られて笑えてよかったです。

 そしてさりげなく執行されてました。安室の女にはならなかったけど、安室さんのドライビングテクはすごかった。

 

6月

 贔屓の東上初主演と仕事の波が重なるという地獄の6月。ライフログアプリが日本青年館を職場だと誤認したのには笑った。

宝塚

 月組日本青年館公演『THE LAST PARTY』「ごめん、わたし景子のこと誤解してた……」というのが最初に出た感想。作品としての完成度が高い、美しい物語。景子先生のフィッツジェラルドへの憧れや思い入れをこれでもかと感じた。最小限の人数で、あまり大きくない箱で演じられるからこそ魅力的。あの場の空気は今もはっきりと思い出せる、宝物のような作品になりました。目に焼き付けようと思って本気出したら東京全通してた。

 そして合間に月組赤坂ACTシアター公演『雨に唄えばドンコズかわいい!!!かわいい!!!

その他の文化活動

読書
  • 推しが武道館いってくれたら死ぬ(平尾アウリ
  • 一行怪談(吉田悠軌)

 読書っていうか漫画ですけど、『推しが武道館いってくれたら死ぬ』めっちゃ気持ちわかる……の連続。

 

7月

 ラスパ後半戦。終わるとともに「夏は終わった…」とやや抜け殻に。あと32歳になりました。

宝塚

 月組ドラマシティ公演『THE LAST PARTY』。あの豪雨の時期とドンかぶりでずっと足元がびしょびしょだった。空は暗いし空気も水けを含んで重くて、それがまた作品の雰囲気と相まってめちゃくちゃダウナーな感じ。ただしわたしのテンションはずっと高かったです。

 ラスパが終わったあとは星組東京宝塚劇場公演『ANOTHER WORLD / Killer Rouge』を観劇。礼真琴さんのギラギラにやられる。なんだろうあのヒルズ族感。最高でした。

その他の文化活動

読書

 ラスパ観劇中はずっと『Tender Is the Night』を読んでいた。原書で小説読みきったの初めて。スコット自身の言葉で読みたくて頑張ってしまった。1/3くらいは意味が取れてないのでいずれ日本語版の方も読もうと思っています、ってその前に途中まで読んで放置している『The Great Gatsby』の方を読みきらねば…。『移動祝祭日』もラスパ流れで読んだのだけど、フィッツジェラルドに対するやや歪んだ執着が堪らんなと思いました。

映像

 7月は映画1本も観ていないのだけど、映像コンテンツという意味ではNetflixで見たQUEER EYE』がめちゃめちゃ良かった。毎話毎話泣いてしまうし速攻Fab5全員のインスタフォローしました。

 

8月

 改めて思うけど、7月の上旬までラスパやって翌月にはエリザが始まるってスケジュール異常ですね。ものすごい酷暑だったけど、最低限しか外に出なかったのでわたし自身はそんなに影響を受けなかった。

宝塚

 雪組東京宝塚劇場公演『凱旋門 / Gato Bonito!』を何度か観劇。凱旋門は話としてむちゃくちゃ重いので覚悟して観たんですが、やっぱり重かった…。ぱららぱらら…をナマで聴けて嬉しかったな。ガトボニはめちゃくちゃクセになる。ガトボニさんのゆる〜いアドリブがかわいかったです。そしてまあやさんマイラブ

 下旬からは月組大劇場公演『エリザベートに。愛希れいかさんがついにご卒業されてしまう…。なんせ贔屓がルキーニなのでこちらもめちゃめちゃ緊張したし心配しましたが、幕が開いてみたら全然大丈夫だった。さすが!

その他の文化活動

映画

 わたしは別にジェダイの騎士ではないんだけど、よく一緒に映画観に行く同僚(職場内「月に一回は映画を観ようの会」のメンバー)がジェダイなのでハン・ソロを観た。賛否あるみたいだけどわたしは楽しかったです。ヒロインかわいい。

舞台

 咲妃みゆさん目当てで『GHOST』に。平日夜の回に行ったら雪組生総見みたいになっていてヒエッてなりました。幕間ふつうにロビーにいるし!ゆうみちゃんがうらけんさんとちゅっちゅちゅっちゅしているので雪組生さんの情操教育に良くないのではないかと心配しましたが、作品は良かったです。森公美子さんのパワーよ…スーパースターだった。

 

9月

 相変わらずエリザに通っていた。このときも毎週末遠征していたので、仕事か宝塚か、その合間に映画を観るか…みたいな感じ。

宝塚

 8月から引き続きエリザベート。台風や代役や、色々なことがありすぎた。遠征の合間には花組東京宝塚劇場公演『MESSIAH / Beautiful Garden』にも行きました。細川様の裃が再登場していて俄かにアガる。

その他の文化活動

 映画

 『オーシャンズ8以外はNetflixにて。とにかくオーシャンズ8がツボすぎてやばい。そこから「過去作が見たい」→オーシャンズ11〜13』、「ケイトさまの出演作が見たい」→『エリザベス』、「女性が活躍する映画が見たい」→ゴーストバスターズと派生していった形。

