踊りませんか。

きれいなもの至上主義

「研10」の話

 贔屓がこの春研10になる。男役10年と言われるように、一つの節目である。そのこと自体は単にめでたしという話なのだが、何かにつけて感じやすいファンにとってはほんのわずかに心に去来するものがあったりする。

 わたしが贔屓に出会ったのは、たしか彼女が研6くらいのときだったと思う。周りには新公初主演のときから追っているような古参の方々がゴロゴロいるのでわたしなどはまだまだひよっこなのだけれど、それにしても好きになってから新公主演~卒業・バウ主演・ポストカード発売・組替え・東上主演決定・グラフの表紙・三番手羽根とあらゆるできごとがあった。それら一つひとつはまたいつか違う区切りができたときにでも振り返るとして、研10となると彼女もいよいよ本当に上級生だなあという感慨と同時に、「(よっぽどのことがない限り)男役としての彼女のキャリアは折り返し地点を過ぎている」ということも薄っすら感じてしまう。つまり何が言いたいかというと、今まで遥か先のことだと思ってきた「退団」が、僅かに実体を持ち始めたような気がするのだ。

 誰にだって退団のときはやってくる。タカラヅカの輝きはそのときが有限であればこそだ。それについては百も承知だしそれが嫌だということはないのだけれど、それを思うときわたしの心には寂しさにも満たない小さなため息のような感覚が訪れる。本当に些細な、取るに足らない感傷。「とにかく今の彼女を全力で応援したい自分」が100だとすると「いずれ来る彼女の退団を意識してしまう自分」は0.1くらいの比重ではあるものの、「研10」がきっかけでその感傷が生まれてしまった。たぶんこれから年々それは育つのだと思う。

 管理職になれば話は別だけれど、今のところ彼女はゴリゴリの路線男役なので、その可能性は薄い。まさか劇団理事にということもあるまいし(いやわからないけど…)、これまでのトップさんたちを見てもだいたい研19くらいで退団されている。ちなみに、100周年以降のトップさんの平均退団年次は研18くらいである。つまり、まだどうなるかなんて全然分からないけれど、残っているのはどんなに長くてもあと9年くらいなのだ。(とかいって何かが起きて10年以上在団してくれるかもしれないけど。それならそれでわたしは嬉しい)

 9年。たぶん一般的には「いやあと9年もあるでしょ…(引)」という感じだと思うしわたしも冷静になればそう思うのだが(なんたって今のわたしのファン暦の2倍以上ある)、どうにも「既に折り返している可能性が高い」という事実の方が重みを持って感じられてしまう。色んなことに対して理屈っぽいわたしではあるが、こればかりは理屈ではないのだ。

 

 この話に結論などない。結局行き着くところは「いつそのときが来てもいいように全力で今の彼女を応援する、あとお金を貯める」でしかないし。ただ、春という季節がわたしにこの記事を書かせたのだと思う。

 あまりにただの感傷吐き出し記事になってしまって恐縮なので、最後に100周年以降のトップさんのご経歴をまとめた表(データ出典:Wikipediaなので間違いがあったらすみません)を置いておきます。一番右列は参考までにわたしの贔屓の経歴です。これをまとめる作業がめちゃくちゃ楽しかったのでタカラヅカ史の編纂とかを仕事にしたいですね。以上です。

 

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