 

10月

 今思うとエリザの公演期間って長かったんだな。東宝に来て通いやすくはなったが、チケットは取りづらくなるというジレンマ。この頃から徐々に仕事の雲行きが怪しくなってくる。あと全然本読んでないな…仕事のお勉強みたいなのが多かったからか。

宝塚

 月組東京宝塚劇場公演『エリザベート。ルキーニのアドリブを収集するのに夢中だった。わりと回数観た方だと思うけど、聞き飽きない楽曲はやはり素晴らしい。

その他の文化活動

映画

 話題がだいぶ広がってから観たカメラを止めるな!、笑えるし最後はほっこりするしでとても良かったです。わりとよくあるバックステージものなんだけど、テンポが良くて楽しく見られた。 

 

11月

 仕事がヤバイ。それに尽きる。エリザしか観てないし仕事がヤバすぎて何もできなかった。

宝塚

 エリザベートが終わってしまった…。

 

12月

 相変わらず仕事がヤバく、まだ宙組は観られてません!(明日観ます)読書はちょっとだけ再開しました。

宝塚

 今月まだ一回も宝塚を観ていなくてびっくりする。が、今日明日と立て続けに観るので一応書いておくと

観劇予定です。

その他の文化活動

映画

 お茶を(そんなに熱心ではなく)習っているので観ようと思っていた日日是好日を公開期間ギリギリに滑り込み。物語というより、掛け軸や庭の美しさを観るための映画という印象。そして大学時代にQUEENにめちゃくちゃハマっていたので是非とも観なければならないと思っていたボヘミアン・ラプソディもようやく観られました。ファンだから楽しめる、というのも多分にあった気がするけど、ライブ感覚で楽しめる。

読書
  • 銃・病原菌・鉄(ジャレド・ダイヤモンド / 倉骨彰(訳))

 「ちょっと前に話題になってたよな〜」と思ったら初版1997年て……ずっと読もうと思っていたので、読めてよかったです。

舞台

 これは明日観に行くんですが、『Broadway Christmas Wonderland』。サンタがラインダンスの0番にいるとか観たいに決まってるだろ!!

 

 以上、2018年の振り返りでした。映画は意外と観ていたけど本は全然読めなかったので、来年はもっと読書に時間を割きたい。あとお茶をちょっと真面目にやりたいと思います。タカラヅカに関しては変わらず観に行けたらいいなと。

 この話は以上です。

タカラヅカと性差別の話

 BADDYが上演されていた頃あたりから、下界では女性の扱いにまつわる嫌なニュースが立て続いているように思う。ここに来て増えたというよりは昔から積み重なったものが雪崩れているだけなのだろうけど、これまで不当に扱われることがほとんどなかった(と思っていられている)わたしでさえも生きづらさを感じざるを得ないし、逆に自分の幸運さを改めて強く感じてもいる。運良く幸せな境遇にいる自分がこの先この国で女性として生きていくうえで何ができるかも最近すごく考えるようになった。仕事のこと、将来のこと、自分に関係することをひとつひとつ拾い上げる中で、わたしの人生において大きなウェイトを占める趣味、タカラヅカについても思いを馳せることがある。

 タカラヅカは女性だけで構成されている劇団であるという点において一見リベラルに見えるけれども、その実相当旧時代的なジェンダー観に支配された集団だとわたしは思っている。そして最近もいくつかの作品が「女性の描き方古すぎ」という文脈で(一部ファンの間では)話題になったように、時代へのキャッチアップが非常に遅い。もちろんそれだけでタカラヅカ全体を否定する気は全くないし、今日も雪組公演を観て「タカラヅカのある世界最高、フォーエバータカラヅカ🙏🙏🙏」と願ったばかりなのだけど、タカラヅカを本当にフォーエバーにするためにはいくつか変わらないといけない部分があるのではないかと思う。

 タカラヅカに関して、性差別という観点からここはポイントになりそうだなと思うところを幾つか挙げてみた。

  1. 入団条件
  2. 上演される作品の内容
  3. 作る側の体制
  4. 男役・女役の扱いの違い

 それぞれについて以下にて考えてみる。その際、「宝塚歌劇団は私企業である阪急電鉄に属する団体であり、利益追求を旨とするものである」ということに留意したい。

 ※一応書いておくけれども、わたしは法律の専門家とかではないのであくまで以下はいち私見だし、自分の中で答えが出ていないこともたくさんあります。こんなことを考えたよという記録だと思って読んでください。

1. 入団条件

 宝塚歌劇団は未婚女性のみによって構成される劇団である。これに関して最初に出る疑問は「なんで男性はダメなんだ」だろう。これについては「採用条件が『女性に限る』と公表されているのだから別に問題ないのでは」とわたしは思っているのだけど、法律的にはどうなのだろうか。タカラヅカの魅力のひとつは「本来女性の身体を持っているはずの男役が日々の研鑽によって得た高い技術を駆使して男性になりきる」ことだ。一般企業が採用の際に「大卒以上」とか「プログラミング経験者」とか条件をつけるのと同じように、「女性の身体を持っている」ことが採用条件であることには問題がないように思える。(※追記:考えてみたら身体が男性か女性かは生まれ持ったときの条件で、大卒やプログラミング経験のような自分でなんとかできる話とは少し違いましたね。どっちかというと女子校に女性しか入れないとかジャニーズには男性アイドルしかいないみたいな話の方が近いのかな)

 どちらかというと気になるのは「未婚」という条件の方だ。別に結婚した・しないで女性としての身体や身につけた技術が変わるわけではないので、結婚していてもいいんじゃないかなあとわたしは思う。妊娠・出産・子育てで舞台に穴が…みたいな話なのかもしれないけど、今のタカラヅカにおけるお休みの極端な少なさを思うと1・2年産育休を取ろうと思えば取れるくらいのスケジュールや人員構成で考えた方が福利厚生的な意味でもいいんじゃないだろうか。結婚すると人気が落ちる、みたいな話もあるんでしょうけどね……。

 でもちょっと考えてみたんですけど、例えば贔屓に結婚したいくらい好きな人がいたとして、わたしは贔屓にめちゃくちゃ幸せになってほしいので男役としての人生も好きな人との人生も諦めて欲しくないなと思いました。外部の演者さんは当たり前だけど結婚していることも多いし、両方取れるようになるのが一番だよなあ、という結論です。

2. 上演される作品の内容

 上でも軽く触れたけれども、最近のタカラヅカは世代交代の過渡期であることもあって「古典」と「(時代の意識を反映した)新作」、そして「(新作なのに意識が)古い作品」の3つ全部がある状態だ。源氏物語に対して今の時代意識で「女性差別だ!」とか言わないように、古典は古典として上演される分には構わない。今も色褪せぬ魅力を持った名作古典作品がタカラヅカにはたくさんあるのだから、そういった名作の再演はウェルカムだ(そればっかりでも困るけど)。そして時代に合った新作もどんどん作られ・評価されていくべきだと思う。問題は「(新作なのに意識が)古い作品」だ。現代を舞台にしているのに女性の扱いが30年前、みたいな作品が世に出てしまわないようにするためのチェック体制を整えた方が良いと思う。阪急電鉄という大企業を母体に持ち、東京宝塚劇場だけでも年間にのべ約70万人を動員するタカラヅカなのだから、そろそろそのあたりをしっかり仕組み化するべきだ。演出家の先生たちの意識だけに任せておくのはあまりに無責任だと思う。

3. 作る側の体制

 月組公演『BADDY〜悪党は月からやって来る』上演の際、ニュースで「女性演出家がショーを作るのは初めて」と聞いて驚いた。演劇界はまだまだ男性優位が根深いとも聞くし、阪急も歴史のある(≒体質が古い)会社だからさもありなんという感じではあるが、にしても今2018年ですけど…!?というのがわたしの感想だ。上田久美子先生にはこの勢いで色んな壁をぶち壊してほしい。

 そもそも演出家の先生って何人くらいいるんだっけ?と思って調べてみたら、デビュー済みの方で27人いた。そのうち女性は4人(植田・小柳・上田・樫畑 ※敬称略)。割合に直すと15%だ。もちろん今後は増えていくと思うが(増えるよね!?)、作る側にこんなに女性が少なきゃ意識のアップデートもなかなかされないわなあ…演じる人は全員女性だし、見る人にも女性が多いのに、なんだかねじれているなと感じる。

4. 男役と女役の扱いの違い

 ここまで色々書いてきたが、わたしはこれが一番気になっている。これを否定する人はいないと思うが、男役と女役(ここでは娘役ではなくあえて女役と書きます)では劇団における扱いが全然違う。全てにおいて男役がメインで、女役はよっぽど高い実力や人気がない限り添え物に近い扱いだ。

 「女性を演じる女役は外部にもいるが、男性を演じる男役はタカラヅカにしかいないから」「男役の方が人気があるから」「女役の方が学年が下だから」そういった理由(のようなもの)があるのは分かる。男役がタカラヅカの売りの一つであることは自分でも上で書いたしそう思う。が、女性だけで構成されたタカラヅカが「男性しか主役になれない舞台」であり続けるのはなんだかおかしいんじゃないだろうかとわたしは思うのだ。そういう意味では先日上演された愛希れいかさん主演の『愛聖女』はとても大きな意義のある作品だったと思う(内容はさておき)。わたしはタカラヅカに、女役が「男役の相手役」ではなく「主演」として立てる舞台であってほしいのだ。男役より女役の方が人気が出にくいのは活躍の場の少なさによる側面もあるのではないかと思う。活躍の場が広がれば、彼女たちのファンも増えるのではないだろうか。

 男役が主演の舞台もあれば、女役が主演の舞台もある。二人が恋に落ちてもいいし落ちなくてもいい。あと、女役トップが男役トップより(かなり)若くないといけないという暗黙の了解ももうなくてもいいんじゃないかと思う。もちろん若くしてトップになる人がいてもいいし、異性を演じる必要がないことから女役の方が仕上がりが速いのも分かるので、その分女役トップの方が若くなる傾向があるのは理解する。ただ、ある程度の年を経て開花するタイプの女役さんがその年次だけでトップになれないのは悲しすぎる。研14でトップになった渚あきさんのような事例が今後増えるといいなと思う。

 

 以上、色々と書きましたが、今現在こう思っているということを書き連ねたので今後変わっていくかもしれません。いずれにしても、タカラヅカや世の中がいい方向に変わっていくことをめちゃくちゃ願っているし、わたしもそのために考えて行動しようと思っています。フォーエバータカラヅカ

 この話は以上です。

戦国武将に憧れて、の話

 わたしの贔屓は “日本物の雪組” 出身で、ご本人も日本物好きを公言しているため武士や町人や大名といったお役をよくやっている。鶏が先か卵が先か、わたしも日本物は大好きだし日本の伝統文化にも比較的興味がある方だと思う。小学校5年生の頃「伝統工芸の継承者が少なくなっていてピンチ」みたいな話を塾で聞いて「これはわたしが継ぐしかないのでは…!?」と真剣に考えたこともある(結局普通のサラリーマンになりました)。

 そんな中で、今わたしが興味を持っているのは専ら「切腹」である。なんかちょっと物騒だが、興味があるのは腹を切ることそのものというよりは切腹に至る精神性の部分だ。雪組バウホール公演『銀二貫 −梅が枝の花かんざし−』で、主人公の彦坂鶴之輔はこう歌う。

どこへ行けばいい 何を目指して どこへ行けばいい 誰を頼りに この命の捨てどころはどこにある

 直前、死にゆく父に「生き続けろ、何があろうとも」とか言われているのにこの発言である。話聞いてた?という感じだが、きっと当時の武家階級の人からすると命は守るものではなく捨てるものなんだろうなというのが印象深かった。

 『銀二貫』以外にも、その精神性に興味を持つ大きなきっかけとなった作品がある。雪組大劇場公演『星逢一夜』。数多くの雪担にトラウマめいた爪痕を残したであろう本作品はわたしの心にも深く刻まれている。その中で贔屓は主人公に何かと突っかかる嫌な性格の大名を演じていたのだが、出番も役の重みもそんなにないはずのそれがわたしにはクリーンヒットしてしまった。たぶん、「血筋」や「家柄」みたいなどうしようもないものを生まれたときから背負わされている人に弱いからだと思う。

 出番の少なさによる飢餓感もあり、公演中、いや公演が終わってからもその大名家にまつわる本を読んだりして情報を集めた。そのお家は室町時代から続く名家で、最も書籍が充実していたのが戦国〜江戸初期の当主たちについてだったので、「ご先祖様…」とか思いながら本を読み、その政治感覚の鋭敏さ、命をかけた戦に臨みながらも文化を愛する姿に贔屓の役とか関係なしに憧れを抱いた。余談だが本を読み終わった頃、贔屓は太陽王治世下のフランスで主人公に何かと突っかかる嫌な性格のイタリア人剣士を演じていた。

 ともあれ、戦国武将めちゃくちゃカッコいい。もうなんか戦国武将になりたい。何かに憧れるとすぐ同化願望を発揮するタイプなのでそう思った。そしてこの時代においても頻出する価値観が前出の「命の捨て所」だった。

 現代人の感覚からすると「いやカッコいいけど命軽すぎない?」といったところである。命のやりとりが当たり前のように行われていた時代だからこその価値観だとは思うのだが、当時の人は死ぬのが怖くなかったのだろうか。戦とかで他人にやられるならばまだしも、切腹に至っては自らめちゃくちゃ痛い思いをして腹を切るのだ、どの時代にあってもそれは怖いし嫌なんじゃないかと思う。わたしはバリバリの現代人なので、愛も誇りも信念も命の危機に瀕したら投げ出してしまう気がする。死ぬのは怖い。痛いなら尚更だ。

 タカラヅカにおいても頻繁に登場する「愛のために命を投げ出す」人。あれも実はイマイチ理解しきれていなかったりする。愛のために死ぬってどういう気持ちなのだろう。「贔屓の写真を踏むくらいなら死ぬ」とか言ったりするけれども、実際に「踏まなかったら殺す」と言われたら多分ほんとごめんと思いながらも即踏む。親兄弟のために死ねるかどうかも分からない。自分の子供だったらどうだろうとは思うが、産んでいないのでこれも分からない。ましてや恋人なんて極論赤の他人である。

 そうそうできないことだからこそ物語になるのだと思うし、自分にない価値観だから観劇に際して本気で感動して泣いたり輝いて見えもするのだが、その気持ちの一端だけでも理解してみたいと思う。愛や誇りや信念やカッコよさ、そういったもののために「自分の人生をここで終わらせてもいい」と思うその気持ちが理解できたら、憧れの戦国武将にもちょっと近付けるかもしれないし、タカラヅカの作品も見え方が変わるかもしれない。

 というわけで戦国武将への憧れが若干変な方向に行っている自覚はあるのだが、今わたしの中では切腹が熱い。もしかしたら何かのヒントになるかもしれないと思って茶道も習い始めた(今のところ入門すぎて何のヒントも得られていないです)。これについて何か理解が進んだらまたご報告します。今回は以上です。

ヅカヲタと恋愛の話

 30代で独身なんて最近では全然珍しくもないのに、世の中には「恋愛の話は誰に対してもテッパン」と勘違いしている層が存在するので、よく「結婚しないのか」「彼氏は作らないのか」と聞かれる。特に歳の離れた男性、いわゆるおじさんたちはそのような話をしてくることが多い。おじさんとは会社、しかもごくごくたまの飲み会とか他部署との横断プロジェクトでくらいしか接する機会が無いのだが(わたしのいる部署は平均年齢が低い)、わたしとの共通の話題は「恋愛」しかないと思っているのだろう。それを聞かれるたびにわたしの返す答えは「結婚願望が無いし恋愛もしたくない」一択だ。

 その回答を聞くと、だいたい彼らは「信じられない」みたいな顔をする。おじさんたちの中でも異性関係に積極的なタイプが多い職場なので、こういう価値観に触れるのが初めてなのだろう。信じられないものになんとか理由を付けようとわたしについての周辺情報を脳内検索して、そして一つの結論を導き出す。「それってタカラヅカが好きだから?現実見なよ〜」

 何度その台詞を言われたか分からないのだが、最近はもう言葉で反論するのも面倒くさくて「……(失笑)」という反応で済ませている。相手が結構偉いおじさん(役員とか)だったりしたときは「話せば長くなりますが全然違います」くらい。もし対象が異性芸能人だったら余計に決めつけが酷かっただろう。しんどい世の中である。

 

 そこそこの年齢で未婚で、かつ手の届かない人物に熱を上げていると頻繁に聞くこととなる「現実見なよ」という台詞。この台詞はわたしにとっては以下の3点において的を外している。

  1. わたしはジェンヌに恋をしているからヅカヲタをやっているわけではない
  2. 現実を見たところで恋愛や結婚に対して興味関心意欲は沸かない
  3. そもそもアドバイスを求めているわけでもないので、わたしの生き方に口出しされる筋合いがない

 

1. わたしはジェンヌに恋をしているからヅカヲタをやっているわけではない

 ヅカヲタにも様々な愛の形がある。わたしはどちらかといえば親心的なものの方が強く、そりゃあもし万が一彼女に結婚してくれと言われたら秒で結婚するけれども、基本的に彼女を恋愛対象として見たことはない。贔屓はあくまで「ずっと幸せでいてほしいひと」であって、別にわたしのことなんか認識さえしてくれなくて構わないのだ。よく友人たちには「重い」と笑われるのだが、とにかく彼女が彼女の望むように、幸せに生きてくれればそれがわたしの幸せだ。

 余談のようなそうでないような、わたしは現実世界で接する人間に対してこんな気持ちを抱いたことがない。一番近いのは二次元の推しに対しての気持ちだろうか。この気持ちを言い表すならば「じいやとして大切にお育て申し上げた姫を慈しんでいる」という表現がいちばん近い気もするが実態と一箇所も合っていないのでなんだか言いづらく、加えて「真っ直ぐ舞台に取り組む真摯な姿勢に対する尊敬」みたいな要素が入っていないのですべてを説明しきっているわけでもない。この気持ちをなんと表したらいいか、ずっと考えている。

 

2. 現実を見たところで恋愛や結婚に対して興味関心意欲は沸かない

 わたしは基本的にひとりでいるのが好きだ。恋愛経験が無いわけではないけれども、恋愛中の自分はなんだか違和感があって嫌いだった。感情のコントロールが極めて困難になるあの感じは、わたしが思い描く理想の自分とはかけ離れたものだ。前項でもわかる通り基本的にわたしは愛が重いのだ。手の届く範囲の人にそれが向いたとき、その重みぶんの力で自分自身が振り回されてしまう。

 大昔、2年くらい続いた初めての恋人と別れたとき、ショックを受けつつも数週間後ふと漏れた感想は「ああ、正常に戻った」だった。感情の暴走こそが恋愛の醍醐味だと仰る向きの言いたいことも分からないでもないけれども、わたしはそんな自分がどうしても好きになれない。それを押してでも恋がしたいくらいの相手と出逢ったなら話は別だが、わざわざ自分を嫌いになる機会を探しに行く気にもならないのだ。わたしは自分のことを好きでありたい。

 もちろん、恋愛そのものを否定するわけではない。愛を描くのが至上命題であるタカラヅカにハマっているくらいだし、恋愛映画や漫画、小説も好きだ。ついでに他人の恋バナはめちゃくちゃ楽しい(最近は周りがほとんど既婚者なのでとんと聞きませんが)。恋愛はテーマとしてはとても興味深いが、それが自分に降りかかってくるのは遠慮願いたいのである。

 …と、そんなことを話すと「でも寂しい時はあるでしょ?」とか訊かれるのだが、これがまた全くない。かれこれ10年以上「寂しい」とか「誰かといたい」とか思った覚えがないのでホンモノだと思う。もともとかなりぼっち志向が強く、むしろ人といる時間が長すぎると疲れてしまうのだ。遊んでくれる大好きな友人たちもいるし職場でも人と相対する時間が長いので、わたしの寂しさメーターはそれであっさりリセットされてしまう。それゆえ、恋愛に興味関心および意欲を向ける材料が一つもないのである。

 というか別に寂しかったとしてもそれは自分でした選択の結果なので構わないし、耐えられなくなったらまた自分でどうにかするので大丈夫です。「愛する人の存在が “良い人生” には不可欠」という価値観を否定はしないけれど、時折、少し窮屈だ。

 

3. そもそもアドバイスを求めているわけでもないので、わたしの生き方に口出しされる筋合いがない

 恋愛の話というのは他人との関わり方という意味でわりと人の生き方に関わってくるものだと思うのだが、他の同様の話題に比べて他人がなぜか口出しをしてきやすい。こちらからアドバイスを求めたのならその限りではないが、そうじゃない限りどんなに含蓄に富んだアドバイスであろうとわたしにとってはクソバイスである。そういう意味では、たとえ「現実世界で恋人が欲しいがジェンヌにガチ恋している」という場合においてもアドバイスを求められない限りはクソバイス。「現実見なよ」というのは「恋人が欲しいがジェンヌ級にきれいでカッコよくてかわいい人じゃなくちゃ嫌だ、どうすればそういう人と出会えるのかアドバイスをください」などと尋ねられた場合においてのみ有効な返答であって、その他の場合には何ら聞く必要のない言葉なのだ。

 

 もはやただの愚痴に理屈をつけて長文にしただけ感があるが、ヅカヲタ(というかわたし)が悩まされがちな「現実見なよ」問題について日々思っている「そういうことじゃねえんだよ」を言語化してみた。この話は以上です。

「研10」の話

 贔屓がこの春研10になる。男役10年と言われるように、一つの節目である。そのこと自体は単にめでたしという話なのだが、何かにつけて感じやすいファンにとってはほんのわずかに心に去来するものがあったりする。

 わたしが贔屓に出会ったのは、たしか彼女が研6くらいのときだったと思う。周りには新公初主演のときから追っているような古参の方々がゴロゴロいるのでわたしなどはまだまだひよっこなのだけれど、それにしても好きになってから新公主演~卒業・バウ主演・ポストカード発売・組替え・東上主演決定・グラフの表紙・三番手羽根とあらゆるできごとがあった。それら一つひとつはまたいつか違う区切りができたときにでも振り返るとして、研10となると彼女もいよいよ本当に上級生だなあという感慨と同時に、「(よっぽどのことがない限り)男役としての彼女のキャリアは折り返し地点を過ぎている」ということも薄っすら感じてしまう。つまり何が言いたいかというと、今まで遥か先のことだと思ってきた「退団」が、僅かに実体を持ち始めたような気がするのだ。

 誰にだって退団のときはやってくる。タカラヅカの輝きはそのときが有限であればこそだ。それについては百も承知だしそれが嫌だということはないのだけれど、それを思うときわたしの心には寂しさにも満たない小さなため息のような感覚が訪れる。本当に些細な、取るに足らない感傷。「とにかく今の彼女を全力で応援したい自分」が100だとすると「いずれ来る彼女の退団を意識してしまう自分」は0.1くらいの比重ではあるものの、「研10」がきっかけでその感傷が生まれてしまった。たぶんこれから年々それは育つのだと思う。

 管理職になれば話は別だけれど、今のところ彼女はゴリゴリの路線男役なので、その可能性は薄い。まさか劇団理事にということもあるまいし(いやわからないけど…)、これまでのトップさんたちを見てもだいたい研19くらいで退団されている。ちなみに、100周年以降のトップさんの平均退団年次は研18くらいである。つまり、まだどうなるかなんて全然分からないけれど、残っているのはどんなに長くてもあと9年くらいなのだ。(とかいって何かが起きて10年以上在団してくれるかもしれないけど。それならそれでわたしは嬉しい)

 9年。たぶん一般的には「いやあと9年もあるでしょ…(引)」という感じだと思うしわたしも冷静になればそう思うのだが(なんたって今のわたしのファン暦の2倍以上ある)、どうにも「既に折り返している可能性が高い」という事実の方が重みを持って感じられてしまう。色んなことに対して理屈っぽいわたしではあるが、こればかりは理屈ではないのだ。

 

 この話に結論などない。結局行き着くところは「いつそのときが来てもいいように全力で今の彼女を応援する、あとお金を貯める」でしかないし。ただ、春という季節がわたしにこの記事を書かせたのだと思う。

 あまりにただの感傷吐き出し記事になってしまって恐縮なので、最後に100周年以降のトップさんのご経歴をまとめた表(データ出典:Wikipediaなので間違いがあったらすみません)を置いておきます。一番右列は参考までにわたしの贔屓の経歴です。これをまとめる作業がめちゃくちゃ楽しかったのでタカラヅカ史の編纂とかを仕事にしたいですね。以上です。

 

f:id:natsu05:20180308190524p:plain

ヅカヲタと仕事の話

 ヅカヲタとして生きていると公演単位でしかものを考えなくなるのであまり実感がわいていないが、世間はまもなく春だ。タカラヅカでは研1さんたちが入団し、わたしの贔屓も学年を一つ重ねる。下界においても多くの企業にとっては年度の変わり目で、色んな人が会社を去り(人材流動の激しい業界に身を置いているので3月はとにかく「退職のご挨拶」というタイトルのメールが飛び交いがち)、また新たに仲間に加わる人もいる。

 わたしももういい年なのでここ数年は採用活動にちょこっと協力したりしているのだが、学生の前に出るときもオタクであることを全く隠していないので、そういったことについて尋かれることが多い。

「休みは取れますか?」

「趣味と仕事はどうやって両立しているんですか?」

「夜は何時くらいに帰っていますか?」

などなど…。確かに、社会人かつオタクとして生きようと思うと必ずぶつかるのが「仕事との両立」の壁。「会社に入る」という選択をする場合は就活のときにそのへんを見据えて業界や会社を選ぶかどうかでQOLが大きく変わる気がする。自分を振り返るとそのへんあまり考えずにフワ~っと就職してしまったのだけれども(運よくオタクが生きやすい会社に入れたので無事に生きています)、会社員研10になろうとしている今、どんな環境ならオタクが生きていきやすいかを改めて振り返ってみようと思う。

※いつものことながらわたしの個人的な感覚の話なので、あくまで話半分でよろしくお願いします。東京にあるそこそこのサイズ感の会社に新卒で入った人間が書いています。あともうだだ漏れだと思いますが、人生の柱として「仕事」で自己実現図っていきたいし結婚や子育てには全く興味がないタイプのオタクなので、そういう価値観に基づいた話です。

 

0. まず自分の優先順位を見定める

 まずは前提から入ろう。自分の優先順位=オタクとして生きるには何が必要かである。わたしは今ヅカヲタ、しかも同一公演に何度も通うタイプのヅカヲタなので、何よりも欲しいのは「自分のタイミングで休みが取れる環境」+「公演に通えるだけの金」だ。逆に言うと贔屓が舞台に立っていない期間は忙しくても構わない。

 これが例えば二次元のオタクで同人活動に命かけてます、とかになると少し話が違ってくる。休みが取れることはもちろん大事だが、どちらかというと「一日の中でどれだけ原稿を進める時間が取れるか≒一日の拘束時間は長すぎないか」+「イベントのある土日は休みか」の方が大事だろう。個々人の手の速さもあるが、28pとか32pとかの漫画は1日2日では描き終わらない(少なくともわたしは1ヶ月くらいかかる)。時たま取れる丸一日の休みより、恒常的に早く帰れることの方が重要である。

 わたしが働いているのは完全に前者向けの職場だ。入社5年目くらいの時にとある漫画にドハマりして1年で5~6冊計200pくらい同人誌を出したこともあったが、そのときは結構キツかった。原稿を進めたい、けど家に帰れるのは日付が変わってから。そして別に休みの日だからといって1日に20p描けるわけでもなし……。明らかに今の方がオタク生活は楽にできている。

 

1. 働き方

 さて、ここからが本題…といいつつ優先順位の話でほぼ語りつくしてしまった感じもあるのだが、まず重要なのは「その会社でわたしは何をするのか」である。多くの会社は採用してから研修を経て決めるという感じだと思うし自分でどうこうできる話でもないのかもしれないのだが(希望くらいは出せるとこが多いのかな…)、あえておすすめするとするなら裁量労働の利く個人商店的業務がヅカヲタのような現場の発生するオタクには優しいと思う。

 今話題の裁量労働だが、「帳尻は合わせるから今日は初日に行く!」というのができるのはむちゃくちゃありがたい。スーパーフレックスなら「日曜にムラでお茶会だからその日は宿泊して翌日昼の便で戻ってきて出社する」とかも可能である。ブラボー裁量労働。めっちゃ助かってる。

 ただ実感として、裁量労働はチーム業務には死ぬほど向いていない。皆がオフィスではないどこかに散っていると連絡が滞るからだ。「話せばすぐなのに電話とかメールだとイマイチ伝わんないな~」ということが世の中には多数あるし、基本的には一人で仕事をしているわたしでさえそういう細かい相談事項が発生することはある。だが、今のところチームウェアなどを駆使してもそこの溝を埋めるには至っていないと感じることが多いのだ。こういう小さい連絡の行き違いがいくつも重なるとトラブルの引き鉄になったりすることもあるので、裁量労働は今のところ個人商店的業務とセットで考えたほうがいいと思う。トラブルが起きて予定していた公演に行けないなどの悲劇を生まないためにも。

 ちなみに「個人商店的」とは、「自分一人でする仕事が多く、かつその仕事が場所を選ばないもの」という意味で使っている。具体的に職種を挙げられるほど世の中の仕事について詳しいわけではないのだが、ライターとか企画職とかはイメージに近いんじゃなかろうか。もちろん人それぞれあるとは思うけど。

 

2. 労働時間と報酬

 死ぬほど働いて死ぬほど稼ぎたいか、そこそこの時間でそこそこ稼ぎたいかという話である。特にこれといって資格も技能も無い場合はだいたいにおいて労働時間と報酬が正比例するので、この二つは切っても切り離せない。死ぬほど働いて死ぬほど稼ぐのもそこそこの時間でそこそこ稼ぐのも、それぞれにいいところ・悪いところがあるので、自分に合うのはどちらかを見極めるのが非常に重要だ。(「めちゃくちゃ働くのにあんまり稼げない」という仕事は滅びればいいと思う)

 生々しい話だが、ここが自分とフィットしないとなかなか辛そうだな~と思うことが多い。オタクを続けるにはなんだかんだで金が必要なので稼げるに越したことはないと思うのだが、自分がやりたい以上の労働を求められたり能力や適性に合わない仕事を振られたりして心や身体を壊したり(結構見かける)、逆に収入を理由にオタク活動をセーブしなくちゃならなくなってストレス溜めたりするのは辛すぎるので、自分の内なる声および冷静に見たときの能力や適性と向き合ってベストな落としどころを探ることが必要だと思う。

 おすすめしたいのが「どのくらいの貯金があれば老後困らずに暮らせるか」というのを算出して、「今から○年で○万円貯めればOK」という基準を作ること。そうすると月々の収入がいくらくらいあれば無理せずしたい生活ができるとか、オタク活動にどのくらい遣っても大丈夫そうかとかがなんとなく見えるので、会社選びの基準にもなるし何より気持ちがずいぶん楽になる。「(今月は贔屓に○万円遣ったけど)貯金してるから大丈夫」は最強の効き目を持つおまじないである。ただし計算時には自分に対する過剰な期待とか見栄とか楽観的予測とかは排除しないといけないので、冷静かつ慎重に。

 

3. 社員の性質

 「他人のことにあまり興味の無い人が多い職場」は居心地がいい。職場に家族的な人間関係を求めたい人にとってはつらいかもしれないが、わたしはあまりそのへんを求めないのと、いい加減「同じ公演何十回も観るの!?なんで!?」に対していちいち説明をするのに飽きてきたので、「公演が始まるので忙しい」「へーがんばって」で終われる今の職場は至って快適である。

 人間関係の濃さ・重さは部署にもよるので入社前に探るのは結構難しいかもしれないが、OB訪問とかでなんとなく「この会社は人間関係が濃そうだな…」と思ったら警戒してもいいと思う。わたしの感覚ではチーム仕事が多い会社・部署は当たり前ながら人間関係が濃い傾向にある気がします。別に人間関係が濃くても(性格や頭が)いい人たちばかりなら大して問題ではないが、体育会系オラオラみたいなのに巻き込まれると大抵の文化系オタクは死ぬので気を付けよう。研10くらいになると嫌な絡みには露骨に嫌な顔をすることで黙らせるという力技も効くが、若いうちはそういうのもなかなか難しかったりもする。

 

まとめ

 もうそんなに書くこともないのだが、ちょっと生々しい話をしすぎてドキドキしてきた。まとめると裁量労働で個人商店的な仕事かつドライな職場は特にヅカヲタにお勧め」ということなのだが、人それぞれに嗜好も適性も能力も違うし趣味との関わり方も違うので、何よりも大事なのは自分の内なる声に耳を傾けつつ作りたい環境を分析することだと思う。

 そしてもう一つ、「好きなものはわりと変わる」ということも最後に記しておきたい。入社時はゴリゴリの二次元オタクだったわたしが、気づけばすっかりヅカヲタである。入社時に最高だと思っていた職場が一転ものすごく身動きの取れない場所になってしまう場合もあり得るし、その逆もまた然りというわけだ。そのときどき、自分の気持ちに応じて環境を変える覚悟とそれを実行できるだけの実力みたいなものも大事なんじゃないかなと思ったりしている。転職したことのないわたしが言ってもあんまり説得力ないけど。

 結局参考になるんだかならないんだか良く分からない感じになってしまったが、この話はこれにておしまい。